『SuperAgers スーパーエイジャー 老化は治療できる』ニール・バルジライ (著), トニ・ロビーノ (著)

老化は治せる病気なのか?

「最近の研究によると、老化は一つの病気として、治せるものだ」という話をよく聞くようになった。

『老化』と聞くと、いつか必ず訪れることになるもの、自分の身にも必ず起こる現象だと思っている人がほとんどだと思います。

しかし、そうではないかもしれないという希望が最近は生まれつつある。実際に、マウスなどをつかった動物実験では、老化を予防するという現象が実際に実現できるというのです。


老化といえば、それとセットのものでもあるといっても過言ではない、がんや心筋梗塞、糖尿病、といった生活習慣病。

老化が治せるということは、これらの病気にもかかりにくくなるということを意味する。

老後は必ず病院や薬が必要になってくるという当たり前がなくなり、私たちの健康寿命が延びることになるのかもしれない。

これまでの常識的な考え方からしたら、まるで夢のような話かもしれない。


でも、その夢のような話は、少しずつ近づいているようです。

この本の著者や他の老化研究者たちは、その夢のような話を実現しようと、頑張っているということがよくわかる本です。


老化とは何なのか?

この本の著者たちは、老化という現象を研究するにあたって、健康で長寿の人たちスーパーエイジャーを研究することから始めました。

その研究の結果、健康長寿は、遺伝によるところが多いということが見えてきたそうです。


健康長寿といえば、健康な食生活や運動などの健康な生活習慣によってもたらされると思っている人は多いし、実際にそう思って食事に気を付け、ジムなどで運動をしているという人もいると思う。

しかし、健康長寿の人たちの中には、タバコなどの不健康と言われている生活習慣がある者や、たいして運動をしていないような人もいる。

それでも、いつまでも元気で長生きできているのは、なぜなのか?

そこには、老化をもたらす体中の不要な物質などを除去する機能が、スーパーエイジャーたちは遺伝的に高いというのが、筆者たちの視点でした。

健康長寿に役立つ機能があまり高くはない一般的な人たちは、その機能を高めるため、いわゆる『健康にいいこと』である健康的な食事や運動をする必要があるようです。


私たちの体や動物の体には、基本的に『老化を予防する機能がある』という発見。

ならば、その『老化を予防する機能』を高める『予防薬』が開発できないだろうかというのが、本書の主な内容です。


老化という仕組みを理解し、老化を予防する。

その研究が今盛んになってきている。

ただ、老化を治すという考え方が、今はまだ社会的には『治療』という意味にはならないために、老化予防薬の開発には、いろいろと問題や制約があるようです。


メトホルミンで老化は治せるを証明する?

糖尿病の薬でもある『メトホルミン』。このメトホルミンには、糖尿だけでなくがんや認知症などの他の病気にも予防の効果があるようだということに筆者たちは注目しています。

メトホルミンには、健康長寿の機能を助ける働きがあるのではないかと考えているようです。

このメトホルミンを糖尿病という目的ではなく、老化予防という視点で実験・研究し、老化予防を実現できるという証明をする研究をしているそうです。

そして、メトホルミンの老化予防の機能を調べることで、より効果的な老化を治す薬を開発したいと考えているようです。


よくよく考えてみれば、「老化ってどうしておこるの?」と子供たちがどこかで聞いてきそうな質問なのに、実際に聞かれたら、うまい答えが見つかりません。

宇宙や分子、量子といった様々なことが分かってきた今の時代にいるのに。

なぜ年を取ると体に不具合が出るのか、病気になりやすくなるのか?、あまりにも普通のことすぎてで、また当たり前のことすぎて、私たちは思考停止になっていたのかもしれません。

私たち一般人にとっての『老化』という現象についての知識は、地球が丸いということを知らなかった時代の人たちの宇宙の知識と同レベルなのかもしれない。

私たちの体の細胞は、約4か月ですべて入れ替わっていると言われています。一番長い骨の細胞でも、4年で入れ替わっているという話です。

入れ替わっているということは、すべての細胞が新しくなっているということです。

すべてきれいに新しいものに入れ替わっているはずのに、不具合が出る、病気になる、衰える。

そう考えると、老化って、なんか不思議な現象だなと思いました。

子供でなくても、「老化って、なに?」と疑問がわいてくるものです。


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