退職金の運用。みんな一度は考えることですよね。
一度に高額のお金を受け取ったのは良いけれど、とりあえず直近で使う用途はとくにない。
預金していたのでは、大した利息も付かないし、ちょっと勿体ない気もする。
なんかいい運用先はないかな?と考えるのも、当然なのかもしれません。
退職金の運用は、気を付けてというのが本音?
退職金のような大きな資産になるようにと運用するのと、退職金そのものを運用するのとでは、全然違います。前者は、時間をかけて運用することが出来ますが、後者は、前者のように多くの時間をかけられるわけではありません。
資産運用では”時間”というものがとても重要であり、また貴重なものでもあります。
わかりやすく言えば、「全資産を一気に投資するのは、よ~く考えて行わないといけませんよ。」ということです。
時間をかけて運用するといえば、『積立投資』という方法が有名です。
コツコツと時間をかけて少しづつ投資することで、大きな市場の暴落が起こっても、できるだけ損失を抑えつつ、将来的には、その損失を取り返してさらにリスクをとって投資しただけのリターンを手にすることもできるわけです。
もし全財産を一気に投資した後に、市場が大暴落して、資産が半分になってしまったら。
それを取り返すためには、十年単位の時間がかかる可能性だってあります。
数年後に使うことになるかもしれないお金を一気に投資するというのは、実際に株式投資などをやっている経験から見ても、やはり危険だと感じるものです。
退職金を預貯金においておくのはもったいない?
「退職金を預貯金に置いておいてはもったいない。」という話をよく耳にします。
そして、退職金を投資信託などで運用しませんかというのは、金融機関の常套手段となっているようにも思います。
でも「退職金を運用して、半分にしてしまっては、預金しているよりも勿体ない。」とも思いませんか?
投資は、タイミングで大きく成果が違ってきます。
退職金を受け取った時が、投資にいいタイミングであれば、それはラッキーでしょう。でももしそうではなく悪いタイミングであったら、かわいそうになるぐらいアンラッキーです。
しかも、この問題は、はっきり言って運だけです。
経済環境がどうのこうの、企業の業績がどうのこうの、今は投資に良い風が吹いているどうのこうの。
こんな話、何のあてにもなりません。世界の状況は突然一変します。さっきまで言っていたことが一夜明けたら、まったく逆の説明をしているなんてこともよくあります。
うまく行くか行かないかは、神のみぞ知る。『運』が明暗を握っています。
預金だけにしておくのは、勿体ないと思う気持ちはよくわかります。
でも、勿体ないという気持ちだけで投資をしてしまうのはいかがなものか。
良い状況が続いても、もし悪くなったとしても対応できる、『運』だけに任せない、『投資戦略』をしっかり練って投資に挑むことが必要です。
これは、運用商品の何を買うかの問題ではありません。『どうやって買うか』の問題です。
退職金での運用は、何を買うかではなく、どうやって運用するかを考えるべきです。
退職金の運用に限りませんが、当分使う予定のない多額のお金があります。
このお金を運用するのに、『なんかいい運用商品ありませんか?』と聞いてきます。
金融機関などに相談すると、ここぞとばかりに『こんな商品がございます。この商品は~で、~となっています。』と提案してきます。
でも何度も繰り返しますが、『何を買うかは』さほど重要なことではありません。
何を買ったって、投資環境が良ければ、たいがい運用はうまく行くものです。また、投資環境が悪くなれば、何を買ったって、うまく行かなくなるものです。
賢い運用を行うには、『何を買うかではなく、どうやって買うか』です。
そこを間違えてはいけません。
投資や資産運用の相談をするときは、『何を買うかではなく、どんな戦略で今後投資をしていけばいいのですか?』です。
そしてこの問いに答えられる人は、投資や資産運用の経験を積んでいる人に限られてくることでしょう。
知識として投資戦略の情報を持っている人はいるかもしれません。
でも、『学問なき経験は、経験なき学問に勝る。』という言葉にもあるように、知識だけでは経験している人にはかなわない。
そして投資や資産運用という分野は、そのことがとても良く当てはまる世界だと感じています。
どんな商品が良いですかという問ですが、これらのことを考えると、実は『この質問の仕方自体が間違っている』というのが私の回答です。
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