人は合理的に物事を考えているようでも、実際は全然そんなことはありません。特にお金に関することは、驚くほどずぼらなところを持っています。
その一つに「心の会計」という言葉があります。これは、無意識のうちに支払いを区別して考えているという傾向のことを言います。
よく例えらえる話として、観劇のチケットを購入したが、そのチケットをなくしてしまったとき、もう一度チケットを購入し直して観劇を見に行くようなことはあまりしないのに、当日窓口でチケットを買うために”お金”をもって観劇を見に行った時、途中で持っていた”お金”をなくしてしまったときには、もう一度お金を用意してチケットを買うということをする傾向にあるという話があります。
なんだか不思議ですよね。同じお金なのにどうしてこうもとらえ方が変わってしまうのか?
チケットを先に買っていて、そのチケットをなくしてしまった場合には、そのお金というのは、観劇を見るためのお金を追加で負担する感覚になりますが、お金をなくしたときには、そのお金は観劇を見るためのお金という区分をしていないために、なくしたお金はなくしたお金、観劇を見るお金は観劇を見るお金と分けて考える癖があるということのようです。
こういった同じお金なのに、無意識のうちに心で支払いを勘定分けしてしまっているので、「心の会計」というわけですね。
似たようなところで、高額の支払に直面すると、細かな支払いに気を配らなくなるということもあります。
例えば、家電を買うときに。
新しく家を買って家電をそろえる場合と、今使っている家電を買い替える場合。
後者の今使っている家電を買い替えようとするときは、性能と価格の両方を比較して、一番適切なものを買おうとします。さらに言えば、同じものであれば、少しでも安く買う方法はないかと考えるものです。
それなのに、家という高額商品の購入に付随して家電を買う場合には、細かな価格差はほとんど気にしなくなってしまいます。
さらに言えば、多少高くても、いいものの方がいいかもとさえ思えてくるものです。
同じものを買おうとしているのに、考え方が全然変わっているのには、とても不思議な気持ちになります。
ですが、これが現実です。思い当たる節は多々あるのではないでしょうか?
金銭感覚とは意外とあいまいなものだということですね。
合理的に物事を判断している気分でいることは、お金の世界ではある意味命取りということなのかもしれませんね。
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