『裁量トレーダーの心得 初心者編(デーブ・ランドリー)』
トレードの心得?
株式のトレーダーとして成功するためには、どうしたらいいのだろうか?
チャートを見て、支持線やブレイクアウト、ヘッドアンドショルダーズといった必勝パターンを探して、買ったり売ったりする。
でも、なぜそのポイントで買ったり売ったりするのか、その基本的な考え方が『トレードの心得』なのでしょうね。
「トレードをして利益を上げようなんてのは迷信だ」と言われたりします。
投資の世界で常識とも言われている効率的市場仮説を信条としている人達から考えると、トレーダーというのは敗者のゲームだと考えられています。
テクニカル分析なんてものは迷信。株価の動きはランダムであり、予測できるものではない。ましてや、一定のパターンで勝てるトレードができるなんてことはあり得ない。というわけです。
「テクニカル分析で投資をするなんて行為は、投資ではなく投機だ。」なんて言われていたりもします。
以前の私だったら、きっとそう考えていた。
でもそうとは言い切れないかもしれない。と最近思うようになってきた。
マーケットというのは、案外非効率。そしてその非効率を生み出しているのは、相場で取引をする人の心。つまり私たち自身ということがわかってきた。
トレーダーというのは、チャートに現れる勝ちパターンを探しているのではなく、チャートの中に見え隠れする、私たちの心の非合理性を探そうとしているのかもしれない。
という事が最近わかってきました。
そして、その人の心の非合理性が現れたチャートのパターンが、『トレンド』というものであるという事も最近わかってきた。
ジョージ・ソロスの再帰性ではないが、上がったものはさらに上がりやすく、下がったものはさらに下がりやすい。長い期間上がり続けたものは、まだ上がると考え、ずっと下がったままのものは、今後も下がったままだと考える。これが『トレンド』としてチャートに表れてくる。
トレンドフォローの考え方、やり方。
本書の内容は、ずばり言えばトレンドフォローでの投資の仕方です。
人の心が反映されたマーケットの非合理性の基本、トレンドを探し、そのトレンドに乗って取引をするための、考え方と行動の仕方。
結果的には、チャートでパターン化してトレードの仕方を説明することになってはいるが、崩してはいけない原理原則は、とにかくトレンドを見つけること。
そしてトレンドが出ている側につき、有利な立場で取引すること。
このことは、本書の中で何度もでてきます。
トレードの心得をまとめるなら、『トレンドに従う』ということにあるのだろうなと思いました。
トレードについて解説している本には、様々なテクニカル分析やテクニカル指標をつかって、複雑に説明しているものが多い印象だけど。
本書は、実にシンプルに、分かりやすく簡単に、トレードの説明をしていると感じた。
著者が利用しているテクニカル分析も、日足チャートと移動平均線ぐらいというとてもシンプルなものです。
本書を読んでいるとわかります。トレンドを把握するならそれだけで十分なんだなという事が。
さまざまなテクニカル分析などをおこなって、トレンドの転換をピンポイントでとらえたいと思ってしまいがちですが、そういうことをしようとすればするほど深みにはまり抜け出せなくなる。
明確にトレンドが確認できた時が、もっとも効果的なトレードが出来るときだという事がわかります。
トレードをわかりやすく、シンプルに説明していて、タイトル通りの『初心者向け』の本としてとても貴重な本だと感じました。
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