AIで投資が簡単になるという話は本当なのか?

ロボアドバイザーという投資サービスが流行っています。

ロボアドバイザーでは、人工知能が資産運用を助けてくれるそうです。

『人工知能(AI)で賢い投資を簡単にできる』という話ですが、その話は本当に真に受けていいものなのでしょうか?

そもそもAI(人工知能)ってどんな存在なの?

「AIは、人よりも賢い、全能なる存在?」

AIに天才棋士が将棋や囲碁で負けた!といったニュースが流れます。

この話を受けて、どんなイメージを持つでしょうか?

ほとんどの人が、「AIは、人の知能を超えた。」というイメージを持つのではないでしょうか?

また、映画やドラマでは、AIが人を支配するなんて話があったり、AIで解決不可能な事件を解決するなんて話があったりします。

なんだかわからないけれど、とてつもなく凄くて、下手したら恐ろしいものにもなる可能性がある存在、というのが人工知能、AIの印象なのではないでしょうか?

そんなAIが、これまた何だかわからない世界の投資で活躍してくれる。

そんな話を聞けば、つい期待してしまう人も少なくないかもしれません。

しかし、本当にAIはそんなにすごいものなのでしょうか?

あるロボアドバイザーを運営している会社では、AIをつかって、その人のリスク許容度に合わせたポートフォリオを作成し、価格変動がそのリスクの範囲内になるようにコントロールしながら、長期的なリターンを狙っていくと説明しています。

そして、さらには、AIをつかって資産運用の手助けを行うアドバイスを行っていくことも目指しているという話もでてきました。

この話をそのまま聞けば、「これはとても素晴らしい商品になるんじゃないか?」と感じることでしょう。

しかし、AIとは何なのか、そのことをよく考えれば、あまり過信してはいけない商品なのかもしれません。

そもそもAIは、「考えられない」知能?

AIとは、あくまで数学的な存在であり、統計や確率といったものを駆使して計算しているだけの存在です。(少なくとも今の段階では)

実はAIは、人が物事を考えるシステムとは、全然違う仕組みで動いています。

その結果、現時点の人工知能AIにとって、『考える』ことが苦手だと言われています。

例えば、今の経済状況を鑑みて、人が次のように考えたとします。

『金利がかなり低くなっている。⇨企業や国が低金利を利用して際限なく借り入れをしているように感じる。⇨これによって債券の発行額が増えている可能性は?⇨これは、債権バブルである可能性はないのか?⇨債権バブルだとしたら、今後の展開はどうなる?。逆に債券バブルでないとしたら、その根拠となるのは何か?⇨・・・』

人であれば、誰もがめぐらす思考の流れですよね。

しかし、人工知能のAIは違います。

金利が低いという現象をとって、過去のデータから金利が低い場面を切り取り、その後に起こったことを結論として導き出します。

つまり、『金利が低い』から『結論』に導く中で、その過程が省かれている(考えることができない)という事です。

確かに、金融の世界には、考えなくても結論だけで行動してもそれなりに結果が付いてくることがあることは、わかっています。

しかし、AIのようにデータだけで読み解くとなれば、根拠となるデータの蓄積がものを言います。

つまりは、同じ局面となるデータをどのくらい集めて分析しているかがとても大切だという事です。

そして、できるだけ正確な答えを導き出すのに必要なデータというのが、これまた膨大な量になると言われているのです。

たとえば、人の歴史の中で、今と同じ世界的低金利という状況が何回あったのでしょうか?

数十回でしょうか?それとも100回ぐらいはあったのでしょうか?

どちらにしても、統計や確率を利用するAIに頼るには、データとしては不足しているのではないでしょうか?

『同じバブルは2度来ない』ともいわれています。

古くから言えば、チューリップバブルや南海バブル、比較的直近だとITバブルやリーマンショックのきっかけとなったCDS、仮想通貨やビットコイン、過去のバブルでその発端が同じであったことはあまりありません。

そのような状況で、今のAIにどれほど正確に分析できる力があるのでしょうか?

考えることが出来ないというのは、投資や経済の世界ではかなり痛い問題点なのではないかと思えてなりません?

投資はアート。勘が大切?

投資で使われる統計を過信することは危険だと思っています。

しかし、投資で統計を利用することは、かなり強力な武器になります。

言っていることが矛盾していますね。

ようは、使い方が大切ってことです。

統計は一つの分析結果としてとらえ、その結果を利用して、『考える』にまで至って本当に価値のある答えになってくるのではないでしょうか?

投資にとって、統計は『武器』。そして『武器』は使う人の力量がものをいう。

というわけです。

投資の世界で一番考えなければいけないリスクは、過去に例のない大災害です。

先日来た巨大台風でもそのリスクを実感したことと思います。

川の氾濫や決壊で、浸水被害が出た地域もあります。この地域や、この地域に住む人たちが、川の氾濫や決壊のリスクを全く考えていなかったわけではないと思います。

ちゃんと過去の被害などから想定して、最悪のケースとなることを避けるように事前に対策がされていたはずです。

街を流れる川には、大きな堤防を作り、ちょっとやそっとじゃ水が街に流れ出さないように考えられていたはずです。

でも、問題は起こってしまった。『数十年に一度』という事が起こってしまったがために。

金融の世界も同じです。

通常運行でのコントロールは、それほど難しいものではありません。

普段の統計データで運用する分には、大した問題など起こらないし、起こったとしても大きなリスクにはならないことがほとんどです。

しかし、今回の台風のように、数十年に一度が起こってしまったどうなのでしょうか?

人工知能やAIの基盤となるデータそのものが役に立たなくなり、逆に危険な状況に追い込まれることだってあるかもしれない。

あの、ノーベル賞経済学賞受賞者などが関与したヘッジファンド、ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)がそうだったように。

そして、投資をするなら知っておかなければいけない事実。

それは、投資の世界で『最も』避けなければいけないリスクとは、そういった『数十年に一度』起こるか起こらないかのリスクだということです。

通常運行の時に、どれだけ稼げたとしても、この『数十年に一度』のリスクは、そのすべてをあっさり奪い去っていく力があります。

投資家は、リターンに注目するばかりに、この『数十年に一度』のリスクを軽視する傾向があります。

その結果、『数十年に一度』のリスクに巻き込まれ、すべてを洗い流されてしまう。

よく大稼ぎして有名になったデイトレーダーが、バブル崩壊後世に出てこなくなるといったことがあります。こういった例は、まさに『数十年に一度』のリスクの大きさを物語っているといえるのではないでしょうか?

このリスクを心得ずに、資産運用をすることは、相当なリスクです。

人工知能やAIを利用したロボアドバイザーは、投資を簡単にするのが目的でつくられているという印象を受けます。

しかし、『投資は簡単なことではない。簡単だと思うのは愚か者である。』というバフェットの相方であるチャーリー・マンガーも言っています。

投資は、簡単にしようとする行為自体が、矛盾した行為になるのかもしれません。

ロボアドバイザーがどれほどのものか、それを測るには、まだまだ未知数なところがたくさんあるように思います。

投資をするなら、『考える』ということを抜きにして行うことはできないというのが、私の持論です。

ロボアドバイザーを使って、『考えること』を放棄しようなんてのは、リスク以外の何物でもない気がしています。

そもそも『考える』ことが出来ないAIに、投資を任せてしまっていいのだろうかという事もあります。

投資とは、結論や正解のないアートのようなもの。

その世界観も知らずに付き合おうとすると、贋作をつかまされてしまうかもしれません。

深く、そして複雑。だけど楽しい。

本当に不思議な世界ですね。

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