資産運用をうまく行うためにポートフォリオというものがあると聞きました。
ポートフォリオとは、株式や債券、不動産などに分散投資することだという認識はあるのですが、どの資産にどのくらい投資したらいいのでしょうか?
投資に慣れていない素人にはとても難しく思えて、やはり専門家に考えてもらわないとポートフォリオを作ることは無理なのでしょうか?
初心者にもできるポートフォリオ運用?
最近は、バランス型投資信託やロボアドバイザーなどのサービスが増えてきたことによって、投資になれていない資産運用初心者でもポートフォリオ運用ができるようになってきました。
これらのサービスを利用すれば、誰でもポートフォリオ運用ができるようになっています。
例えば、今勢いのあるロボアドバイザーでは、いくつかの質問に答えることで、あなたのリスク許容度を判定し、それに合わせたポートフォリオで運用ができるようになっています。
便利な世の中になりました。
ただ、ロボアドバイザーの利用料が少し高いと感じられるので、利用料を低く抑えるなら、ロボアドバイザーでリスク許容度を調べた、その結果で表示されたポートフォリオを参考に同じような資産配分のバランス型投資信託を買うなんて荒業もあります。
例えば、三菱UFJ国際投信が運用している投資信託『eMAXIS最適化バランス』というシリーズでは、リスク許容度を5段階に分けて投資信託を販売しています。
リスク許容度が高い方から、『マイストライカー、マイフォワード、マイミッドフィルダー、マイディフェンダー、マイゴールキーパー』という風になっています。
つまり、ロボアドバイザーでリスク許容度が、3と出たら、eMAXIS最適化バランスのマイミッドフィルダーを選ぶといった感じでもいいのかなということです。
むしろその方が運用成績は上かもしれません。
ロボアドバイザーのほとんどが、運用手数料が1%を超える中、eMAXIS最適化バランスシリーズの信託報酬手数料は、0.54%となっています。たった0.5%と思うかもしれませんが、この差は長期投資をする上で大きな差となってきます。
それに、税金コストの面でも、eMAXIS最適化バランスの方がロボアドバイザーよりも有利になってきます。
ポートフォリオのリバランスや資産構成の変更などを行う際にETFなどを売買する時、その売却益に税金が課税されることがありますが、eMAXIS最適化バランスなどの投資信託内で売買が起こってもそこに課税されることはありません。最終的に投資信託を投資家が換金した時に税金を支払えばいいことになっています。
つまり、運用期間中に係る税金コストが減る分、ロボアドバイザーよりも投資信託の方が有利ということです。
このように、ポートフォリオ運用を行うこと自体は、今はさほど難しくない条件が整ってきているわけです。
ポートフォリオの肝は、株式資産だ‼
ポートフォリオ運用は、ノーベル賞を受賞した理論でもあり、ファイナンシャル・プランナーなど多くの専門家もお勧めする運用方法です。ただ、個人が理想的なポートフォリオ運用をしようと思うと、投資信託を使うか、ロボアドバイザーサービスを利用するかの2つでしょう。
ポートフォリオ運用とは、株式や債券など投資資産間の相関関係と各種資産のリターンを統計的にはじき出し、その結果をもとに数々の資産を組み合わせて、リスクとリターンの最もおいしいところ、専門用語的には効率的フロンティアと呼ばれるところを探し出して、資産配分を考えるというものです。正直、これを一個人が行うには、多大な手間がかかりとても面倒な作業となりなかなかできるものではありません。
でも、実際にこれが必要なのかといわれると、個人的には『?』と思います。
というのも、そこまで細かな計算をすれば、細かな運用パフォーマンスを思い通りにできるようになるかというとちょっと違うと思っているからです。
人の感覚でそこまで細かな運用パフォーマンスを頭に描いている人はほとんどいないですよね。
ある程度ざっくりととらえている人の方が多いのではないでしょうか?
