投資信託の「分配金再投資」と「分配金なし」は、なぜ分配金なしの方がいいと言われているの?

投資信託を購入するときに、その投資信託から受け取った分配金を、そのままその投資信託の購入に充てる分配金の「再投資」という仕組みがあります。

しかし、そもそも分配金は、最初から出ないタイプの投資信託の方が有利だと言われています。

一体なぜ分配金を再投資する投資信託よりも、分配金がでない投資信託の方が有利なのでしょうか?

「投資信託の分配金はない方がいいというけれど、分配金を受け取らないと、投資で利益を得ている気がしない?」

その気持ちは、よくわかります。『分配金=利益』というイメージがありますからね。

ですが、投資信託という仕組みを知れば、分配金と利益はイコールではありません。俗にいう「タコ足分配」もまさにその話に通じるものです。

そもそもなぜ投資信託には分配金がない方がいいと言われているのでしょうか?

その理由は、『複利』という考え方にあります。

投資や資産運用を行う上で、『複利』というのは、とても大切な考え方なので、覚えておいた方がいいです。

分配金を受け取って、そのまま消費に使ってしまうよりも、再投資して、利息が利息を生み出すという循環を作ることが、資産運用の大きなポイントなわけです。

複利についての詳しい説明は次のコラムに譲ります。

そして、分配金を受け取るタイプと、分配金そのものが出ないタイプのものでは、後者の分配金そのものが出ないタイプのものの方が『複利』運用の効果が高いとされているのです。

その理由は、分配金に係る”税金”が影響しています。

分配金を受け取るタイプのものは、実際に受け取りがなく再投資されたとしても、分配金を受け取ったものとして考え、所得税や住民税が差し引かれています。

どういうことかというと、仮に時価100,000円の投資信託から分配金(普通分配金)が100円出たとします。

すると、その100円から、所得税と住民税含めて、20.315%という税金が源泉徴収されます。

※源泉徴収とは、収入を得たと同時に税金が差し引かれで振り込まれたりするものです。他には給与や年金なども源泉徴収の対象となっています。

つまり、分配金100円に対して、実際に再投資される額は、源泉税を差し引いた、約79円になるので、この投資信託の総額は、100,000円+79円になるので100,079円ということになります。

再投資とは言え、分配金を受け取ることによって税金が控除されてしまうため、分配金が出る前と出た後では、投資信託に預けていたお金が、税金分減っていると考えられるわけです。

しかし、分配金が出ないタイプの場合には、税金を差し引かれることなく、分配金として出る分も運用されることになるので、先ほどのケースで考えると、100,000円+100円=100,100円ということになるわけです。

つまり、分配金となる分が、税金を差し引かれることなく運用され続けることになるので、運用期間中効率的に複利運用ができるわけです。

ここでふと疑問に思うところもあるかもしれません。

それは、分配金がないために、運用期間中に税金を差し引かれることがなかったとしても、最終的に売却などして現金化した時には、その分の税金を差し引かれるのだから、どっちも同じなのではないかという疑問です。

ですが、計算してみるとそうはなりません。やはり運用期間中は税金を納めないようにし、最後に手にした利益に対して税金を納めたほうのが、リターンはずっと上になります。

これも『複利』という考え方が影響しているわけです。

このことから、いろいろ想像できるようになります。

株式市場に上場している投資信託、ETFなどよりも、運用期間中にまったく分配金が出ない投資信託の方が、信託報酬手数料などのコストが多少上だったとしても、長期間運用にしたら意外と有利なのではないかという推測もできます。

※ETFは基本的に分配金を受け取る設計となっています。

また、つみたてNISAやイデコなどの非課税制度を使うことで複利運用の効果が高まるメリットも、ここから理解できます。

ただ、この話は机上の空論であり実践の運用の世界とは違うという意見にあるかと思います。個人的にはそれにも賛成です。

なぜなら、資産運用でつかう投資資産は、上がったり下がったり値動きがあるものです。

計算上は、分配金を受け取らない方が有利だとわかっていても、実際に買った投資信託がじわじわと値下がりを続けていたら、あなたは解約しないと言い切れますか?

経験したことのある人ならなんとなくわかる話かもしれません。

そうです。実際の運用には、私たちの心の問題の影響の方が大きいものなのです。

分配金が全くなく、だらだらと値を下げる投資信託と、分配金を受け取りながらだらだらと値を下げる投資信託、どちらの方が保有し続けられると感じますか?

おそらく、後者の方がいいと思う人は少なくないのではないしょうか?

複利運用はそもそも、長期で運用するというのが最も重要なことです。多少利回りが悪くなったとしても、続けられなくなっては意味がありません。

「分配金があるからまだいいや」そう思うことが運用を続ける助けとなることは十分にあると思っています。

つまりは、分配金を受け取ったほうのが、安心して長期間の運用できるという場合もありえるということです。

特に投資信託などでの投資になれていない、投資初心者の方にとってはその傾向は大きいかもしれません。

結局のところ、計算上で有利だと言われてても、一番重要なのは無理せず、長く運用を続けられる方法を探すのが一番だということなのかもしれません。

「分配金なし」などの投資信託を利用するようになるのは、投資信託の仕組みを理解し、資産運用に慣れてきてからになるのかもしれませんね。


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