独立行政法人の中小企業基盤整備機構が行っている『倒産防止共済』(経営セーフティ共済)。
実は、これが今節税商品として注目されています。
倒産防止共済は、納税額を抑えながら、いざという時の備えが出来できる有利な共済となっています。
倒産防止共済で節税と貯蓄が出来る?
倒産防止共済とは、取引先が倒産した時に、その取引先から回収がでいていない売掛金などによって、中小企業が資金繰りに困ることがないように加入することが本来の目的とされています。
しかし、実際には「節税をしながら貯蓄が出来る」という所が一番の魅力となり利用されています。
言ってみれば、個人で加入するイデコの中小企業版といった感じでしょうか?
倒産防止共済は、掛け金がすべて支払った期の損金として処理出来て、しかも支払った掛け金は、条件によって、全額償還(解約手当金)してもらうことが出来るという共済です。
しかもその条件というのも、そんな難しいものではなく、40か月以上納めていれば、掛金全額が戻るということになっています。
イデコのように、運用したり、利息が付いたりすることはありませんが、加入している間に支払う掛け金が全額損金扱いになりながら、40か月過ぎれば、解約していつでも引き出せる貯蓄になるというのは、とても有利な制度だと思います。
また、解約しなくても一時貸付という制度もあり、これもまた便利な制度です。
掛け金が全額損金扱いとなるためか、解約して解約手当金を受け取ると、その解約手当金は全額益金として課税の対象となってしまうのですが、貸付としての引き出しならば益金にはなりません。
返済利息の支払いは出てきますが、実は元本の返済をしなくても大丈夫な制度となっています。
元本の返済をすることが前提で借りるのは当然だとは思いますが、仮に返済をしなくても、解約の時に解約手当金と相殺することが出来るようになっています。
節税と貯蓄が同時にできる、便利な制度です。
いざという時に、資金が用意できる手段を、節税しながら準備できるというのは、事業を行うものにとって、とても心強いものだと思います。
年払いという仕組みを使うと、なお便利!
倒産防止共済には、「年払い」という仕組みもあります。
要は一年分まとめて支払うことができるというわけですが。
通常、年払いで先に支払いが到来する分を支払った場合、税務の経理方法は、前払い扱いとなり、前払い分は支払った期の損金にはなりません。
しかし、倒産防止共済で支払った前払い分は、支払った期の損金にできます。
似たようなもので、「短期前払費用」という取り扱いが税法にはありますが、これと倒産防止共済の前払いは、まったく違う取り扱いになっています。
「短期前払費用」では、『その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは』という条件があり。
毎年、継続して同じ1年分を継続して支払い、そして損金として処理するという決まりがあります。
しかし、倒産防止共済の場合には、その縛りがありません。
「今期は、結構利益が出たから、一年分前払いして、損金にしたけれど、来期の見通しはあまり良くないから、年払いから月払いに換えて損金経理しよう」といったことをしても問題ないわけです。
自由自在に、支払い方法を変更でき、しかも、支払った金額で損金処理ができる。
これは、生命保険などの節税にはない、とても使い勝手のいい便利な仕組みですね。
倒産防止共済の加入方法。
倒産防止共済の加入は、銀行の窓口や商工会議所、会計事務所などで行っていることが多いです。
しかも、結構決算月のギリギリになっても間に合うことがあります。
倒産防止の加入窓口に行って、申込用紙を記入し、そのまま掛け金の振込をしてしまえば、その時点で損金処理できます。
目安としては、決算月の20日前後を予定しても間にあうイメージです。
「今期大きく利益が出て、何か決算直前でも間に合う節税はないものか?」なんて思った時に、利用できるわけです。
倒産防止共済の月額最高額は、20万円となっています。
つまり、年払いにして240万円までなら、決算月に損金にできることになります。
仮に法人税の実効税率が35%としたら、84万円の節税になるわけですから、無視できない金額かもしれません。
そして、倒産防止共済の便利なところは、翌期業績が芳しくないとなれば、月額掛け金の減額が出来ることです。
今期は、月額20万円で240万円の年払いをしたけれど、来期は2万円の年払い24万円にしようとか、年払いさえもやめて、月額1万円の毎月支払いにしようとかができるわけです。
保険などの年払いでよく使う「短期前払費用」では、できない芸当です。(継続が損金経理の条件なので)
節税しながら、貯蓄が出来る、しかも使い勝手の幅が広い便利な倒産防止共済。
事業安定の基盤の一つとして、一度加入を検討してみてはいかがでしょうか?
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