資産運用は米国国債だけで十分?『 証券会社がひた隠す米国債投資法 [ 杉山暢達 ]』

「証券会社がひた隠す。」こういう文言はやっぱり惹かれてしまいますよね。

隠す理由は、そうです。金融機関が儲からず、投資家が儲かる商品だから!

金融機関が儲からない商品というのは、投資家が儲かる商品であることが本当に多いです。

例えば、投資信託よりもETF。店頭CFDよりも、くりっく株365。定期預金よりも個人向け国債。

どれも、金融機関があまり勧めて来ません。ですが、まちがいなく個人投資家が儲かりやすい商品だと思っています。

本書の中でもでてくる話ですが。

金融機関は、企業である以上儲かりたい。儲かりたいから儲かりやすい商品を売る。儲かりやすい商品とは手数料がたくさんとれる商品。

個人投資家は手数料が高いと、儲からなくなる。

考えてみてください。

株式投資の収益は長年取引していると、日経平均やTOPIXなどのインデックスの収益率にほぼ沿ってくるのだとしたら、そのインデックスの収益率からどれだけの手数料を取られるかで、個人投資家の収益は決まってくることになりますよね。

つまり、手数料の差は、そのままそっくり収益の差になってくるというわけです。

ということは、金融機関が儲かる商品は、個人投資家があまり儲からない商品という事になるわけです。

だから、本当に個人投資家が儲かる商品というのは、金融機関が勧めたがらない商品に多くなるというわけです。

この本で登場するのは、米国国債。

間違いありませんよね。ほぼノーリスク(為替リスクは別ですが)で、年利約3%の商品とかがあるのですから。

30年の長期米国債を買ったら、30年後には元本が倍以上になっています。

米ドル建てではありますが、ほぼ確実に元本を倍にできる商品なんてそうそうないかもしれません。

この本でお勧めしている米国債券は、ゼロクーポン債と呼ばれる商品です。

ゼロクーポン債とは、その名前の通り、クーポンがゼロ、つまり利息の受け取りがない債券のことです。そのかわり、購入時に債券の額面から割り引いて購入することができます。

例えば、額面金額10,000ドルの米国債券(ゼロクーポン)を額面金額の45%で販売という場合。4,500ドルでこの債券を購入すると。満期の30年後に、10,000ドルになって還ってくるというわけです。

ほぼノーリスクで、満期の時に確実に「増えて」受け取ることが確定している投資商品というわけですね。

このゼロクーポン債の良さは、利息を受け取らないことで、自動で複利運用ができているという点です。

利息が受け取れる「利付債」というのもありますが、こちらだと、利息を受け取るたびに再投資しないといけないというのが手間になります。

複利の効果を確実に実行できるというところがゼロクーポン債を使う目的だそうです。

しかも、このゼロクーポン債のライフプランに合わせた具体的な使い方をこの本では紹介しています。

実はこの本は、米国債券という商品を詳しく説明しているという内容の本ではなく、ライフプランの内容の方が強い印象です。

特に老後の生活費の準備の仕方、そこに米国債券のゼロクーポン債を使ってどうやって準備するといいのか。

それを詳しく説明している感じです。

考えてみれば、債券の話を本で云々かんぬんと説明しても、読者からしたらほとんど魅力ない本になってしまうかもしれないですからね。ライフプランといった内容が強くなるのは自然なことなのかもしれません。

そして、この本の内容がわかってくると、決定的となる事項に、「ドル建ての終身保険」や「ドル建ての年金保険」といった商品は確実に死んだ商品だなという事を実感します。

はっきりいってこの本の内容通りに行動すれば、これらの保険商品を使う理由が全くありませんし、もしこれらの保険商品に加入している人がこの本を読んでしまったら、『後悔』、これしかないのではないかと。

その話も、似たエピソードでこの本で紹介されていました。

保険会社の営業員が、米国国債ではなく保険を使うことの良さを散々議論した挙句、最終的には米国国債の方がいいことを認め、その保険の営業員自らも「米国国債を買うことにした」という話で紹介されていました。

まぁその通りでしょうね。

この本は、金融機関からしたら「恐ろしい提案をしてくれたものだな」と思う人もいるかもしれません。

しかし、この本で一点どうしても疑問に思うところがありました。

それは将来のドルと円の関係です。

この本の著者は、日本の芳しくない経済環境や少子高齢化への流れから、円安になると考えているようです。

ですが、そういわれながらも、ドル/円はずっと円高に動いてきました。

経済環境とか、国力などとドル/円の関係はあまり関係がないのかもしれないと思うところもあるのですが、その点については考えられていないことです。

個人的には、国力がどうとかよりも、物価平準説の方が強い気がしています。

つまり、このまま日本でデフレが続くようであれば、インフレ経済気味の米国に比べて、円高に動きやすいのではないかと考えているというわけです。

実際のところどうなのかについては、なんとも言えませんが、それでも、国力が弱まるからといって円安になると安易に考えるのはどうかと思います。

それでも、この本の通り長期の米国国債への投資は十分に価値あるものになってくるのではないかとは思っています。

米国国債に興味がある人というよりも、将来のライフプランをどうしたらいいのだろうと考えている人にとっては一読の価値があるかもしれません。

FPたなか/㈱あせっとびるだーず


『お金のいろはファイナンシャル・プランニング』という独立系FP事務所で資産運用プラン策定の相談を行っています。

https://fpoffice.okane-iroha.com/

㈱あせっとびるだーず 
 代表取締役 田仲幹生 です。
【保有資格】
 CFP
 1級FP技能士
 宅建士

生命保険会社に勤め、その後税理士事務所に勤務すると同時期に、投資信託や株式投資を始めたが、2年後リーマンショックという株価大暴落に巻き込まれ、総資産の半分近くを失いました。
しかし、その後もめげずに投資と勉強を続け

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