保険の営業の人は、お金に詳しい?
ファイナンシャル・プランナーなどの資格も保有し、ファイナンシャルリテラシーは高いような気もしますが、案外「はてな?」と思うような説明をしていることもありますよね。
保険の営業トークは、お金のことを教えてくれているのではなく、あくまで保険販売のため?
保険会社の営業や保険の販売を目的とするファイナンシャルプランナー、こういった人たちは、金融商品を『売る』ことが仕事であり、話す内容も『売る』ことが目的です。
「みんなが・・・」という説明をしたり、「・・・ですね。だけど・・・ということもあります。」といったイエスバット法という話法を使ったりするのも、そのためです。
また、売るためには、説明することでかえって売りにくくなることもあります。
実は、金融商品というのは、メリットとデメリットが例外なく混在しているものです。
すべての金融商品が、メリットとデメリットをプラスマイナスすると、ほとんど0に近くなると考えたとしても決して間違いではないでしょう。
これは、保険だけでなく、すべての金融商品に言えることなのです。
なので、金融商品を販売する時には、デメリットをなるべく目立たなくし、できるだけメリットを大きく見せることが、必要になってきます。
端的に言えば、お客様の金融リテラシーが高くなってしまうと、金融商品は『売りにくい』ものになってしまうともいうことも出来るのです。
保険営業とファイナンス。
「この保険は、保険料が安いのか?」
保険料を安いとか高いとかいった言葉で話すこともあるようですが、そもそも保険料に安いか高いかはほとんど関係ありません。安いのには、安くなる理由があるものです。
金融商品の根本には、市場金利を中心に動いているということがあります。
すべての金融商品が、リスクや経費などのマイナス面と、リターンやリスク軽減などのプラス面を、総合すると、ほぼ市場金利に近づいてくるというわけです。
保険商品も例外ではありません。
保険金を支払うことになる死亡リスクと、保険料と、保険会社の経費と、運用益と、そういったものを総合すると、だいたい市場金利が基本になってくるわけです。
つまりは、保険料には、安いも高いもないわけで、ただ、保障内容や投資運用、事業の環境などを総合して考えると、結局妥当な保険料となるというわけです。
ただ、唯一、割安になるといえる保険料を決める項目があるとすれば、それは会社の事業経費です。
会社の事業経費を、どれだけ抑えられるかが、保険料が割安になる唯一のポイントなのかもしれません。
ただ、必要以上に事業経費を削減して保険料を割安にしてしまえば、保険会社としてのサービスの質に影響が出てきてしまうことも考えられますから、その辺の見極めが重要になってくるのかもしれませんね。
「ドルは円より金利が高いので、資産運用としてドル建ての保険はどうですか?」
このセリフは、下手をすると為替のことを全く分かっていない人が、為替の説明をしているのかもしれないので、注意が必要な言葉です。
為替には為替リスクというものがあります。
円とドルなどの為替の間には、それぞれに交換するレートが常に変動しています。
為替リスクを取ったことがない人ほど、為替リスクを無視して、金利だけで、お勧めだとか判断してることが多いものです。
為替リスクは、想像以上に大きいものです。
リスクを取るなら、その分リターンをもらわないと割に合わないと考えるのが当然です。
そこで問題となるのが、外貨建て保険という商品が、為替リスクを取るに値するリターンを提供してくれるものなのかという点です。
結論から言えば、保険会社の外貨建て商品は、割に合わないと言えます。
金融商品は、金融商品を作ったり販売している者の、手数料コストが最大のリスクになっています。
金融商品というのは、前にも言った通り、プラス面とマイナス面を総合すると、結局は市場金利に近くなるものなので、あとは、金融機関が手数料として取る運営コスト分が、マイナスに大きく作用してくることになります。
つまり、運営側のコストが少なければ少ないほど、消費者である私たちが有利になるのが、金融商品の基本です。
実は、保険商品というのは、この手数料コストが、他の金融商品と比較して圧倒的に高いというデメリットがあります。
なので、貯蓄目的で保険を利用することは、あまり賢い選択とはならないことが多くなっています。
ましてや、為替リスクにさらしたリスク商品を選択することは、かなり危険な賭けとなることが多いと考えます。
ちなみに、為替リスクを取る商品のコストの安い順でいえば、FX、オプションなどの先物、MMFなどの外国債券や投資信託、外貨預金、といった順になり、この外貨預金からさらに大きく離れて、外貨建て保険商品といった感じになっています。
「一生涯保険料が変わらないので、安心です。」
更新のたびに保険料が変わってしまうのは、少し怖い気がします。
なので、一生涯保険料が変わらないほうのがありがたいと思うのは、人の心理です。
しかし、保険料が変わらないのも、更新のたびに保険料が変わることも、実質的には同じものです。
更新型は、保険に加入した最初は保険料が低くなり、徐々に高くなっていきます。
対して、一生涯変わらないタイプは、最初から保険料を若干高めに設定して生涯続く形になっているので、最初は高めだが、後半は低めになるというわけです。
そして、一生涯保険料が変わらないタイプの注意点は、加入当時の金利で一生涯の保険料を計算しているケースが多いという点です。
つまり、超低金利の今は、その超低金利の金利を元に計算されていることになります。
つまり、今後どんなに金利が上がることがあっても、今の超低金利で計算された保険料を払い続けることになるわけなので、仮に、市場金利が今後上昇したら、昔のままの低い金利で運用される割高の保険に生涯加入し続けることになってしまうというわけです。
見方を変えれば、超低金利の金融商品を一生涯で買ってしまっているという見方もできるわけです。
今後市場金利が上昇するなどの見通しを立てている人は、このような商品は避けるべきなのかもしれません。
ところが、保険商品を販売する立場の営業員もこのことを意識しているのかいないのか、「将来的には、金利が上がるかもしれない」などと顧客に説明をしながら、一生涯保険料が変わらないタイプの医療保険や終身保険を販売しているケースがよく見られます。
ファイナンスって意外とわかっていない?
ファイナンスってとても難しいですよね。
お金のことって今まであまり勉強をしてきたことがない分野です。
これほど生活に密着しているのに、これほどわかっていないというのは、とても悲しいことですが、これが現実です。
しかし、お金の表面的な情報はどんどん入ってきます。
「この保険商品はお得だよ。」
「今度出た保険商品は、加入して間違いなし、FPもおすすめ。」
「投資信託を選ぶなら、これがベスト。」
「イデコやNISAといった節税は活用しないと損します!」
などなど。
しかし、その根本的なところにあるファイナンスの基本的な知識が不足しているので、これらの情報が本当に正しいのかどうか判断がついていません。
ファイナンスの基本的な知識って何なのでしょうか?
それは、金利の知識とか、複利計算とか単利計算とか、リスクとは何かとか、そういったものです。
これらの話は、とても難しい話と捉えてしまいがちですが、ファイナンスを考える上では基礎的な知識なのだと思います。
つまりは、このぐらいの知識は有していないと、表面的なお金の情報に揺さぶられ、得しているつもりで損することになりかねないわけです。
逆に言えば、金融機関の立場からすれば、お客さんとなる消費者が、これらのファイナンスの知識を身に着けられては困るのかもしれません。
彼らは、自分たちの商品をうまく売りたいと考えているわけですから、顧客の知識不足をうまく利用していきたいと考えているのかもしれません。
私たちは、この現状をどう考えるのか?
出来ることならば、私たちは、本当に有益な情報かどうかを自分で判断できるように、金融機関に負けないぐらいのファイナンシャルリテラシーを持っていたいと思うところです。
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