読んでよかった!『バフェットのマネーマインド 投資の神様はいかにして誕生したか(ロバート・G・ハグストローム)』

投資家なら誰もが知りたいバフェットの投資のノウハウ。

50年超の長きにわたって、優秀な投資家であり続けたウォーレン・バフェット。

効率的市場仮説の信奉者や経済学者などの有識者の中には、そのウォーレン・バフェットの成績は、能力ではなく偶然の産物だという人もいる。

しかし、これほどの長きにわたってその偶然が続いたと考えるのもいささか不自然のように感じなくもない。

「きっとバフェットには、私たち一般の投資家にはない何かがある。」「バフェットの投資法を学べば、市場平均を超えることもできるのではないか?」と考えてしまうのも当然なのではないだろうか?


バフェットの運用成績は、今まで年率20%を超えていると言われています。株式投資の市場平均のリターンが年約10%程度だと考えらえているので、すごい成績です。

年率20%というと、その資産額は3年で約2倍、6年で約4倍、9年で約8倍、12年で約16倍ということになる。それを何十年間も続けてきたというのだから、恐ろしいパフォーマンスです。


そんなバフェットにあやかりたいと考える人が、世界中にたくさんいる。

バフェットに関する書籍は、本当にたくさん出版されています。本書はそんなバフェットについて書かれた本の一つです。


バフェットについて勘違いしていたことに気づかされた?

ウォーレン・バフェットの投資法といえば、バリュー投資と長期投資という考え方で説明されていることが多い。

本質的な価値よりも安く買い、買ったらいつまでも保有し続けるという投資スタイル。

バフェットがどのように本質的価値を見積もり、どんな銘柄を買っているのか。長期保有するにあたり、どんなタイミングで買っているのか。

そんな具体的な投資のノウハウを学ぼうという、バフェット関連の書籍がたくさんでている。


でも、バフェットについて考える際に最も重要なところは、そんなことではなかった。それをこの本で気づくことになった。

本当は、なんとなく心の奥ではそのことに気づいていたことなのかもしれない。しかし、表面的なものにとらわれ、そこに意識がむいていなかった。

それが、本書のタイトルでもある『マネーマインド』というわけです。


バフェットの昔の言葉などを引き合いに出して、バフェットの投資法を説明している書籍や人はたくさんいる。

でも、そうではなかった。バフェットにあるのは、特定の投資手法などではなく、『マネーマインド』、その時その時の投資法の話しには大した意味がある訳ではなかった。

なぜなら、バフェットの投資は、常に進化しているからです。

90歳を超える今でも、その進化は続いている。バフェットの投資法の最も優れたところは、その『進化する』ということにあったのかもしれない。

そのことを、この本を読んで、改めて感じました。


バフェットの投資法を学んでも、私たちの役には立たない。

結局、本書を読んで改めて気づいたことは、バフェットの投資法を学んでも役には立たないという事でした。

バフェットの投資法は、常に進化しているので、昔のバフェットの投資手法や投資銘柄、昔いってた言葉、そういうものを並べてみたって、結局今のバフェットはもうすでに違う次元にいる。


株式市場などのマーケットや経済というのは、経済学や金融工学などで今流行っている、物理学似の計算をしてもわかるようなものではない、ということが最近言われるようになってきた。

なぜなら、株式市場などのマーケットや経済と言うのは、物理学よりも生物学に近いものではないかと考えられるようになってきたからです。


つまり、経済やマーケットと言うのは、その時その時の状況や環境に合わせ、表情を変え、進化し、新しいものに置き換わっていくという特徴があると考えられるようになってきたわけです。

バフェットの師匠だったベンジャミン・グレアム時代の昔のバリュー投資は、すでに通用しなくなって久しい。

大手企業と呼ばれるメンバーたちも、工場や機械などの大きな資本を必要する企業から、物も人も少なくて大丈夫な小さな資本でお金を稼ぐ企業が、経済界のトップメンバーにたくさん出てくるようになった。

経済やマーケットの環境変化により、同じ投資手法や投資のアプローチでは、突然通用しなくなる時が来ることになる。

だから、投資家として長年にわたり一流であり続けるという事は、とても難しいことなわけです。

それを実際に行っている人が投資の神様と言われるウォーレン・バフェットということです。


バフェットは、投資手法や投資のアプローチを時代と共に変化させてきた。

しかも、その変化は、その時代その時代にとても良く適合させてきた。まさに時代と共に進化してきたと言えます。

この進化するということが、バフェットの最大の強みとなっているという事が、この本で改めて感じたわけです。

そしてまた、私たちがバフェットの投資法を真似しようとしても、結局は無理だという事にも気づかされました。

仮に、今のバフェットの投資法を完全にマスターしたとしても、マーケットの変化とともに10年後のバフェットはまた違うところにいる。

常に変化し、進化し続ける人を追いかけたところで、すでに遅いということです。

結局、重要なことは『自分で考える』ということでしかないということに気づかされます。自分で学び考え、行動を変化させる、それができなければバフェットのように時代と共に進化していくことはできない。

長きにわたって優秀な投資家であり続けるようなことはできないのかもしれない。


最終的に必要なものは、本書のタイトルでもある『マネーマインド』。どんなに経済やマーケットが変化していこうとも、決して変わらない原理原則。

いつの時代でも変わらない原理原則である、正しい『マネーマインド』をもつことで、正しく世界を認識し、うまくその時代その時代に適合させていくことができるということなのかもしれない。

投資の本としては、ここ最近では珍しいぐらい読んでよかったと思えた本でした。


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