モメンタム?
モメンタムとは「勢い」といった意味でつかわれる言葉です、つまり勢いのある銘柄へ投資をするという話です。
この本は、「個別銘柄編」となっていて、実は「個別銘柄編」ではない『ウォール街のモメンタムウォーカー』もあります。
最近は、効率的市場仮説や現代ポートフォリオ理論など、モメンタムのようなアノマリーを否定しているかのような話を見かけることが多いようにも感じますが、この本を読んでみると。
「実は、株式相場でモメンタムを意識した研究や論文がいっぱいあるんだな」というのを感じました。
日本では最近になって、インデックス投資に注目が集まってきたり、ロボアドバイザーなどの登場によって現代ポートフォリオ理論を活用した投資に関心が集まってきたりしていますが。
実際の運用では、それが最善の答えではないという事が多々あります。
そして、今回インデックスや現代ポートフォリオ理論が一番正しいわけではないという答えの一つに「モメンタム」が追加されたような感じがしてます。
ほんとこういう本に触れると、金融という世界の理解については、日本はアメリカに何週も遅れているんだなと考えてしまいます。
個人的にはバリュー投資を主とした、ポートフォリオ運用を行っているわけですが、そこに「モメンタム」という視点も少し意識するといいのかなと感じさせられました。
本書で考えた「モメンタム」戦略は、インデックス投資などよりも成績が悪くなる時期もあるが、長期間で見れば、最終的にはインデックスを上回る結果になると出ています。
ただ、気になった点として、本書で紹介している「モメンタム」投資モデルは、インデックスのような加重平均ではなく、均等加重という方法をとっていることが多いようです。
実は、インデックスを加重平均から均等加重に変更するだけでもリターンが上昇するという話があります。
つまり、加重平均のインデックスとモメンタムポートフォリオを比較しているけれど、均等加重によるプラス分も含まれている可能性も高いため、単純にモメンタムがインデックスを上回っているとは言い切れないところもあるのかもしれません。
それでも、本書のデータなどを見ると、やはりモメンタムはインデックスにプラスαの成績を上げることができるのかなと思いました。
モメンタム投資は、なかなかいい投資戦略なのかなと思いますが、個人が実践するには多少難ありといった印象です。
「銘柄選別と年に複数回のリバランス、ちょっと手間がかかるよね?」
簡単には取り入れられなそうです。投資信託やETFでモメンタム投資を行うものが出てくると投資しやすいのかな?
そもそも、モメンタム投資をするためというよりも、市場を理解するのにこの本は役に立つと思いました。
モメンタムに注目した投資を行うと、なぜかインデックスを上回る結果になる。
この結果は、モメンタムというものによって、市場が価格という面で効率的とはいえないことが起こっているのではという仮説が立てられるわけです。
そもそも「モメンタム」とは、市場では「ミスプライシング」という現象が起こっているという前提によってなりたつ話です。
そして、「モメンタム」が「インデックス」を上回るという事実から、市場には「ミスプライシング」があるという事が証明されたという話になってくると考えられるわけです。
つまり、ただインデックスを買うのではなく、市場の「ミスプライシング」にも着目して投資は行った方がいい可能性がでて来たってことですね。
この事実がはっきり見えてくるだけでも面白い話だと感じました。
また、最近ではコスト意識の高い投資や投資信託などが注目されていますが、多少コストがかかることになっても、有効は投資法は存在するという事実もまた面白い話でした。
『「強いものを買え。安いものを買え。」そして、それを長く保有せよ』
シンプルにまとめるとこうなるようです。
これはつまり、市場にある『ミスプライシング』を見つけて行けという事ですね。
0コメント