「鰻のタレ戦略」とは、以前紹介した「世界第3位のヘッジファンドマネージャーに 日本の庶民でもできるお金の増やし方を訊いてみた。」という本に書いてあった投資法です。
⇒ 世界第3位のヘッジファンドマネージャーに 日本の庶民でもできるお金の増やし方を訊いてみた。 (塚口直史)
ポートフォリオで運用するときに困る作業。
それは「リバランス」だと思います。
リバランスとは、ポートフォリオ運用をはじめる時に、株式30%、債券30%、不動産30%、現金10%で運用しようと考え、その割合に合わせるように資金を配分して投資をしたけれど。
時間が経過したことで、株式や債券、不動産といった資産が値動きしていて、株式40%、債券23%、不動産32%、現金5%といった感じに変わっているといったことが起こります。
そんな時に、最初に設定した、株式30%、債券30%、不動産30%、現金10%に戻すために、配分比率が高くなっている株式を売却して、配分比率が下がっている債券を買うといった作業を行って元の状態(最初に決めた配分比率)に戻すことをリバランスと言います。
これだけ聞くと、「何が大変なの?」と思いますよね。
私もそう思います。
確かに、元に戻すために、どれを売ってどれを買うかなどを決める時に電卓を使って計算したりしないといけなさそうなので、面倒そうではありますが。
極端なことを言えば、一度全部売却して、再度当初の配分で買い直しすればいいだけですから(手数料が必要以上にかかってしまうかもしれないけど。)やろうと思えば決して難しくない話です。
実は、やってみるとよくわかることですが、「欲」というものが邪魔をしてきます。
リバランスは年に1回ぐらいのペースで行うといいらしいのですが、そのリバランスを行おうと思った時に、邪魔をしてくるのが、「人の欲」です。
「順調に値上がりしている資産を、潔く売却できますか?」
「1年かけて下落し続けているような資産を、買うという決断ができますか?」
これが中々できません。
「順調に値上がりしているんだから、もうちょっと待ってみよう?」
「下落がおさまるまで買うのは控えよう!」
こう考える人がほとんどだと思いますね。
こんなことを考えてしまうと、リバランスをするタイミングを失います。
そしていつか、逆風が吹いて、「あの時リバランスをしておけば良かった」なんて思うこともあるわけです。
こんなんでは、正しいポートフォリオ運用になりません。
運用をしていると、思っている以上にこの「欲」という魔物に囚われている自分に気が付きます。
もしそのことに気が付いていなかったら、ウォーレン・バフェットのいう「トランプゲームをしていて、誰がカモか分からなければ、そのゲームでは自分がカモになっている」の通りになっていることでしょうね。
簡単なようで難しい「リバランス」という作業。
「鰻のタレ戦略」は、そんなリバランスの作業を無視しながら、そこそこのリバランスを行うという、なるほどこんなやり方があったのかと思わされた投資法です。
つまり、高くなった資産を売却することなく、鰻のタレのように、後から付け足していくという作戦です。
積立投資で、値が下がった、つまりポートフォリオの配分比率が下がったところへ投資をしていくようなイメージですね。
(本で紹介している実際の投資方法はちょっと違う感じです。詳しく知りたい方はぜひ本を読んで確認してみてください。)
この方法ならば、値上がりしているものを途中で売却する必要もないし、「欲」との戦いも避けられる。
それにすでに高くなったものを買わなければいいだけだから、リバランスを行う精神的な問題はだいぶ楽になりそうだぞ?と思いました。
考えてみれば、バフェットの運用法も、つけダレ作戦に似ているのかなと。
超長期保有を前提として株式投資をしているわけだから、すでに出来上がっているタレに、つけダレするように、暴落時に新たな株式を購入する。ってイメージですよね。
この「鰻のタレ戦略」は結構的を得ているような気がします。
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