「セルインメイ」とは、株は5月に売ってしまえという格言です。
「セルインメイ」は結構有名ですが、実際には、「Sell in May and go away, but remember to come back in September.」つまり「5月に売って相場から出ていけ、しかし9月に戻ってくることを忘れるな」が正しい意味です。ただ9月のところは、セント・レジャー・デイと言っていたりもします。
株式相場とアノマリー
「セルインメイ」のような、根拠に乏しいが、なんとなくそうなっている気がすると言われているものをアノマリーと呼んでいます。
「セルインメイ」以外のアノマリーの代表例
・「ジブリの呪い」 金曜ロードショーでジブリ映画が放映されると、放映後の株式相場や為替相場が荒れると言われている。
・「夏枯れ相場」 7月から8月にかけて、市場が閑散期に入り、相場が低調になりやすいと言われている。
・「節分天井彼岸底」 言葉の通り、節分で天井を付け、その後下落し彼岸で底をつけると言われている。
・「辰巳天井、午尻下がり」 干支にちなんだアノマリーです。他にも、「申酉騒ぐ」など、干支にちなんだアノマリーは他にもあったりします。
これら以外にも、たくさんのアノマリーは言われていますが、先にも言ったように根拠に乏しく信じるか信じないかは人それぞれです。
「セルインメイ」は本当なの?
アノマリーは、何度も言っているように根拠が乏しいものです。
「セルインメイ」も、ヘッジファンドの動きによるものとか、夏場は決算期なども終わり材料(情報)に乏しいため取引が低調になるためとか言われていますが、実際のところはそれほど関係はないとも言われていたりします。
実際、3月に決算というのは、日本では役所などの年度末に合わせてそうなっていることが多いのですが、企業の決算月は別に3月だけに限定されているわけではありませんし、欧米では結構いろんな月に分散されていたりするし、また四半期決算の数字で相場が変動したりすることもあったりするので、3月だからというのはどこまで実態に即しているのかは疑問に感じるところもあります。
しかし、「セルインメイ」のようなアノマリーによる運用成績について研究しているような人もいるようで、「セルインメイ」の格言通りに運用したらどうなるのかを調べていたりします。
eワラント証券COOの土居 雅紹が書いた「最強の「先読み」投資メソッド」によれば、TOPIXを単純に4月末に売って、10月末に買うということをした場合を20年ぐらいの期間で調べてみると、本当にTOPIXを上回る結果が得られたという記述があります。
下の図は、eワラント証券のホームページに掲載されているものです。
この図を見ると、TOPIX(黒線)を10月から4月末まで保有の半年投資(赤線)が、大きく上回っているのがわかります。
この本だけでなく他でも、「セルインメイ」は有効だという記述は結構多く見かけます。どうやら「セルインメイ」の格言は当てにならないとは言い切れないように感じます。
根拠も乏しいのに、なぜかそうなるのと考えがちですが。
おそらく、ここで根拠を求める必要はないのだと思います。
どうしても人は、理由を求めたくなります。「なぜ」「どうして」と考えてしまうという癖があるように感じます。
そういうことを考えるのは研究者の人たちで、実務家のやることではないのかもしれません。
バフェットも、「どうもひねくれた人間の性質なのか、簡単なことを難しくしたがる傾向がある。」と言っていたりします。
かといって、アノマリーを信じるかどうかは、その人次第ですが。
念のため補足しておくと。
半年投資を実践すると、おそらく、上昇相場でおいて行かれることもあるかと思います。というのも、5月から10月までの間で、予想通り相場が低調とならず好調なままの年もあると思われます。
そうすると、皆が一斉に儲かっていて自分だけ現金のまま(株を買っていない状態)なので、その上昇を指をくわえてみているだけという感じになることでしょう。
そんな時に、我慢ができるのだろうか?
ほとんどの人が我慢できないんじゃないかと思うんです。そういう私も、その状況はとても苦しいです。
この作戦を実践するには、この作戦が必ず最後は勝利に導いてくれると信じ続ける気持ちと忍耐力が必要になってくると思います。
この半年投資作戦は、暴落相場を避け、損失を抑える運用に徹することがポイントとなっているように感じます。
というのも、過去の暴落相場というのは夏から秋の間に起こっていることが多かったからです。2008年リーマンショック、2011年ギリシャ危機、1987年ブラックマンデー、1997年アジア通貨危機、2001年米国同時多発テロ、2015年中国ショック、これらはやはり夏から秋ごろに起こっています。
このことから、半年投資作戦には、相場上昇の喜びを味わうことよりも、できる限り損失を抑えることを考えながら株式相場に参入しようという意図を感じます。
半年投資の例から見ても、株式相場では、「勝つことよりも負けないこと。」が長期的な資産形成に大きく影響していることを感じます。
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