これは、資産運用の教科書だ!『ハートで感じる長期投資の始め方(平山 賢一)』

資産運用を始めて学ぶ人にお勧めの本の一つでした。

しかし、残念ながら10年以上前の古い本なので、時代背景も古く、逆に初心者が読むにはハードルが高くなってしまっている感じもあります。

それでも、投資の考え方としては、今でも全然色あせないものを感じます。

まさに、資産運用の教科書として使えるような本なのではないでしょうか?

資産運用で抑えるべき重要項目とは、なんでしょうか?

資産運用を行っていくうえで、抑えるべき重要項目。

それは、『物価』『金利』『為替』です。

この3つは、投資や資産運用で抑えておくべき基本中の基本と言えます。

この3つについてそれなりの考え方、見方を持たずに、資産運用を始めることは、コンパスを持たずに航海に旅立つようなものともいえるのではないでしょうか?

①物価を考えない資産運用はあり得ない。

②金利を知らずに、利回りを考えることはできない。

③為替を見ないで、世界の経済を考えることもできない。

この、『物価』、『金利』、『為替』という3つを重視するのは、債券投資家に特に多いように思われます。

この本の著者も、債券への投資が得意のようですね。

物価を考えない資産運用はありえない?

資産運用の重要ポイント、『物価』『金利』『為替』、このうち『物価』に関して触れると。

そもそも、資産運用の目的とは何なのかという話になります。

今では資産運用は、お金を増やすものだと思っている人が多いようですが、資産運用でお金を増やすような時代になったのは、人類の歴史からすると、比較的最近の話で、特に資本主義が生まれ、産業革命などが起こってからと考えられます。

つまり、人類の長い歴史の中での資産運用は、そもそもお金を増やすことにあるのではなく、資産を守るためにあったわけです。

その中でも、特に重要な項目として挙げられていたのが、物価の上昇つまりインフレによって資産の価値が目減りすることを防ぐという守りの役目です。

つまり、資産運用の本来の目的である、物価の上昇による資産の目減りをさせないことが資産運用の第一の目的にあるというわけです。

なので、物価とはなんなのか?

物価の上昇にはどのような対策が有効なのか?

今は、インフレ気味なのか、それともインフレ停滞期なのか?

今の経済環境は、物価にどんな影響を与えているのか?

といったことが、把握できるようにならないと、そもそも資産運用の話に入れないというわけです。

では、その辺のことをどこまで考えて資産運用をしていますか?

おそらく、ほとんどの人が、物価という視点をほとんど意識せず、資産の最大化にばかり気を取られているのではないでしょうか?

ここで基本に立ち返り、『物価』というもののことをもう一度考えてみませんか?

この本では、物価の説明を懇切丁寧にしてくれています。

つまり、基本から資産運用を考えるという事を、丁寧に教えてくれているというわけです。

ただ、残念だったのは、著者の予測は外れたのかなという点が、この本を振り返って読むのを難しくしてしまっていることです。

この本が書かれたのは、2006年ごろです。

このころから、著者はそう遠くない時期に、インフレが来ると、本書の中で予測しているわけなのですが、10年以上たっても日本はデフレ経済。

一時期インフレ経済になるかといった雰囲気も出ましたが、結果的にはまだデフレを抜け切れたとは言えない感じです。

そのせいで、この本を読んでいると、10年以上も前の本なのに、今現在のことを言っているようにも感じてしまう。

その時代のずれが、前提条件である論理の背景を分かりにくくしてしまって、基本の話でありながら、捉えにくい話になってしまっているように感じました。

あまり、時代背景や予測を細かく描写せずに、理論的なことなどに終始集中したほうのが、長く読まれる本になれたのかもしれません。

今でも通用する大切な視点!

アセットアロケーション。つまり資産配分。

この資産配分が大切だというのは、今では結構広く知られるようになってきました。

ロボアドバイザーなどの最近の運用法では、アセットアロケーションによる運用が中心になってきて、今では意識しているかいないかに関係なく、資産配分に重点を置いた運用が、素人でもできるようになっています。

しかし、単純にアセットアロケーションといっても、それをどう実行するのかは、また別の問題です。

ロボアドバイザーなどで利用されているアセットアロケーションンは、現代ポートフォリオ理論(MPT)が主となっていますが、アセットアロケーション運用とは、何もそれだけではありません。

私もそうですが、本書で取り上げているアセットアロケーション運用で重要なポイントとしているのは、『ライフプランとマネープランを考えたアセットアロケーション』というところです。

この辺の感覚は、学者肌の考え方ではなく、現場の実務家の発想ならではなのかもしれません。

本書の著者は、たとえ株式投資で資産が倍になっても、お金を引き出して使うタイミング。つまりリタイヤ後に、株価の大暴落に見舞われ、株式投資の資産は半分、下手するとそれ以下になって損失となってしまうことあるかもしれない。

そしてこのような結果は、最も避けなければいけないことだといっています。

全くその通りだと私も思います。

リスクを何%と考えて、だから株式資産へ資産の何割を投資するといった考え方は、いざという時に弱い可能性が高い。

そして、もっとも考えなければいけないリスクとは、日々の価格変動ではなく、こういった大暴落のリスクだという事も、まったくもってその通りです。

最近のポートフォリオ運用には、その視点が足りなくなってきているのではないでしょうか?

一年間に何%下落しても大丈夫かどうかというリスク許容度に合わせて資産配分を設定する話が多いように感じています。

しかし、そんなことは案外それほど重要な事ではなくて、一番重要なのは大暴落時にどんな対応をするのかだったりするものなのです。

つまり、現在のポートフォリオは、大暴落といっためったに起こらないリスクに対して、どんな備えをしていて、もしそのめったに起こらないことが起こった時には、こんなポートフォリオにすることで、うまく相場の変動を乗り切ることができるようになりますよ。

と提示されたポートフォリオ設計の方が大切なのではないかという事です。

めったに起こらないことではありますが、数十年に一度おこる。

(本書が書かれてからは、1年後に起こりましたが。)

つまり、長期投資をするなら、人生で1回から2回、直面することになるであろう危機だという事です。

そんな視点から、どんなポートフォリオを作るのか、それを本書では丁寧に解説してくれています。

発売当時に、この本を読んだ人(私も含め)は、読んだ直後に金融相場の大暴落に合っています。

もし、本書で勧めているポートフォリオ運用を行っていれば、賢く荒波を乗り越えて、今頃相当資産が増えていることと思われます。

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