『投資と金融にまつわる12の致命的な誤解について だからあなたは損をする』 田渕直也

『不確実性超入門』という本を読んで、この本の著者の相場にたいする考え方って、今の自分の相場に対するに感覚とすごく近いなと感じたこともあって、同じ著者が書いたこの『投資と金融にまつわる12の致命的な誤解について』を手に取ってみた感じです。

この著者の話でも自分の相場観にも、大原則として、「相場は予測ができない」という前提があります。

ですが、人間はその「相場は予測ができない」ということを受け入れることができない生き物であるという事があります。

私自身「相場は予測ができない」ということは大原則だと思いながらも、心の奥では、必死に相場を予想しようとしている自分がいますからね。

私もそうですが、人には欲があります。予測できないという結論では満足できず、それでも「もしかしたら」というものを求めてしまいます。

どうしても何かしら、相場で(人よりも)優位に立てるものがあるのではないか?と思わずにいられません。

さらに、ウォーレン・バフェットのような存在が、さらにその思いに拍車をかけてきます。

効率的市場仮説論者は、ウォーレン・バフェットのような存在を、奇跡の存在だと結論付けているようです。偶然を重ねていけば、ウォーレン・バフェットのような人も現れるでしょ。と言っているわけです。

ですが、この本の著者は、ウォーレン・バフェットが誕生する可能性を「正規分布」で計算しようとすると、その可能性は0という結果が出てくると言っています。(エクセルの計算で)

効率的市場仮説などの金融理論の考え方では、ランダム性を「正規分布」で考えているわけですが、その「正規分布」の考え方では、ウォーレン・バフェットのような存在が出てくる事はありえないと言っているわけですよね。

ですが、実際には存在する。「事実は小説より奇なり」という言葉を持ち出して結論付けるのは簡単ですが、そうではなく、実際に存在するという事は、「正規分布」という考え方、もっと言えば「ランダム性」というものに疑いが出てくるというわけですよね。

その「ランダム性」を狂わせているのが、人の心なのではないかというのが、この著者の考えでもあり、私個人の感覚でもあるわけです。

つい最近、ノーベル賞で「行動経済学」が話題になりましたが、まさにこの人の心に焦点を当てた分野ですよね。

じゃあ具体的どうしたらいいのか?

それに関しては、はっきりとしたことがわからないという感じなのかなと。「予測できない」ということが大原則であれば、それもその通りなのかもしれません。

本書の中でも、バフェットに関する本は、それこそたくさん出ているし、どんな投資をしてきたのかも、研究され、いろいろ解説されているが、実際にバフェットのようになった人というのはほとんどいない。と言っています。

バフェットのようになるための方法はあるが、実際には実行することができないという事なのかもしれません。

本書の中では、そこに人間の不合理性、心理的バイアスがあるからではないかと言っているわけです。

そうなると、可能か不可能かは抜きにして、バフェットのようになるためには、少なくとも心理的バイアスを取り除かなければいけないという事になるわけですね。

まぁ、この話はトレーダーなどの間ではもう当然の話になっているかと思いますが。

ルールを決め、感情に逆らってもそのルールに従うという事です。

例えば、本書の中の例を持ち出せば、「人は利益は早く確定したいという気持ちになり。逆に損失はいつまでも先延ばししたいという気持ちになりやすい」ということがあると言っています。

この例は、プロスペクト理論といって、行動経済学で有名な理論です。

この人間の感情に従っていたら、利益は小さくなり、損失は塩漬けにしたり、大きな損失を抱えることになったりという結果を招く事になります。

いわゆる「コツコツ、ドカン」です。

おそらくほとんどの人に身に覚えのある話なのではないでしょうか?

投資で勝つためには、「利益は大きく、損失は小さく」というのはほとんど常識です。ですが、心理的バイアスでその逆のことをしてしまう可能性が非常に高くなっているという事です。

そこで、この心理的バイアスに引っかからないために、損切ラインと利確の仕方を工夫しなければいけいないということになるわけですね。

成功したトレーダーの例としてタートルズというのがありますが、彼らのやり方は、最初のエントリー時に損切ラインに逆指値を入れ、トレーリングストップを使って、利幅を伸ばすという事をやっていたそうです。

まさに、心理的バイアスに引っかからないための方法だったのかもしれません。

相場で勝つためには、経済や景気の動向を予測し、誰よりも賢くならなければいけないというイメージもありますが。

実際には、自分の心との戦いが、ある意味成績の良し悪しを決定づけているということかもしれないわけです。

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