『個人投資家もマネできる 世界の富裕層がお金を増やしている方法』志村 暢彦(著)

お金を増やすポートフォリオの作り方

ポートフォリオは、『保守的な投資』と『積極的な投資』、そして『超積極的な投資』で運用する。

配分比率は、保守5:積極3:超積極2。

いわゆるコアサテライト戦略という手法だと思われます。

一般的なコアサテライト戦略が保守7:積極3のような保守的なものなのに対し、本書での資産配分は、若干攻撃的な資産配分です。

しかも、通常の保守的な運用では債券などの価格変動のあまり大きくない資産をすすめるなかで、本書では、保守的運用から株式投資のポートフォリオを進めています。

そう考えると、かなり攻撃的なポートフォリオ運用と言えるのかもしれません。

そして、積極運用ではオプション取引を利用する。

では、超積極はどうなるのだろうと思う所ですが、これはもう当たりくじ並みの、SPAC投資やベンチャーキャピタルといったところへの投資を薦めています。

ここまで行くと、もう個人投資家レベルにとっては不必要なリスクを取っている運用だと思えなくもありません。


正直、本書の内容では、投資戦略として何を目指しているのかがわかりにくく、ただ筆者の知識を披露しているだけのような内容にも感じました。

つまりは、具体的な銘柄選択の基準や取引タイミングなどはあいまいで、実践で役立てるのには、結局読む人自身の創意工夫が必要になり、この本を読んだことで、そのまま投資や資産運用の腕が上達するという類の本ではないという印象です。

しかし、本書の積極運用でオプション取引に触れているところには興味を持ちました。

おそらく、あまり多くの人には知られていない投資法だと思われます。


オプション取引というと、複雑で難しい投資というイメージを持つことが多いのではないかと思います。

コールオプションとかプットオプションといった言葉もよくわかっていないし、「買う権利を売る」なんて言われると、「何のことだ?」と思う人がほとんどなのかもしれません。

そんなこんなで、オプション取引にアレルギーのようなものを感じている人もいるのかもしれませんが、本書では非常にわかりやすくオプション取引について説明してくれています。

複雑な説明を省いて、本質的なところだけを説明し、そして実践の仕方についても、簡単に説明しています。おそら多くの個人投資家が口座を持っているSBI証券などでも実際にやってみることができなくもなさなそうな方法でした。

SBI証券で言う所の、ターゲットバイとターゲットセルという取引がまさに本書に書いてある戦略に近いのかなと思います。

ただ、目新しい手法だとしても、所詮は金融取引ですから、メリットだけということはないと思われ、それで本当に儲かるのかどうかは私にはわかりません。


保守的な運用と積極的な運用で、戦略を分けて運用する。そして、それぞれに配分する資金の割合をコントロールというのは正しい方法だと思っています。

具体的な投資の仕方はいろいろあるにせよ、保守的と積極的に分けて運用を考えるやり方は個人的にもお薦めです。


グローバルに投資をする?

日本にいると、ホームバイアスによってどうしても日本株に投資をしたくなる。

お金を増やすためには、それではいけない。世界中に目を向けてグローバルに投資をしましょうということも、本書では薦めいています。

そしてこの手の説明をしている日本の書籍は、ほぼ例外なく日本株をダメ出しますが、本書も例外ではありません。

日本のダメなところをいろいろあげて、日本株への投資割合を減らして、米国や欧州の超大手企業の個別株に投資することを薦めています。


グローバルに投資をしようというのは、昔から言われています。

でも、グローバルにと考えすぎるから、日本企業の株価が世界的にダメだとみられてしまうところもあるような気もしています。

ここ数年は、証券会社も投資の雑誌もニュースも、日本株ではなく米国株を中心に関心が高い。

結局、日本の投資家が日本株に目を向けないために、日本企業の株価が高くなっていない。つまりは、日本株は世界の株価の中でも、割安な水準にいることになる。


本来なら、割安株を選考するバリュー投資家だったとしたら、自然と割安株の多い日本に目を向けるものです。ましてや日本人ならなおさらのことです。

なぜか日本人が持っている、「日本はダメだ」というイメージから、割安株であっても日本株に投資ができない。

これって、投資戦略が定まっていない、目先のイメージで投資をするダメな個人投資家の典型的なパターンです。

ぐんぐん成長するグロース株を主戦場とするのか、今はまだ目立たない割安株を主体にするのか、自分がどういう戦略で個別株に投資をしようと思っているのかがない。

本書のグローバル投資で腑に落ちなかったのは、グローバルに投資をしようといっても、どういう戦略での投資なのかがよく見えないところでした。

ずばり言ってしまえば、まさにこういうパターンの個人投資家こそ「『インデックスファンド』を買えばいいんじゃないの?」というパターンのように思えてなりません。なぜなら個人的には、戦略の定まっていない個別株投資でいいパフォーマンスで運用できているという例をあまり見たことがないからです。


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