株式投資といえば、リスクが高い投資というイメージがあります。
そのただでさえリスクが高い株式投資に、レバレッジというさらにリスクを2倍、3倍引き上げるような投資法を推奨しているのが、この本です。
ただ、レバレッジというのは、うまく使うと、リターンも倍にすることもできるので、賢いレバレッジの使い方は、知っておいて損はない方法ですよね。
ライフサイクルに合わせて、レバレッジを調節!
ライフサイクル投資術のポイントは、レバレッジをかけて株式投資をするということにあります。
つまり、ライフサイクルに合わせて、レバレッジの比率を調整していくわけです。
似たような仕組みを持つファンドとして、ターゲットイヤーファンドというものがあります。
ターゲットイヤーファンドとは、年齢に合わせて、株式投資の投資割合を調節していくという投資信託で、銀行や証券会社などで購入することが出来ます。
例えば、若いうちはリスク許容度が高いと考えられるため、株式投資の比率を高く設定し、現役引退に向けて、株式投資の比率を引き下げながら、債券投資の割合を増やし、リスクを減らしていくといった資産配分を行っています。
ライフサイクル投資術とは、このターゲットイヤーファンドの考え方に近いのですが、より好戦的にしたような感じになっているわけです。
若いうちは、レバレッジを使って、より大きなリスクをとって株式投資を行い、年を経過するとともに徐々にレバレッジ比率を引き下げていくというものです。
株式投資の割合が高くなっている分、高リターンが狙えるだろうと自然に考えるかと思いますが、実際に様々な検証を行うと、予想通りにターゲットイヤーファンドなどよりもリターンは高くなってくることがわかり。
そして、何よりリスクも減っているということに気づいたことが、大きなポイントとなっています。
「レバレッジをかけているのに、リスクが減っている?」
直感的には、何で?と思うところですが、事実そうなっているそうなのです。
長期投資という時間分散がリスク軽減の大きなポイントに!
長期投資という言葉は、今さかんに言われていることで、長い時間をかけて投資を行いましょうと誰もが推奨しています。
その大きな理由は何だったのか?
高いリターンを生み出すからなのでしょうか?
どうやらそうではなかったようです。
長期投資を行う大きなポイントは、リスクが減らせるということにあるようです。
ここでいうリスクについて押さえておくと。
「どのくらいの大きさの値動きがあるのか」という事ではなく、最悪の成績でも何%のリターンになるのかという考え方で使われています。
要は、20年という長期投資をした場合、20年後のリターンがどうなっているのかを考えます。
たとえば、ターゲットイヤーファンドで運用した場合には、20年後に最悪のケースだとプラス10%だったけれど、ライフサイクル投資術を利用すると、20年後は最悪でもプラス15%になっているといった意味です。
ですので、その20年後までの期間、マイナス何%まで下落することがあるのかは、ここでは問わないです。
当然のことですが、20年間の値動きを問われれば、ライフサイクル投資術は、レバレッジをかけている分、ターゲットイヤーファンドなどよりも大きなマイナスとなる時期が出てくることがあるはずです。
しかし、長期投資に徹するのであれば、最終目的地以外の値動きは、言ってみればどうなろうと関係ないわけで、最終目的地でどうなるのかが重要なわけですから、この考え方には、同意できるところがあります。
そもそも、株式投資で複利という考え方が合わないのではないかという疑問があります。
株式投資は、値動きの大きい投資なので、年に何%で運用できるというよりも、過去を振り返ると年に何%で運用していたのと同じ効果があったようなもの、といった言い方の方が、理解しやすいです。
その点では、この本の着眼点は、ある意味あたらしい発想を与えてくれた感じを受けました。
レバレッジをかけるかけないというだけでなく、株式投資に新たな着眼点を与えてくれるという意味でも参考になった本でした。
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