『猫が30歳まで生きる日 治せなかった病気に打ち克つタンパク質「AIM」の発見』 宮崎 徹 (著)

猫だけの話じゃない。

まずは読んだ感想として、単純に「面白かった」。

『猫が30歳まで生きる日』なんてタイトルだから、猫好きのための猫のお話だと思うかもしれない。

でも、本当の中身はそうじゃない。猫の治療だけの話ではなく、人間の治療のお話でもあります。

そして、筆者宮崎徹の医学という分野での挑戦と冒険の本でした。


ほとんどの猫は、腎臓病で亡くなる。

むかしうちで飼ってた猫も、やはり腎臓病で亡くなったことを思い出しました。最後は、とても苦しそうだったことを覚えています。

猫にとっては宿命ともいえる腎臓病。しかしこの宿命かと思われていた腎臓病が治るようになるかもしれない。

筆者である宮崎徹が研究している『AIM』というタンパク質に、その可能性があるのだそうです。

そして、そのAIMというタンパク質は、人の腎臓病にも効果があると考えられていて、さらには、肝臓がんやアルツハイマー型認知症などにも効果が期待されているという話です。

さらに付け加えると、この『AIM』という物質は、化学的な薬とは違い、もともと私たち人間や犬、猫などの生き物の体内にある物質なので、『AIM』を使った治療は、治すというよりも、もともと持っている自己治癒力を高めるものであるため、副作用などの心配も少ないと考えられているそうです。


しかし、まだ人の治療に使うには、大きなハードルがあるようです。

そこで筆者は、まず多くの猫にとって不治の病であった、腎臓病を治すための努力を始めたという話でした。


筆者宮崎徹の冒険譚?

猫が今よりもずっと長生できるようになるという『AIM』。

その「『AIM』ってなんだろう」というところから手に取ることが多いと思われる本書ではありますが、この本の最初は、筆者である宮崎徹の自伝のような話で始まります。

正直、はやく本題に入ってくれと思いました。

しかし、最後まで読み終わてみると、その自伝的な内容もあってよかったように感じます。


『AIM』という物質とその研究内容の話が中心ではあるけれど、その研究に賭ける筆者の熱意みたいなものは、きっとこの自伝的な話によって印象付けられているんだろうなと思います。

そして、この『AIM』の研究がより進み、一匹でも多くの猫、そしていつかは、私たち人の今まで「治らない」とされてきた病気が、この『AIM』を活用することで治っていく。

そんな未来を期待したい気持ちが強くなってくる感覚になりました。


個人的な感想ですが、本書の帯にある養老孟司氏の「できるだけ多くの人に読んでもらいたい。」という言葉、まさにそれと同じ気持ちです。

本書の最後に、「本書の印税の一部は、ネコと人間の腎臓病研究などの費用に充てられます。」とありました。

『AIM』を世に送り出すには、多くの問題やハードルがあり、そこには当然お金のかかる問題もたくさんあるそうです。

本書を買って読んだことで、そのお金の面で、微力ながらも「少しはその役に立てたのかな」という感覚は、なんとなくうれしくもありました。

『AIM』にかける夢と期待。ぜひ本書を買って、読んで、その世界を感じてもらえればと思っています。


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