最近インデックス投資の弊害に関する意見をよく見かけるようになってきたなと感じています。
今までは、明らかにインデックス投資はブームでした。株式投資などにあまり触れてこなかった、投資初心者の人もインデックス投資は良い投資と考えていたように思います。
書店でも、インデックス投資に関する本がたくさん出ていました。
しかし、金融という世界では、ブームになったものはいつか廃れるというのが自然な流れです。インデックス投資も、今まさにその流れの中にいるのかもしません。
でも、たとえそうだとしても、インデックス投資の有効性が失われるわけではないと考えています。
インデックスファンドブーム?
金融という世界では、「一つのブームが起こり、そしてそのブームが廃れ、また新たなブームが起こる。」ということを常に繰り返しています。
最近でも仮想通貨(暗号通貨)というブームが起こり、廃れていったのが記憶に新しいところです。
そして新たなブームとしてキャッシュレス化というものが注目を集めているように感じています。
このように金融の世界では常にあたしいブームを探しているというところがあります。そのブームは、大きいものから小さなものまでいろいろあります。
そして、新しいブームが誕生するたびに、それまで注目を集めていたブームは廃れていくというのが必ずといってもいいほどよく起こっている現象です。
インデックス投資も、そのブームの一つだったのではないかと感じています。
投資信託を選ぶ際に、「インデックスファンドかどうかが重要だった。」そんな雰囲気を感じていました。
しかし、そんなインデックスファンドブームも今終焉を迎えようとしているのかもしれません。
インデックスファンドが注目を集めるようになったきっかけは、日銀のインデックスファンド大量購入。つまり日銀がETFを買い始めたことが大きく影響しているのではないかと思っています。
その日銀が、ETFというインデックスファンドを購入するのに合わせて、証券会社各社がインデックスファンドを顧客に勧め始めた。
さらに金融庁などの取り組みによって、つみたてNISAやイデコなどの制度が始まり、よりインデックスファンドが選考されるようになってきたと感じます。
しかし、インデックスファンドがもてはやされるようになった結果、最近になってインデックスファンドの悪い部分が目に付くようになってきたというのが、ここ最近の傾向なのかなと思います。
ちなみに、インデックスファンドの問題点については、以前にも記事にしています。
インデックスファンドは良い?悪い?
インデックスファンドの問題点と言えば、市場全体を買うタイプのインデックスの場合、良い銘柄も悪い銘柄も関係なく、皆一様に購入することになるので、本来あまり買われることのないような銘柄も、インデックスで買われることで、そのあまり買われることのないような株の株価が本来の価値よりも高くなってしまう可能性があると考えています。
本来、株式市場などのマーケットには、良いものと悪いものを選別するという機能があり、その機能があることが、市場に効率性を持たせていると考えています。
しかし、皆一様にインデックス投資ばかりするようになると、その選別機能がなくなり市場の効率性に歪みが生じることが考えられます。
また、最近ではインデックスファンドという名前を付ければいいと思っているかのような投資信託も登場するようになってきました。
例えば、AI企業に投資するインデックスファンドとか、ロボット技術に投資をするインデックスファンドといったように、特有の事業に集中したインデックスファンドが生まれるようになってきました。
果たしてこれはインデックスファンドと言っていいものなのだろうか?判断が難しいところです。
インデックスファンドとして論じられているものとしては、市場全体を購入するというのが、インデックスファンドの本来の在り方とされています。
その点では、日経平均株価連動型の投資信託も、本来の意味でインデックスファンドとは言えないものかもしれません。
インデックスファンドの定義がいまいちはっきりしていないところがあるので、いろんな解釈が生まれることも、しかたのないことだとは思います。
とりあえずの理解としては、インデックスファンドとは、市場に上場している銘柄すべてを購入することと考えることが妥当でしょう。
この考えに沿ったところでいうと、TOPIXに連動するインデックスファンドが最もこの考え方に近いといえます。
ただ、TOPIXの場合、加重平均という計算方法を使っていて、この計算方法が本来のインデックスとして妥当かどうかという点でまた議論の余地がある感じです。
そういった議論から生まれてきたのが、スマートベータと呼ばれる新たなインデックスというわけです。
このようにインデックスと一言で言っていても、実際はかなり複雑な話になっているというところがあります。
インデックスファンドを一概に良いものと言えないのには、こういう話があるためです。
とにかく、今までインデックスファンドがもてはやされてきたこと、そして日銀によるETFの大量購入によって、市場が歪められている可能性があるのではないかというのが、ブームとなったインデックスに、そろそろ終焉の時がきてもおかしくないと考えるようになっている理由です。
インデックスファンドの終焉?しかし、インデックス投資が今後も有効な投資法であることに変わりはない?
