損をしたくない、正確には「損失を抑える」というコンセプトの投資信託『アムンディ・ダブルウォッチ』。
損を防ぎつつ、投資ができるというのは大変魅力的に聞こえます。
いったい、どのような投資信託なのでしょうか?
『アムンディ・ダブルウォッチ』とは
「市場環境が変動しても、10%を超えて損をしないことを目指す」という運用を行っている投資信託です。
正しくは、フロア水準という基準を定めていて、フロア水準を下回るようなことになったときには、繰上償還をしてしまう。ということですから、本当に想定外の損失を被らないようにしていると言えそうです。
フロア水準とは、「下値目安水準を設定日以降の基準価額最高値90%に設定しています」とのことです。つまりざっくり言えば、基準価格から10%以上損をすることがないような仕組みになっているということです。
これはつまり、買ってから、基準価格が10%以上上昇して、フロア水準が投資信託を買った時の基準価格になったら、2度と損失になることがなくなるとも言えます。
この仕組みなんか聞いたことある気がしませんか。
そうトレーリングストップ注文に似ています。
トレーリングストップ注文とは、例えば株式を購入するときに、下に10%の幅で決済注文を同時に入れ、株価が上昇すれば、その決済注文も追随して上昇するという仕組みの注文方法です。
トレンド相場(一方向へ大きく動くこと)を作りやすい環境で、よく使われる手法です。
トレンドができるとどこまで上昇するかわかりません。下手なところで利確してしまわずトレンドに乗っかるのには、便利な注文方法です。
また、最初の決済注文が、損切りラインとしても機能するというメリットもあり、比較的短期で勝負をしているトレーダーが好んで使っている注文方法のようです。
『アムンディ・ダブルウォッチ』とはトレーリングストップ機能があるという、めずらいい投資信託です。
『アムンディ・ダブルウォッチ』の運用法?
『アムンディ・ダブルウォッチ』には、トレーリングストップの機能があるとは言っても、そう簡単にフロア水準に達しては意味がないので、基本的には安定性の高い運用を行っているようです。
世界の株式、債券、そして短期金融資産に配分して運用を行うポートフォリオ戦略が基本となっているようです。
また、相場環境に合わせてそれぞれの資産の配分比率を変え、必要以上のリスクをとらないように運用されています。
ざっくりと言えば。
株式の変動率が50%だと仮定し、短期金融資産の変動率が0%だと仮定します。
その場合、短期金融資産80%、株式が20%の配分比率で資産を保有すれば、ポートフォリオ全体の最大変動率を10%以下に抑えた運用ができることになります。
つまり、株式や債券などのリスク資産の変動率を過去や直近のデータなどから考え、配分比率を検討し、運用計画を立てる。といった運用法だと考えることができます。
ちなみに、直近の資産配分比率は。(2016年12月末)
短期金融資産49.8%、債券41.3%、株式8.9%となっているようです。
2016年年初から徐々に株式の配分比率を下げ、安全運転に移行しているようです。
この先暴落が起こる可能性を感じているのか、ただボラリティが大きくなってきたため株式の配分比率を下げているのかわかりませんが、リスクを減らす方向で運用されているようです。
『アムンディ・ダブルウォッチ』は買っていい投資信託?
資産運用に初めて取り組む初心者の方には向いているのかもしれません。
そう思える最大の理由が、損失が限定されているからです。投資をはじめようとする最初は、損失を(必要以上に?)恐れるところがあるように感じます。
しかし、「最大でも損失は10%だよ」と言われれば、少し精神的に楽に感じるのではないかと思います。
年利2%~3%位で運用されているようなので、上手くいけば、日銀が目標としているインフレ率を上回る運用ができそうです。
もし2%を36年ぐらい(新卒で社会人になって退職が目前に迫るころ?)複利で運用すると、投資元本は2倍になる計算ですので、あながち馬鹿にできないリターンです。
しかしこの投資信託は、ある程度投資を経験していたり、すでに自分でポートフォリオをコントロールしたり、自分で投資先を考えたりということをしている人にとってはあまり良い選択だとも思えません。
なんといっても、投資信託である以上仕方のないことなのかもしれませんが、コストが高いですよね。
『アムンディ・ダブルウォッチ』の信託報酬手数料は、1.296%となっています。
インデックスファンドを組み合わせ、『アムンディ・ダブルウォッチ』と同じような資産配分で持ては、同じようなリスクで、コストが浮く分リターンが高まる可能性が高そうです。
『アムンディ・ダブルウォッチ』のリターンが2~3%ということは、単純に考えると、低コストのインデックスファンドで同じような運用をすれば、3~4%のリターンが狙える計算になります。
また、『アムンディ・ダブルウォッチ』の資産配分の大部分が短期金融資産となっているところから想像するに。
ほとんどリターンが望めない投資先に資産のほとんどを置いてしまっているのに、1.296%もの信託報酬手数料がかかっていると見ることもできそうです。
だったら、個人向け国債や物価連動国債などを活用したほうがいいかもと考えるたりするかもしれません。
個人向け国債ならば、元本の損失はまず0だし、多少デメリットもあるけれど、中途換金も可能です。
個人向け国債と、インフレヘッジの物価連動国債、それにETFなどを使って、低コストの株式投資を組み合わせるという方法もありかもしれません。
もし、相場が崩れて資産が減ってしまうことがあっても、株式投資部分だけを売却したりしてコントロールすれば、ポートフォリオ全体のリスクコントロールは十分なはずです。なぜなら、ほとんど株式しか目立った値動きしないですからね。
これで、自己流『アムンディ・ダブルウォッチ』運用ができてしまいそうです。
つまり、資産配分によるリスクコントロールが慣れていない、そんな面倒なことしたくない。という人が、ちょっと高いコストを払って自動でやってもらうための投資信託が『アムンディ・ダブルウォッチ』といった印象です。
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