先日1月15日に会員登録が始まったソーシャルレンディング『ビットリアルティ』
今まさに、ソーシャルレンディングに投資をしているたくさんの人が損失を被り、ソーシャルレンディング投資から離れていく人もいる中でサービスを開始するとは、なかなかにタイミングが悪い気もします。
ですが、REITなどを運営しているケネディクスが運営するソーシャルレンディングということなので、期待感があることも事実です。
ケネディクスとソーシャルレンディング?
ケネディクスといえば、『ケネディクス・オフィス投資法人』や『ケネディクス商業リート投資法人』など、現在4つのJ-REITを運営している、東証1部に上場している不動産運用の会社です。
リートを運営していることから分かるように、不動産ファンドの運営を仕事としている会社です。
その会社が、野村総合研究所とタッグと組み新しく始めるサービス。それが、『ビットリアルティ』です。
サービスの内容としては、マネオやクラウドクレジットなどと似たようなソーシャルレンディングに近い感じがします。
しかし、ソーシャルレンディングという言葉を使わず、オルタナティブ投資という言葉を使っているところになにか意図があるようにも感じます。
オルタナティブとは、株式や債券などといった従来の金融商品とは別の投資のことと言われています。
例えば、不動産やリートをオルタナティブという人もいれば、先物やオプションをオルタナティブという人もいます。
はたまた、ロングショート戦略などを利用したヘッジファンドのことを言ったりもしています。
ようは、株や債券など伝統的な金融商品以外の物をオルタナティブと表現したりするわけですが、その定義から言えば、ソーシャルレンディングもオルタナティブといえなくもありません。
『ビットリアルティ』では、まだ具体的なファンドは登場していませんが、サイトなどを見る限り、不動産を利用した債券投資に近い感じの内容なのかなと感じています。
実際に、『ビットリアルティ』の商品の特徴として、「ミドルリスク・ミドルリターンとなる「メザニンローン債権」を主な投資対象とします」と紹介されています。
メザニンローンとは、不動産を購入するときに、銀行などが融資しきれない部分の融資として、銀行の融資に劣後して発行されるローンのことです。
銀行融資に劣後しているため、銀行よりも高いリスクを取ることになりますが、逆に銀行よりも高い金利を設定しています。
ズバリ言えば、ロードスターキャピタルが運営している、ソーシャルレンディングの『オーナーズブック』に近い商品性なのかなという気がしています。
ビットリアルティ、ソーシャルレンディングならではの危険性は大丈夫か?
オルタナティブ投資といっても、ソーシャルレンディングに似ているとなれば、ソーシャルレンディングに投資する場合と似たリスクがあると考えられます。
要は、最近ソーシャルレンディング界隈で問題になっている。
『ソーシャルレンディング事業者の信用リスク』という大きな問題です。
投資先が安全か、利回りは適正かということよりも、投資先を選定したり、貸し付けたり、投資家からお金を集めたりといったことをしているソーシャルレンディング業者自体のリスクです。
私もラッキーバンク、マネオマーケットと立て続けにその問題に巻き込まれました。
ソーシャルレンディング投資をするときは、その投資の仕組みや投資先が魅力的かどうかよりも、そのソーシャルレンディングを行う事業者が信用できる業者なのかどうかを見定めてから始めるべきだということを痛いほど感じました。
今回の『ビットリアルティ』は不動産運用に関してはたくさんのノウハウを持っていると思われるケネディクスが運用しているという点で信用力は高いのではと思っています。
たとえば、ラッキーバンクでは、貸付を行う事業者に対し、不動産を担保とした貸付を行うファンドを運営していました。
もし貸付先が返せなくなっても、担保として設定した不動産を処分すれば、貸したお金の返済にあてられるということで、安全性が高いと思われていました。
ですが、その実態はその担保評価額が適当で、担保としての機能はほとんどなかったという問題が起こりました。
この点では、不動産運用のプロであるケネディクスが運用する以上、安心できるのかなと思わなくもありません。
他にも、資金管理の面など、様々なところで、今までいろんな問題を起こしてきたソーシャルレンディングの問題点を見直し解決するための仕組みが取り入れているようです。
業界として様々な問題が起こった後の後発組というメリットが生かされているのかなと思いました。
その点では、クラウドポートが始めた、Funds(ファンズ)というソーシャルレンディングでも、後発組としてのメリットが生かされているなと感じています。
ソーシャルレンディングに実際に投資を行って、いろんな問題を経験してきたからこそ、こうしてより良い仕組みというのが見えてくるのかなと思いました。そして、過去の問題点を少しずつ解決しながら、本当に世の中に定着するサービスへと成長していくという過程を今まさにソーシャルレンディングを通してみているかのようです。
ソーシャルレンディングは、これかもっと有望な投資先となるのだろうか?
ソーシャルレンディングで痛い目を見た後、「もう懲りた」とばかりに去っていく。
もしかすると、今はそういう時期なのかもしれません。しかし、株式投資などにも共通して言えることですが、市場が冷え切った後が本当のおいしい時期ということもあります。
ソーシャルレンディング投資に期待している人は、今こそ失敗を経験することで身に着けた目利き力で、本当にいいサービスとなるソーシャルレンディング業者を見つけ投資をするべきなのかもしれません。
実際に、クラウドポートのFunds(ファンズ)やケネディクスのビットリアルティ、SBIソーシャルレンディングの怒涛の勢い、こういったところを見ると、嫌気がさしている投資家たちが増えている中でも、ソーシャルレンディングが本物のサービスとなると考えている大きな企業たちがいるように感じられます。
これが、今後もソーシャルレンディングという新しい投資の未来が期待されているということを示しているのかもしれないと考える理由になっています。
実際、ビットリアルティのホームページにあるように、株式や債券といった従来の金融商品に、オルタナティブという新しい資産を組み込むことで、いままでとは違うポートフォリオを作ろうということは、理にかなっているように感じます。
ポートフォリオで分散投資を行う目的が、資産価格の値動きが違うものを組み合わせることで、資産全体の値動きのリスクを軽減することなのだとしたら、ソーシャルレンディングのような仕組みの投資は、「値動きがなく、分配金を受け取れる投資」という特徴があり、まさに従来のポートフォリオにぜひ組み込みたいと思うような資産クラスです。
これらをポートフォリオに組み込むことは、資産運用を一段階レベルアップすることにつながる可能性もあるのではないかと考えています。
最近のソーシャルレンディング投資のように、訳の分からない理由で損失が出るような投資などではなく。
あるべきリスクとリターンが享受でき、安心して投資できるものとして、オルタナティブ投資やソーシャルレンディング投資が成長し、広がっていってくれることを願っています。
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