投資信託で運用するときに、「儲かりそうな投資信託を選んで買えばいい?」というわけではありません。
投資信託で運用しようと思うと、どうしても運用コストがかかってきます。というのも、人に運用を任せるなど、他者の手を借りるわけですから当然といえば当然です。
実は、この『運用コスト』を意識することが、投資信託で運用するとき、とても重要なポイントになってきます。
投資では、コストを意識すると、運用パフォーマンスが上がる?
投資信託での運用は、コストを意識するだけで運用のパフォーマンスが上がります。
というのも、今販売されている投資信託の中で手数料の高い投資信託ほど、運用パフォーマンスが悪いという結果が出ているからです。
平成28年度の金融庁のレポートでは、手数料が高めのアクティブファンドと呼ばれる投資信託の71%が手数料が低い傾向にある日経平均225に連動するインデックスファンドと呼ばれる投資信託よりも過去10年間のリターンが下回っているという報告がされていました。
つまり、今の投資信託での運用の常識として、コストをかければいい運用ができるわけではないということなのです。
なぜそうなるのか?
投資信託が運用している世界では、効率的市場仮説と呼ばれる市場原理が働いています。
この効率的市場仮説とは、一部の人間が他者を出し抜くような運用がほぼ不可能な世界であることを説明するものです。
つまり、どんなに賢くても、またどんなに経済や投資に明るくても、この市場原理よって、運用パフォーマンスは平均値に収束されることになると言っています。
という事は、投資の世界ではコストをかけるだけ無駄であり、逆にコストをかけないことでパフォーマンスが上がるということになります。
ちょっと考えてみればわかることですが、たとえば、株式市場の平均的リターンが7%だったとします。
すると、手数料2%を取られると、その投資信託のリターンは、7%-2%=5%のリターンという事になります。
今度は、株式市場のリターンが-3%だったとします。そして同じように2%の手数料を取られると、-3%-2%=-5%という事になります。
まとめると、手数料が上がると、『リターンが減り、そしてリスクは大きくなる。』というわけです。
結果的に資産運用のためのコストは、できるだけ小さい方がパフォーマンスがいいということになるのです。
投資信託で運用するときにかかるコストってなに?
投資信託では、2つの手数料がとられています。
投資信託を購入する時にかかる『買付手数料』と、運用している間ずっとかかってくる『信託報酬手数料』の2つです。
投資信託の運用に係るコストは、だいたいこの2つになります。
買付手数料とは、100万円で投資信託を購入しようと考えた場合に、買付手数料3%と設定されていた場合には、100万円の3%である3万円が、投資信託で運用を始める前に差し引かれます。
つまり、運用開始の金額は、100万円ではなく97万円になるという事です。
買付手数料と取られると、運用開始の時点でマイナススタートになってしまいます。
しかし買付手数料は、この購入時の初回のみにかかる費用であり、数年、数十年と長期で見ればそれほど大きな金額ではない可能性もあります。
ちなみにこの買付手数料は、同じ種類の投資信託でも、購入する窓口、金融機関などによって違うことがあるので、A銀行では1%取られたけど、B証券では0%なんてこともあったりします。
基本的に、店舗を持たずインターネットで投資信託の売買ができるネット証券やネットバンクといったところの方が、買付手数料がかからない傾向にあるようです。
次に、信託報酬手数料ですが、信託報酬手数料の一番の特徴は、運用している間つまり投資信託を買って保有している間ずっとかかってくる手数料ということです。
年間何%という設定をして、その%で計算した分を手数料として定期的に差し引いています。
実はこの信託報酬手数料は、我々投資している者にはとても見えにくいものとなっています。というのも、いくらの手数料が引かれているのかを明確に見ることがほとんどないからです。
投資信託の運用パフォーマンスを測る『基準価格』と呼ばれるものがありますが、実はこの信託報酬手数料が控除された後の価格となっています。
そのため、基準価格を参考にして運用のパフォーマンスを見ていると、手数料を取られているという実感がないまま運用してしまっていることが多々あります。
しかし、信託報酬手数料は、運用している間ずっとかかる手数料であり、ボディブローのように効いてくるコストであるため、実はとても重要なコストなのです。
資産運用の3原則といわれる、『長期、分散、積立』というものがありますが、この中の『長期』の原則にとって、信託報酬手数料が高いことはとても不利になる項目なのです。
長期の原則のポイントは、複利で運用することにあります。
その複利では、たった1%の違いが大きな差を生むことがあるのです。
投資信託での運用は、手数料というコストをいかに小さくするかという視点を持つだけでも、大きな差になることがあるのです。
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