インデックスファンドをお勧めするのには、それなりのわけがあります。
そして、そのわけというのが、かなり強力な理由からきています。そのことを理解していれば、インデックスファンドで運用することが、今後も有効であることに疑いを持つことはないでしょう。
まず、運用に係るコストが非常に低くできるという点。
株式投資などで、リターンを下げることになる最大の要因は、運用に係るコストです。
良い運用をしようとするよりも、徹底的に運用コストを排除することに集中したほうのが、おそらく運用のパフォーマンスは上がりやすいと考えます。
それと、市場はある程度効率的にできているという点です。
市場(マーケット)は、短期的には歪むこともありますが、長期的には、効率的に動いていると言えます。つまり長期間投資を行っていれば、市場の効率性によって、運用のパフォーマンスは結果的に平均値に近くなるというのが、現実だと考えています。
つまり、どうせ平均値程度のパフォーマンスになるのであれば、最初から平均値をマークすることを目的とするインデックスファンドで十分という事です。
また、インデックスファンドでの運用は、バイ&ホールドがしやすいというメリットもあります。
バイ&ホールドとは、そのままの意味で「買ったらずっと持ったまま」ということです。
インデックスファンドで投資を行っている人は、このバイ&ホールドで投資を行っている人が多いという話があります。
投資でうまくいかない最大の理由は、市場に揺さぶられる心の問題です。
その点、バイ&ホールド戦略は、市場に揺さぶられることがありません。つまり失敗も少ないということができます。
株式投資などで高いパフォーマンスを上げている人は、ほとんどのケースで失敗にめげず続けてきた人だと感じています。
インデックスファンドで評価額が下がり、損をしたと言っても所詮は平均値、ほかの失敗した人たちに比べればまだまし、と思えば、価格が変動するものを保有し続けることに多少は気が楽になることでしょう。
このように、インデックスファンドのインデックスとは何かという部分に疑問の余地はあっても、インデックスファンドという投資信託の機能そのものは、運用方法としてまだまだ有効なところは多々あると考えています。
よって、インデックスファンドが今後も有効な投資方法であることは、間違いないことでしょう。
インデックスファンドと言えば、「敗者のゲーム」という本が有名ですが、この本の著者チャールズ・エリスが、インデックスファンドが割高になることもあると表現したことがありました。
今がまさにその時なのかもしれません。
しかし、大切なことは、インデックスが割高だからと言って、インデックス投資がダメというわけではないということです。
今は割高であっても、それはいつか是正され、正しい評価でまたインデックスがあるべきパフォーマンスを示してくれる。
長期的にはそう動くだろうと思われます。
最後に、金融の世界でブームに踊らされることは、大きな損失を負うことになるという法則もあります。
もし仮に、インデックス投資ブームがこれから終焉を迎え、インデックス投資にいろんな悪い評価が下されるようになったとしても、それに踊らされず、インデックス投資の本当の価値を考え、正しく使っていくことができる忍耐力をつけること。
もしかすると、これがこれからインデックス投資を行っていくにあたって、一番たいせつなことになるのかもしれません。
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