投資をする上でのリスク対処の極意?『確率論的思考 金融市場のプロが教える最後に勝つための哲学(田渕直也)』

「不確実性」あまり聞きなれない言葉かもしれません。

ですが、「リスク」という言葉にすると、ほとんどの人が耳にしたことがある言葉になるかと思います。

リスクという言葉から連想されるのは、”危険”とか”やってはいけいない”といったマイナスな印象が強いように見受けられます。

ですが、本来のリスクの意味としては、「不確実性」という言葉が最適だと思っています。

不確実性、つまり”確実ではないこと”ということです。これは損失が発生するということだけでなく、利益が出ることも不確実という意味でとらえます。

損失が出るか不確実、利益ができるかも不確実。だからリスクがある取引ということになります。

そもそも、この世の中は、ほとんどのことが不確実の世界です。

確実、絶対といわれるようなものは、ほとんどありません。そう考えると、私たちは常にリスクの中にいるわけです。

ですが、不確実ということを前提に物事を考えていることはほとんどないのではないでしょうか?

「こうなったのは運命」「努力したから、この成功を手にすることができた」「この人が成功したのは、成功するだけの才能があった」

などといったように考えることがほとんどです。

こういった考え方を本書で解説している確率論的思考に対して、本書では因果論、結果論、努力万能論などいう言葉で表現しています。

この不確実に満ちた世界で、物事を考えるにあたって、確率論的思考と因果論などは、どちらの方が有効なのだろうか?

そう考えた時に、不確実性の世界では因果論などよりも確率論的思考を持つということが必要なのではないかというのがこの本の趣旨です。

そのたとえとして、米国の元財務長官ロバート・ルービンの言葉を引用しています。

「結果は悪かったが、判断自体は間違っていなかった」という言葉です。

例えば、確率85%成功し、15%の確率で損失を出す可能性がある取引を前にしたときに、どう考えるか?

当然、成功する確率が85%もあるわけだから、積極的に攻めていこうと考えることと思います。

ですが、たまたま15%の方に入ってしまった場合、この取引は損をすることになります。つまり、「失敗した」という見方をすることが多いことでしょう。

しかし、この取引は失敗なのでしょうか?

15%の確率で損失が発生することがわかっていたのであれば、その損失は想定の範囲内だったといえなくもないですよね。

つまり、「結果は悪かったが、判断自体は間違っていなかった」というわけです。

15%損失が発生することを考慮しながら取引を行ったり、同じような取引を何度も時間と回数をかけて行っていれば、最終的には良い結果を出せるだろうということはなんとなく理解できるかと思います。

言われてみれば単純な話です。

ですが、人はこの単純な発想を持つことができません。人の心は、確率論的思考ではなく、因果論や結果論、努力万能論など確率論的思考とは対極的な考え方の影響を強く受ける傾向があります。

この傾向は金融市場においても全く同じです。

金融市場は不確実性を学ぶのに本当に良い題材だと思っています。つまり金融市場こそ確率論的思考で臨むべきところなんだと常々感じています。

ロバート・ルービンは、金融のトレーダーの世界で成功し、経営者としても、そして米国財務長官としても大成功してきたのには、確率論的思考で世界を考えていたことにあると言っています。

その他、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康といった有名な歴史的偉人や古代ローマ、古代中国などの歴史を確率論的思考から見るとどうなのかという話もしていて、非常に面白く読めました。

この著者の考え方は、私の市場に対して感じてる感覚に非常にマッチしていて、とても参考になっています。

以前にも、「不確実性超入門」という本を紹介しています。

最後に、確率だけで金融市場を見たら、結局インデックスファンドを買って長期で保有するということが最善という結論になってしまうのではないかと考えるかと思います。

しかし、この著者は、そうとは限らないという考えを持っているようです。

私も同意見を持っています。だからなのか、本当に毎回いい勉強をさせていただいています。

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