だったら、細かいことを考えるよりも、ざっくりとポートフォリオを作ってしまってもいいのではないかと思うのです。
きっとそれでも、運用パフォーマンスにそんなにたいそうな差はつかないのではないかと考えています。
むしろそのほうのが、運用に係るコストを削減することができて、逆にパフォーマンスが上がる可能性だって考えられます。
そこで、個人が自分で運用するポートフォリオで肝となる資産は何かというと、『株式』です。
ポートフォリオ運用で、『株式資産』をどの程度保有してるかが、ポートフォリオ運用のパフォーマンスを決定づけると考えてもいいでしょう。
ロボアドバイザーなどで調べてみてもその傾向は見受けられます。リスク許容度が高くなるにつれて、株式資産の割合が大きく変わっていますから。
つまり、リスク許容度に合わせて、株式資産をどのくらい保有するかを決めれば、だいたいのポートフォリオはできてしまうといえなくもないわけです。
株式と債券だけでつくるポートフォリオ
個人が自分でポートフォリオ運用を行おうと思ったら、『株式と現金or債券』だけでもいいのかもしれません。
リスク許容度に合わせて、株式資産を70%、50%、30%といった感じで設定し、残りを現金や債券で保有する。非常にシンプルで分かりやすい。しかも実践するのも楽です。
これは、私が自分でいろんな運用を行ってきた中でも実感しているところです。
リスクは株式資産の割合でコントロールし、その他は現金などのほぼノーリスク資産で運用する。
これだけでポートフォリオは十分かもしれないと感じました。
もっと言えば、経済環境に合わせて、株式の保有割合を変更するという方法が「もし」使えるのなら、株式の上昇期間は相場の上昇に合わせて増えていき、下落相場は、相場の下落よりも抑えた下落率にできる。そうやってポートフォリオ運用ができれば、最強ではないかと思ったわけです。
その資産割合の変更を行う時に、ポートフォリオをいろんな資産に分散させているよりも、株式と現金もしくは債券に絞ったほうのが楽だろうなと。
結果的には、経済環境に合わせて株式資産の保有割合を変更するなんてことを思ったように行うことはなかなか難しいということが分かったわけですが。
株式資産の配分を変更しなくても、この考え方はつかえると思っています。
株式投資への長期投資を行う上で、押さえておきたいポイントとして、下落相場の中を買っていくということが上げられます。
例えば、株式と債券(国内)の資産割合を50:50で配分すると。
株式市場の下落相場が来た時に、株式の資産割合が減っていき、また債券は株価が下落してもそれほど大きく変動しないため、株式30:債券70に資産割合が変わってくることになります。
そうすると、元の50:50に戻すためには、株式資産を買い増さないといけなくなるわけです。
つまりは、株価が下落⇒株式の保有割合が減少⇒株式資産の購入。ということになるわけで、株式資産の保有割合を変更しないということは、自然と株式相場の下落に合わせて株式資産の購入を行うことになるわけです。
正直こっちのほうのが、ノーベル賞のポートフォリオ運用よりも投資らしくないですか?
難しい理論や方法も、最終的には原点に戻る。個人的にはそういうものを感じています。
今ある多くの資産運用は、はっきりいって投資です。資産運用をするなら投資の理屈を抑えておいた方がいいに決まっています。
ところで、ここで取り上げた債券は個人向け国債などのほぼノーリスクの国内債券、もしくは為替変動の影響を受けない為替ヘッジありの外国債券をイメージしています。
株式資産以外は、大きなリスクにさらさないというイメージです。
為替ヘッジのない外国債券投資信託などは、対象外です。これらは、株式相場の下落と一緒に下落していってしまう可能性が高いので、選ぶべきではありません。
株式相場が下落した時に、株式の買い増しに使うために貯蓄しておくというスタンスで商品を選ぶといいですね。
なんにせよ、ポートフォリオをできる限りシンプルにすれば、株式というリスク資産とノーリスク資産の2つでOKというわけです。
そして、たったこれだけのポートフォリオであっても、その効果は十二分に発揮してくれることと個人的には考えています。
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