「奨学金破産」なんて言葉を聞くこともあったり、ちょっとした社会問題になっている奨学金。
そもそも奨学金とは、学校に通うためのお金が借りられる制度です。
つまり、後で返さなければいけないわけですが、返さなければいけなくなる学校を卒業した後、望んだ通りの就職ができず、返済ができなくなっている人がいるわけですね。
実はそんな奨学金に、返さなくてもいい『給付型奨学金』という制度が、2018年度(平成30年度)進学者から始まります。
給付型奨学金の概要
返さなくてもいいぐらいなので、当然貸与型奨学金(通常の返済する奨学金)よりも基準は厳しくなります。
①基準
・日本学生支援機構から提示した「ガイドライン」に基づき、各学校において推薦基準を策定。
・「ガイドライン」に記載している4項目(人物、健康、学力及び資質、家計)の要件等を踏まえつつ、各学校の教育目標や実情を勘案したうえで推薦基準を策定。
推薦枠
各学校は、機構が示す推薦枠の範囲内で推薦。
ただし、社会的養護を必要とする生徒は、推薦枠の範囲外で推薦が可能。
となっています。
つまり、ある程度の学力等を持っていて、かつ学校から認められることが必要ということのようです。
ちなみにポイントは「社会的養護を必要とする生徒は、推薦枠の範囲外」というところかなと思います。
社会的養護を必要とするとは、「18歳時点で児童養護施設等に入所している生徒、又は、18歳時点で里親等のもとで養育等されている生徒。」のことです。
ちなみに、給付型奨学金を受け取りながら、併せて貸与型奨学金等を申し込むことも可能だそうです。
②給付額
国立 自宅通学 2万円 自宅外通学 3万円
公立 自宅通学 2万円 自宅外通学 3万円
私立 自宅通学 3万円 自宅外通学 4万円
となっています。
ただ、国立の大学等に進学して、授業料の全額免除を受ける場合には給付金額が減額されるそうです。
給付型奨学金を申し込むなら早めの情報収集を。
給付型奨学金の申込期間は、5月中旬から7月中旬までです。
つまり3年生になったとたんに、大学に通うお金の話をしなければいけないという事になります。
受験もまだなのに、ちょっと気が早いですよね。
これはつまり、まだ実感が伴っていない、考えがまとまっていないうちに募集期間が終わっていて、気が付いたときには遅かったというケースもあるのではないでしょうか?
ちなみに、無利子の貸与奨学金(第一種奨学金)の募集期間もこの時だけです。
奨学金をもらったり借りたりするのは、保護者ではなく、生徒本人です。
もしかすると、生徒自身にまだ大学進学の意思が明確ではないときに、借金をして大学に行くことになるかもしれないけど、どうする?申し込んでみるか?といった話し合いをしなければいけないという事ですよね。
つまり、奨学金利用を考えるなら、早め早めに準備をしていかないといけないという事になります。
高校生に借金の話を?
まだ働いてお金を稼いでもいない高校生に自分で借金をするという話をするのは、中々に面白い話です。
そもそも、高校生がお金を借りられる時点でおかしな話です。
銀行などでお金を借りようとすると、どこで働いているのか、年収はいくらなのか、などといった情報からお金が借りられるかどうか判断されます。
当たり前ですよね。お金を貸す方からしたら、ちゃんとお金を返してもらえるのかどうかはとても重要な話です。またその返ってこないかもしれないというリスクを取っている分、それ相応のリターンを期待します。
つまり、「働いてもいない高校生が、お金を借りられる。」これは普通の経済環境ではありえない話です。国の機関の一部だからこそできることだと言えます。
そんな風に考えていくと、奨学金という話を通して、マネー教育につながる部分がたくさん見えてきます。
お金の貸し借りって?⇒経済においてお金の貸し借りがどれだけ重要な話なのか?
お金を借りる意味とは?⇒借りたお金に付加価値をつけていかないと借りることに意味はないんだということ。
お金を借りて返していくために?⇒収入と支出のバランスを良く考えないといけないんだということ。
生活に必要なお金は?⇒下宿などをする場合には、自分で家計を考えて生活することも必要だよね。
などなど。
日本の教育には、お金に関する話がほとんどないと言われています。社会に出たら、必須の知識であるはずなのにです。
大学進学やそのためのお金の準備の仕方、奨学金などの話をしながら、世の中の仕組み、お金とは?自分自身のマネープランとったところまで話し合いができるようになるといいのかもしれませんね。
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