金融の歴史の決定版⁉『新版 バブルの物語(ジョン・ケネス・ガルブレイス)』

金融の歴史をバブルという側面から振り返った本です。

1636年のチューリップバブルから現代までに起こったバブルの物語。

金融というちょっと取っ掛かりにくい題材なのですが、決して小難しいことを並べている感じでもなく、あまり重くならず、気楽に読めるところも、この本が普遍的価値があると言われる理由の一つなのかもしれません。

金融の歴史を学ぶ良書だと思った。

この『バブルの物語』は、著名投資家のハワード・マークスがおすすめしている本だと言われています。

ハワード・マークスと言えば、世界一の投資家とも言われるウォーレン・バフェットも一目置いている人でもあります。

個人的にも、ハワード・マークスの投資の考え方、姿勢などは、とても参考にしているので、そのハワード・マークスがおすすめしているならぜひ読んでみたいと思ったわけです。

『バブルの物語』は、1991年に初刊がでました。

ということは、もうかれこれ30年ぐらい前の本ではあるのですが、いまだにこうして新版として売られていることを考えても、やはりそれだけの価値がある本だと言えるのではないでしょうか?

それに、本書が新版となる時期を見ると。

2008年12月と2020年3月と記載されていて、まるでバブルに合わせて、この『バブルの物語』が新刊になっているような感じも受けました。

2008年と言えば、リーマンショック。

2020年3月と言えば、新型コロナ感染症の拡大により金融市場が大きく荒れた時期です。

もしかすると、2020年6月時点では、新型コロナ感染症による市場のショックがだいぶ落ち着きを見せてきていますが、まだバブル崩壊の最中なのかもしれないとさえ感じてきます。

『バブルの物語』は、バブルが起こったのは何故かとか、バブルをどう乗り切るのかなどといった、学者気取りの重ったるい話はあまり出てきません。(本書を書いているのは、大学の教授ですが)

本書の中でもエッセイだと説明しているように、過去のバブルを追体験させてくれる、そんな本でした。

本書を読んで良かったと思ったのは、バブルはこうして起こったとか、誰が悪かったとか、そんな話よりも、ただ単純に当時のバブルの様子を感じさせてくれるというアプローチの仕方が、案外とても大切なことなのではないかと感じたことです。

世界恐慌前のバブルの様子が引っかかる?

本書で出てくるバブルのエピソードの中で、一番引っかかったのが、1929年の大暴落です。

この1929年の大暴落は、世界恐慌を引き起こすきっかけとなった金融崩壊と言われています。

なぜ、このエピソードが気になったのかと言うと、今の状況が、この1929年ごろと似ているのではないかと感じたからです。

よく著名投資家といった人たちの中で、今の金融環境が世界恐慌の前に似ていると発言しているという話を見かけますが、実際のところピンと来ていませんでした。

しかし、この『バブルの物語』を読んだことで、本当にそう感じたわけです。

例えば、1929年の金融崩壊のきっかけに、2つの台風という経済に大打撃を与える大きな自然災害があったとありましたが、それが今のコロナ感染症の拡大を連想させ。

その後に、慎重派の連邦準備制度の規制に対抗して、貸出を拡大させたナショナル・シティ銀行の存在。

今では、当時のナショナル・シティ銀行の役回りを連邦準備理事会(FRB)自身が行ってしまっているわけですが、さらに今はそれに加えて、FRB以外でも日銀やECBなど世界中の中央銀行が貸し出しを拡大させています。

その結果なのか、その後も上昇していく株価に対して、「株価は現実に別れを告げた」といった文言は、昔の話をしているとは思えないほどの既視感を覚えます。

株式に投資をしている投資家にとって、この話は、背筋がゾクッとする話なのではないでしょうか?

それほどまでに、この1929年の話は、印象深い内容でした。

これから先、金融市場がどうなるのかは、わかりませんが、それでもこのタイミングで1929年を追体験することは、決して無駄ではないのではないかと思うところです。

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