フェイスブックが中心になって計画していた仮想通貨リブラ。
VISAやマスターカードといった決済大手の大企業も参加していると鳴り物入りの仮想通貨でしたが、G20でも規制する方向で話がまとまり、どうやら失敗で終わりそうな気配です。
仮想通貨リブラの設計方針は、画期的だった?
仮想通貨リブラ、全世界的に規制が合意されるほどの驚異的な存在だった?
言い換えれば仮想通貨リブラは、全世界的に規制しなければいけないぐらいの物だったのかもしれません。
仮想通貨といえばビットコインやイーサリアムといったものが有名ですが、これらがなぜこれほど有名になったのか?
そこには、いずれ社会を変える力があると思われたからでしょう。だからバブルが起こった。
実際に使えるかどうかは置いておいて、可能性を買われたわけです。
仮想通貨にどんな可能性があるのでしょうか?
一つは、スマホなどの機器があれば銀行がいらなくなるという点です。
お金を相手側に送金する時には、通常、銀行などの金融機関を通して送金されます。
しかし、仮想通貨を利用すると、銀行などの金融機関を使うことなく、直接相手側に送金もできます。しかも、地球の反対側までほとんどタイムラグなし。
仮想通貨の基本技術である分散台帳という仕組みがこれを実現させています。
つまりは、フェイスブックで仮想通貨を利用することを考えていたとすると、フェイスブックのアカウントがあれば、相手が世界中のどこにいても、フェイスブックのアカウント同士でお金(価値)のやり取りができるという事になるはずだったのでしょう。
しかも、おそらく銀行などの金融機関を使った送金とは違って、ほとんどコストをかけずに送受金できた可能性が高いです。
これに関しては、ビットコインなどでもできない話ではないと思われますが、実はリブラには、ビットコインにはない設計上の利点があります。
それは、リブラという仮想通貨には裏付け資産があるという点です。
これが画期的でした。
仮想通貨のビットコインも、ネット環境があれば地球の反対側まで、ほとんどタイムラグなし、コストも安い送受金が可能です。
しかし、実際には使いづらいあるデメリットがありました。
それは、とてつもなく大きな価格変動です。
ビットコインの価格は不安定で、株式よりも大きな価格変動リスクがあります。
はっきりいって、これではお金として使い物になりません。
今100万円分送ったら、受け取った瞬間95万円になってしまいましたでは困ってしまいますよね。
これがビットコインが現実の世界で使い物にならない最大の要因だと思っています。
そこを克服しようと考えたのが、リブラだったわけです。
リブラにはその裏付け資産を紐づけることで、価格変動リスクを抑制しようと考えたわけですね。
しかも、その裏付けとなる資産は、ドルや円、ユーロといった現実で使われている通貨をバスケットしたもの、イメージ的には、世界通貨投資信託ってわけです。
具体的には、世界の短期債券を集める予定だったそうです。
つまりは、リブラを保有することは、世界の通貨を保有していることとある意味一緒で、価格変動も通貨の価格変動と似たようなもになることが想像されます。
つまりは、世界的に誰もが納得する価値を持ち、価格変動も今持っている通貨とそれほど変わらない。
下手すると、円などの一国でしか使えない通貨を保有しているよりも安全性も高いのかもしれません。
この通貨が世界中で利用することができ、ネットを介して送受金や相対取引での送受金が、ほとんどコストなしでできたらとしたら、これはもう画期的なシステムだと感じることでしょう。
「もう自国通貨を持つ時代が終わる。」なんて極端な話もあながちウソではなくなるかもしれない。
これに、今日本政府が後押ししているキャッシュレス決済と組み合わせたらと、想像するだけで新しい時代の到来を考えてしまいます。
可能性の塊だったリブラ、結果的に不発に終わる?
「仮想通貨リブラが誕生したら、今保有している円預金の大部分をリブラに換えてもいいかな?」なんて考えていた人もいるかもしれません。
私自身、それは案外ありかもしれないとさえ思っていました。
どうせ銀行預金にしていても利息は付かないし、仮に日本の財政が危機に陥ったとしても、また、とんでもないインフレが起こったとしても、リブラで保有していれば、これらのリスクに対して危機を避けることが出来るかもしれない。
そしてフェイスブックのアカウントがあれば、どこでも誰にでも支払いや決済ができる可能性がある。
今時、お店や会社でフェイスブックのアカウントを持っていない人も少ないことでしょう。
また、リブラを信用する根拠として、VISAやマスターカードなどの超大手決済事業を行っている会社が参画していることが挙げられます。他にもイーベイやペイパルといった誰もが見たことがあるような企業名も、その参画団体の中に見られます。
つまり、超大手大企業が参加しているというところにも、ちょっとした安心感があるわけです。
ただ、個人情報から、決済記録といったものまで、すべてがフェイスブックという一企業を通してやり取りするという事に一抹の不安を感じなくもありませんが。
しかし、機能的にも可能性的にも、リブラには非常に大きな期待が持てる仮想通貨だったわけです。
ある意味、このリブラをどう扱っていくのか、世界の意見にとても興味のある話でした。
場合によっては第二第三のリブラが登場してくる可能性だってあったわけですから、仮想通貨の未来を暗示しているといっても過言ではないのかもしれません。
結果的には、リブラは不発に終わりそうです。
世界的な大規制が行われ、通貨として使うことはできないことになりそうです。
しかも、そんな動きを読み取ったのか、VISAやマスターカード、ペイパルやイーベイなど、多くの企業がリブラから離れていきました。
そしてついに、G20での規制合意。
どうやら、リブラだけでなく、仮想通貨というものに、まだ明るい未来は来そうにないようです。
マネーロンダリングとかなんとか言っていますが、そもそも国が通貨を発行する力、つまり通貨発行益をそう簡単には手放さないだろうなとは思っていました。
画期的な案ではあったけど、想像通り、却下。
そんな感じでしょうか?
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