『ファクター投資入門 (ウィザードブックシリーズ) 』 アンドリュー・L・バーキン (著), ラリー・E・スウェドロー (著)

株式投資では、ファクターに注目しろ?

何も株式投資に限った話ではなく、投資ではファクターに注目したほうがいい。

あのウォーレン・バフェットの偉大な運用成績さえも、ファクター投資で説明できるらしい。

ファクターという視点を取り入れることで、投資のパフォーマンスは簡単にあげられる。この本は、そのことに気づかせてくれた貴重な本でした。


投資のファクターを見つけると、投資が途端に簡単なものにもなってきます。

ファクターとは、なぜリターンが生まれるのかという要素のことです。その要素を見つけてしまえば、あとはその要素を追いかけるだけでリターンが約束されたようなものということにもなりえる。

私自身以前から、バリューというファクターに注目して株式投資を行ってきたなかで、薄々思っていたことがありました。

投資先を検討する時、「あの会社は、どんな経営をおこなっているのだろうか?」、「事業の将来性は?」、「商品の価値は?」、そんなことを考えながら株式投資をするのは、株式投資の醍醐味でもありますが、実際にその情報はどの程度必要なものなのだろうか?という疑問です。

実は、バリューというファクターに合致していれば、それだけで十分なのかもしれない。その他の情報は投資のパフォーマンスにそれほど影響はないのかもしれないと思っていました。

バリューということが、パフォーマンスを上げるファクターであるのなら、バリューの水準に合致していれば、あとのことは、実際のところそれほど関係ない。

バリューの銘柄に、分散して投資をする。投資でパフォーマンスを上げるなら、それだけで十分だということです。

はっきりいって、とてもつまらない答えになってしまうかもしれないけれど、おそらくそれだけでいいのだろうなと、以前からなんとなく思っていました。


そしてそのファクターは、バリューだけではない。本書によれば、バリューの他に、サイズ、モメンタム、収益性、クオリティといったものがあるそうです。

ファクターを知れば、株式投資が楽になることは間違いないと感じています。機械的に、ファクターを選択して投資をするだけで株式投資のパフォーマンスはあげられることでしょう。


ファクターを組み合わせて、リスクを管理。

同じ株式投資の中でも、各ファクター間で価格変動に違いがある。

その値動きの違いを利用することで、よりリスクとリターンのバランスが良くなるらしい。つまりは、複数のファクターに同時に投資をするポートフォリオを作るということです。

しかし、いろんなファクターに注目しながら、たくさんの銘柄を管理するというのは、一人の力でやるには、なかなか難しいものがあるものです。

バリューの投資家は、バリュー一辺倒。モメンタムの投資家は、モメンタムに集中。その方が実行しやすいものです。

しかし、今はいろんなファクターに注目した、『スマートベータ』というアプローチをとっている投資信託やETFが増えている。

つまりは、バリュー投資家は、ポートフォリオにサイズやモメンタムのファクターを狙った投資信託やETFを組み合わせれば、複数のファクターを取り入れたポートフォリオを作ることができるというわけです。


しかし、あるファクターに注目があつまり、たくさんの人がたくさんのお金で、そのファクターを買うようになってきたら、そのファクターのメリットはかき消されてしまうのではないか?という疑問を持つこともあるかと思います。

そのことについては、どう考えているのでしょうか?

実は、本書では、そのことにもちゃんと触れています。

投資で勝つ方法というのがあったとしても、その方法が世間に出回れば、その投資法に優位性はなくなってくるというのは、『効率的市場仮説』でも説明されている話でもあります。

しかし、現実としてはそうでもないようです。本書では、ファクターの効果は落ちるが、なくなることはないと説明しています。


投資のファクターについて学ぶなら、本書はおすすめ一冊だと感じています。

読みやすいし、難関な数式もほとんどないし、直感的にわかりやす説明が多い。

そして、最終的な結論が、とてもシンプルである点も、とても好印象です。


0コメント

  • 1000 / 1000