『死ぬまで若々しく健康に生きる 老けない食事』 スティーブン・R・ガンドリー (著)

『老ける』はもはや治る病気?

だれだって、いつまでも若々しくいたいと思うものです。

漫画やアニメ、SFの映画などででてくる悪党の願いの多くは、「不老不死」だったりするものです。

おそらくこれは、人の本音としてある願望の一つなのでしょうね。

でも、老いるというものは、いまやいろいろと仕組みが解明されてきて、もはや治る病気になりつつあるという話はご存じでしょうか?

以前「LIFESPAN(ライフスパン) 老いなき世界」という本を読んで、とても印象的だったことを思い出します。


さすがに、「死なない」というのはあり得ないことなのかもしれない。でも「老いない」ということについては、いろいろとわかってきたことがある。

『ライフスパン』では、老いるというのは生き物は細胞の分裂を繰り返す中で、徐々に遺伝子が傷ついていき、次第に「老い」として表に出てくるという話でした。

つまりは、細胞分裂時に傷ついた遺伝子を治すことができれば、「老いる」ということを防げるのではないかということで、さまざまな研究をした結果、すでにマウスの実験では有益な結果を得られているとう話でした。

その時ポイントとなるのは、サーチュイン遺伝子といわれるもので、このサーチュイン遺伝子を活性化するために、空腹の時間を作ったり、最近少しずつ見かけるようになってきたサプリメントのNMNを摂取するといった方法を上げていました。


老いるが防げれば、がんや認知症などの老いによって発症する病気の多くを防げるようになる。

なんとも好奇心を刺激されるお話です。


食事で「老い」に対抗する?

本書、『老けない食事』では、サーチュイン遺伝子から「老い」にアプローチしている『ライフスパン』とはまた違ったアプローチからの話でした。

もちろんサーチュイン遺伝子の話も少し触れていましたが、あまり詳しくは出ていませんでした。


『老けない食事』では、「腸内環境」とくに腸内に住み着いている「微生物(細菌)」に注目しています。

私たちの体は、細菌の住みかになっているという話があり、その細菌たちによって生かされているということです。私たちの体の99%は細菌によるものだそうです。

ちょっとドキッとするような話ですが、考えてみればそれも当然のことなんだなと思えてきます。

著者がいうように、食事で吸収されるものというのは、私たちの体が直接食物を胃液などで消化をし吸収しているというわけではなく、腸内にいる細菌によって、食物を消化し、分子レベルにまで分解し、それを腸壁から体の中に取り入れているのだそうです。

医学などを詳しく勉強していなくても、そういわれれば、なるほどと納得もするものです。

「老いる」というのは、吸収する必要のない物質を体に吸収してしまう所から始まるといいます。

本書の中ではレクチンやLPSをその最たる例としてとり挙げていました。


世の中には、「体にいいものを食べて健康になる」という話であふれています。でも、そうではないのかもしれない。「いいものを取って健康になろう」とするのではなく、「悪いものを避けて健康になる」という考え方の方が正しいのかもしれない。

現に、「ライフスパン」のサーチュイン遺伝子も、「老けない食事」の腸内細菌の話でも、「老いる」から体を守るためにすることは、同じ方法を提示していた。

結局は、摂取するカロリーを制限すること。つまりは、食べる量や食べる回数を減らすこと。

食べないというストレスを体に与えることによって、人が本来持っている健康維持機能を活性化させ、「老化」さえも治せるようになるのかもしれない。

今まで、人は朝、昼、晩と3食たべるのが当たり前だった。でも成長期でもないのに、そんなに食べる必要が本当にあるのだろうか?

実際に1日3食を2食に減らしてみても、空腹感はあっても、とくに体調が悪くなる感じもない。

今まで当たり前のようにやっていたことを、疑ってみることも必要ということなのかもしれない。


食べないことで「老化が治る」。

考えてみれば、たくさん食べるからと言って健康になるということは決してない。むしろ逆のことになる方が多いぐらいです。

健康になりたいからあれを食べる。食べて不調に感じたら、違うものも食べてみる。あれが健康にいい、これも健康にいい、これを食べればもっといい。あれもこれも健康という言葉に踊らされて、食べて食べて食べまくり、ただひたすらに栄養を取りまくる。

実際に健康に有効なことというのはそういうことではなく、「取らない」という逆転の発想を持つことも必要なのかもしれません。


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