ファイナンス理論全史 儲けの法則と相場の本質(田渕 直也)

この本の著者である田渕直也さんの本は今までも何冊か読んでいます。

全てファイナンス理論とか、確率などといった数学的なアプローチから市場を理解しようという類の本です。

数学的と言われると、少しとっつきにくく感じてしまうかもしれません。

ましてやタイトルに「ファイナンス理論」なんて言葉を入れてしまえば、かなり投資に興味があって勉強してきている人ぐらいしか読もうなどと考えないかもしれませんね。

しかし、この手の話は、株式や債券などといった金融商品で投資や資産運用をしようと考えている人にとっては非常に有益な話だと思っています。

投資というのは突き詰めると、確率のゲームであるという事です。

将来有望な会社だからとか、社会の先を見通す力だとか、そんなことよりも、相場を理解する。つまり確率を知ることの方がよっぽど効果的な投資ができると思っています。

実際に、本書の最後の方で登場してくる、ジェームズ・シモンズ。

彼は、投資の神様とも言われるあの有名な投資家ウォーレン・バフェットをはるかに凌ぐ運用成績のヘッジファンドを運用しています。

しかし、シモンズは純粋な投資家などではなく、実態は数学者です。

つまり、数学的なアプローチで市場と対峙することが、どれだけ効果的なのかということを表している一つの例として挙げられる話です。

ファイナンス理論は、確率で市場を理解するところから話が始まります。

いわゆる効率的仮説やランダムウォーク理論といった物です。

通常はここから現代ポートフォリオ理論となったところで話が終わることが多いかと思いますが、市場と対峙していると、どうもそれだけではない気がすると感じることがあります。

そういった疑問に対して、ファイナンス理論がどうやって進化しているのか、それを歴史を追いながら理論の進化をたどっていく感じがとても面白く感じました。

「市場を理解する。」これはバフェットも大切なことだと言っていたことです。

この本はまさに市場とはどういうものなのかということを理解するのにとっても参考になりました。

現代ポートフォリオ理論で使われる、正規分布が市場にそぐわないという話を見た時、「これだ!」と思いましたが。

どうやら、それは自分の早とちりだったという事も改めて理解しました。

正規分布が機能しないのではなく、機能しなくなる時があるのが市場だという事です。

上の本でも別に現代ポートフォリオ理論が全く使えないと言っていたわけでなかったかなと。

私の勝手な解釈でそう思ってしまっただけで、反省しなければいけない点です。

それをこの本を読むことではっきりと認識できた感じです。

数学的とか「ファイナンス理論」なんて言葉が出てくるから難しい数式などがでてくるのかなと思われるかもしれませんが、そんなことは決してありません。

本書でも言っている通り、複雑な数式などを使って理論を学ぶのではなく、理論のエッセンスを学ぶ事の方が大切だと思っています。

なぜそういう結論や考え方が導き出されるのか?、だとしたらどういう投資アプローチでその理論を応用的に使うことができるのか?それを考えながら投資や運用を行うべきだと考えています。

理論をそのまま数式で学んでも実践では使えないという事は多々あります。

物理の公式が私たちの周りにそのまま当てはまるわけではない事と一緒です。

自然界には公式の他にも、その公式に影響を与えるものがたくさんあるため、公式をそのまま利用することはできません。

つまり、ファイナンス理論も、大枠をとらえ、自分たちの今ある環境に合わせ、応用的に使うという事をする必要がある訳です。

再度繰り返しますが、『投資や運用は確率のゲーム』です。

株式投資だろうが、債券投資だろうが、デイトレードだろうか、長期投資だろうかそのことに変わりはありません。

その確率のゲームのエッセンスが詰まっているのが、まさに本書で取り上げられている「ファイナンス理論」。

負けない投資をしたいと考えているのであれば、本書はとても参考になると感じました。

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