不確実性超入門

「不確実性超入門」というタイトルから金融や投資に関する話につながると想像できる人は、すでにリスクとは何なのかについていろいろと知識や考えを持っている人なのかもしれません。

本書の内容的には、以前このブログでも紹介した、「市場は物理法則で動く 経済学は物理学によってどう生まれ変わるのか?」の内容とほとんど同じことを言っています。

そして、「市場は物理法則で動く 経済学は物理学によってどう生まれ変わるのか?」に影響を受けた私にとっては、とても面白かったです。

内容的には、ほとんど「市場は物理法則で動く 経済学は物理学によってどう生まれ変わるのか?」をパクってしまったような内容です。

ただ、日本人が書いているためか、「市場は物理法則で動く 経済学は物理学によってどう生まれ変わるのか?」よりも読みやすく、理解がしやすい感じです。

個人的な意見としては、本家?の「市場は物理法則で動く 経済学は物理学によってどう生まれ変わるのか?」を読んでもらいたいなと思うところですが、実際は、こちらの「不確実性超入門」の方がいいのだろうなと思います。

「市場は物理法則で動く 経済学は物理学によってどう生まれ変わるのか?」で、市場の動きは「べき分布」になっているという話がありました。

これまでの常識?では、市場の動きは「正規分布」で説明されていましたが、実際は「べき分布」なんだという話にはホント「目からうろこがおちる」といった感じで、感銘を受けました。

そして今もその考えが自分の市場に対する考え方の大きな部分となっているわけですが、この本を読んで、その「べき分布」の意味がよりよく分かった感じを受けています。

今考えると、市場が「べき分布」であるという事の意味をまだちゃんと理解していなかったんだなと反省するところです。

「べき分布」だとか「正規分布」だとかいう言葉を聞くと、めんどくさいと思って遠ざかってしまう人もいるかもしれません。

でも、個人的にはとても大切なことなんじゃないかと思っています。もっと言えば、この手の話(統計や確率)は、義務教育で教えるべき話なのではないかとさえ思います。

お金の世界では、統計と確率の話はとても重要な意味を持っています。

そして、今の世の中に生きているほとんどの人が、お金を無視した生き方はできません。ならば、生きていくための知識として、微積分や三角関数、因数分解といった話以上に、統計と確率の勉強をしっかり義務教育で教えたほうがいいのではないかと思ったりします。

話を戻すと、「~分布」とか、いままであまり触れて来なかった話だし、なんかめんどくさいのですが、ということですが。

言いたいことは、市場というのは、「予測どおりに予測不可能」だったという事です。(「市場は物理法則で動く 経済学は物理学によってどう生まれ変わるのか?」の一文ですが、名言ですね。)

もっと言えば、「私たちが予測できるのは、市場は予測不可能だということ」だそうです。

今の金融商品の多くは、正規分布という考え方を基に作られていることが多いです。

有名な現代ポートフォリオ理論などがそれです。ポートフォリオ理論を考えたハリー・マーコウィッツがこの理論でノーベル賞を取っていることもあり、金融の世界では常識というレベルで使われている考え方です。

数学的な視点から見れば、この理論はその通りなのでしょう。でも実際の市場は、ポートフォリオ理論の根底にある「正規分布」ではなく、「べき分布」という考え方の方が合っているとなれば、ポートフォリオ理論そのものが市場では当てはまらないのではという事になるわけですが。

(正しくは、予測不可能なことが起こった時に、ポートフォリオ理論が崩れるという事なんだとおもいますが。)

「正規分布」は予測可能な世界の話で、「べき分布」は予測不可能な世界です。

そして、市場ではその「予測不能」ということが、しょっちゅう起こっている。本書の言葉を借りれば、「「ブラックマンデー(暗黒の月曜日)」である。・・・・その株価変動の発生確率を正規分布で表せるとして、これほどの大変動が起きる頻度はどのくらいになるのだろうか。計算すると1阿僧祇(あそうぎ)年に一度という途方もない結果がはじき出される。」

ちなみに1阿僧祇とは、10の56乗という億も兆もはるかに超えた世界です。

どうでしょうか、簡単に思いつくだけでも、ブラックマンデー以外に、リーマン・ショック、ITバブルと株価が大変動を起こした過去は、他にもたくさん思いつきます。

「「予測不能」という事が分かったからって、だからどうしろと?」

言いたくなりますよね。

なんとなく、ここまで「予測不能」だと言われても、「頭で理解しようとしても、感情や感覚で理解することができない。」「理解したつもりがヤバそうだぞという感覚。」何とも言えません。

なぜそういう感覚や気持ちになってしまうのか、その理由も本の中で説明されています。

その結果わかることは、「人はいかに不合理なのか」という事実です。

なかなか難しいというか、理解が追い付かいないというか、おかしな世界に入ってきた感じですが、これが私たちが生きている世界なんだなと思う次第です。

不確実性超入門 [ 田渕 直也 ]


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