リスクとリターンの関係。
資産運用の教科書的な回答としては、リスクが高いものはリターンが高く、リスクが小さいものはリターンも小さいと説明しています。
しかし、果たして本当にその通りなのでしょうか?現実と教科書的な回答がちょっと違っていることはよくある話です。
実践派の投資家はその点をどのように考えて、リスクを取っているのでしょうか?
リスクとリターンが常に相関関係にあるわけではない⁉
資産運用の実践的な感覚としては、『リスクとリターンは常に相関関係にあるわけではない』という事があります。
相関関係とは、同じ方向へ一緒に動く関係を言います。例えば、NYダウ指数が上昇すれば、日経平均株価も上がるといった関係のことを言います。
つまり、リスクが高くなれば、リターンも高くなる。また、リスクが小さくなれば、リターンも少なくなる。といった関係のことですが。
リスクとリターンの関係は、そんな単純に説明できるものではないというのが、投資を実践する中で感じていることというわけです。
資産運用の教科書では、リスクが高い株式投資は、リターンが高くなり、預貯金のようにリスクが低いものは、リターンが小さいと表現されています。
そのハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンの関係をそのままそっくり受け取るのは、賢明な投資家の考え方とは言えないのかもしれないということです。
リスクとリターンのバランスが崩れているものが狙い目?
賢明な投資家が狙っている投資先というのは、『リターンの割にリスクの小さい投資先』です。
リターンとリスクのバランスが崩れたところを狙っているわけです。つまり、リターンの高い株式投資だからリスクが大きいのも仕方がないと一概にとらえているわけではないという事です。
具体的には、株式市場が大暴落し、高値から半値にまで下落しているときというのは、そこから先どの程度の下落があるかと考えると、あくまで常識的には、さらに下げても2割から3割程度かなと考えることもできるわけですが。
投資しようと考えている企業の収益率が高くて、将来の業績も好調が持続される確率が高いことを想定できるような場合。
このようなケースは、まさに株式投資で考えるところの、ローリスク・ハイリターンになるかと思います。リスクの割に、期待リターンが高いというわけです。
賢明な投資家は、このようなリスクとリターンのバランスの崩れを発見すると資金を投じて投資するというわけです。
株式市場が暴落すると、株を買うという行動をとる人に株式投資で成功する人が多いのは、このような判断で投資をしているからなのでしょうね。
賢明な投資家は、リスクとリターン、実際には期待リターンのバランスの崩れを常に探しているわけです。
株式投資だからリスクは高いという発想は、証券を買わせる者の都合だけ?
はっきりいって、金融機関が、「リスクが高いとリターンも高い」と言っているのは、過去の株式市場などの相場の統計をとって、そのデータをいろいろ加工してグラフ化してみたら、そんな傾向が見えたというだけの話でしょう。
実際のリスクを理解しているのかどうかは、疑問に感じるところです。
そもそもリスクとは、『不確実性』を意味します。つまり確実ではないことなので、『結果何%』と出てきた数字だって、不確実だという事実を見逃していると考えています。
「統計は、すごい力を持っている!」というのは、肌身に感じているし、統計を無視して取引する投資はうまく行かないだろうとも考えています。
しかし、その統計の数字を「こういうグラフになったから、株式投資はハイリスク・ハイリターンでローリスク・ローリターンなんだ」と簡単に決めつけるのは、ちょっと違うのかもしれません。
統計のデータとなった大前提などもちゃんと理解する、「なぜこういう統計になったのか?」「こういうデータを集めるとこのようなグラフになるけれど、このグラフでつかわれたデータの場合、こういうケースはどうなのかという視点が抜けている可能性もありますよ?」といったことを考えることも大切だと思います。
ただ、株式などの有価証券や金融商品を売る立場にある人は、そんな細かいことをいちいち説明していられないことでしょう。
どれだけ簡単に、シンプルに説明するかの方が大切であって、「これはこうなっていますが、こういうことも考えらます。」なんていちいちすべて説明していたら、聞いている方はわけがわからなくなってしまいます。
言ってしまえば、それが『リスク』というものなわけですけど、わざわざ判断をあやふやにするようなことを、営業員などが話すことはないでしょう。
リスクとは何か?を知ること
リスクとは何か?と問われると、とても複雑で難解な問題になってきます。
・株式市場での株価の値動きの不確実性。
・情報の不確実性。
・未来予測の不確実性。
といったところは一般的なとことだと思いますが、実は他にも。
・人の認知するという機能の不確実性。
・感情のブレによる判断の不確実性。
・わかっていると思い違いする不確実性。
・知らないことを知らないという不確実性。
などなど、私たちの判断でさえ不確実なもので出来上がっています。
そういった環境の中で、賢明な投資家というのは、その不確実な部分を上回る、高い期待リターンを探して投資をしているわけです。
リスクとは単純に、『何%』で説明できるようなものではないのかもしれないという事です。
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