ボクシングと投資には似たところがあると感じています。
ボクシングというスポーツは、一瞬の気のゆるみで試合展開が大きく変わってしまったり、下手したらその一瞬にもらった一発で試合が決まってしまったりもします。
そのため、ディフェンスを意識することが大切なわけですが、ディフェンスを意識しすぎると今度は攻撃が弱くなり、相手にダメージを与えることが出来なくなってしまう。
つまりは、守りと攻めを効果的に切り替えないといけないというわけですね。
この感じは、まさに投資と同じではないでしょうか?
攻めるという事は、リスクが増えること。
ボクシングも投資も、攻めなければ望むようなリターンは決して得られません。
「リスクがほとんどなく、年に5%ぐらいのリターンがある投資はありませんか?」
なんて質問をしてくる人もたまに見かけますが、そんな考え方は大間違いです。
投資で得られるリターンというのは、リスクをとって攻めたからこそ得られるものであるということを忘れてはいけません。
ボクシングで攻めるときというのは、手数を出したりして積極的に相手にパンチを当てようとします。
しかし、自分のパンチが届く距離は、相手のパンチが届く距離でもあるわけなので危険です。
また、手数を出すことは、顔の前から手が離れるガードが外れている状態になるので、相手のパンチが当たりやすくもなります。
お腹を狙うボディ打ちなどは、より顔から遠いところに手を出すわけなので、さらにリスクが高くなります。
また、倒そうと強いパンチを打ち込もうとすると、おお振りになったり、打った後の手の戻りが遅くなったりして、カウンターでパンチをもらう可能性が高くなり、これまた非常にリスクが高くなります。
しかし、そういったパンチが出なければ、相手を倒すことが出来ません。
手を出さず、ずっとガードを徹底してれば、パンチが当たったり倒されたりするリスクは少なくなるでしょうが、それでは絶対に試合に勝てません。
リスクを取ってリターンを得るというよりも、リスクを取らなければリターンは得られないというわけです。
これは、投資も一緒です。
リスクを取ることをしなければ、決して高いリターンは望めないというわけです。
リスクがなくリターンを得ていると思うようになったら危険です。これは、普通の状態ではありません。往々にして失敗すると思われます。
投資家として上手くやっている人というのは、大概にして常にリスクを意識し、取るべきリスクをコントロールしながら、リターンを狙っているものです。
ボクシングでいえば、うまく攻撃と守りのバランスを取っていたり、テクニックなどを磨いてリスクを減らしながら上手にボクシングできるように練習している。
投資で行うべきことも、突き詰めれば同じ事なのかもしれません。
リスクを意識し、うまくコントロールしながらリターンを狙うことが大切です。
ボクシングで、相手がロープを背負い、先のパンチが効いて手が出なくなっている状態になったりして、素人目にはここはチャンスだと思っても、簡単には手を出さない場面をよく見かけるかと思います。
こういった場面というのは、何度も言っていることではありますが、倒そうと思って手を出すときというのは、最大のリターンが得られるときでもありますが、逆にとてもリスクが高くなっている時でもあるわけです。
だから、相手の状態を確認し、本当に攻められる状態なのかどうかリスクを計算しながら攻撃に移ろうとしている。もしくは、相手が反撃してくるとしたら、どんな攻撃が来るのだろうかと考えながら攻撃の選択肢を考える。
などをしていると思われるわけです。
つまり、どんな時でも常にリスクというのを意識しながら戦っているわけですね。
投資にも同じことが言えます。
ある投資チャンスや投資アイデアに巡り合ったとしても、このチャンスやアイデアにはどんなリスクがあるのだろうと考えながら、また、どんな戦略を使うことでそのリスクを減らせるだろうか、などと考えながら対応しないといけないものだと思います。
まるでリスクがないように思えたとしても、常にリスクを意識しながら投資しなければいけない。
ボクシングと同じで『攻めるという行為そのものがリスクがある行為』なのだと考えなければいけません。
しかし、このリスクを忘れる個人投資家はとても多いと感じています。
個人投資家でなくても、リスクを甘く見ている投資家は結構いるように思います。
リスクは目に見えているものだけではありません。
「株式投資のリスクは、何%で、今の経済環境から考えると、まだ大丈夫。リスクは少ない。」
なんて簡単に言えるほど投資は甘いものではありません。
誰も気づいていないところから、一気にリスクが顕在化することだって何度も起きています。
いわゆる『ブラックスワン』というものです。
自分に見えているリスクがすべてだと思うようになったら、それはリスクが正確に見えていない状態だと考えてほぼ間違いないのだと思います。
チャンスはリスク。
この意識は、ボクシングでも投資でも同じ事のように思います。
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