終身保険の利用価値?

生命保険の商品は大きく分けると、終身保険や養老保険などの貯蓄型生命保険と、定期保険や医療保険などの掛捨て型の生命保険との2つのタイプがあります。

日本では、長いこと低金利の時代が続き、今ではマイナス金利や0金利と言われています。

そして金利の低下とともに、生命保険の保険料も値上がりしています。こんな時代に貯蓄型の生命保険に加入することの意味について考えてみました。


生命保険の保険料を決める基準

生命保険の保険料は、予定死亡率、予定経費率、予定利率の3つから計算されています。

予定死亡率

過去の統計などから計算された死亡率のことです。死亡率が低い若いときは生命保険料が低くなり、死亡率が高くなってくる高齢になるほど生命保険料は高くなることになります。

予定経費率

生命保険会社を運営するにあたってかかってくる経費のことです。外交員の報酬や、販売代理店の手数料はもちろんですが、契約の事務管理など事業運営にかかってくる費用のことです。ネット専業の保険会社や、県民共済のように外交員がほとんどいなかったり、また支店等を必要としないような保険会社は、事業運営に係るコストが低いため、保険料が低くなる傾向にあります。

予定利率

将来の保険金支払いのために、保険会社で確保しておく資金を運用することで得られるであろう利回りとなります。この予定利率の決定に影響を与えるのが、金融庁が設定する標準利率になります。標準利率は、国債の利回りをもとに計算されています。なので、国債の利回りが低下することで、標準利率も低下してくことになるわけです。標準利率が下がり、予定利率の引き下げが起こると、生命保険料は高くなります。


超低金利の時代に終身保険に加入するということ

終身保険は文字通り一生涯の保障を意味し、また一生涯加入することが前提となります。

選ぶ商品にもよりますが、一度加入したら、加入時の金利を一生涯にわたって続けることになる可能性があります。つまり、超低金利時代の今加入するということは、将来金利が高騰するような時代になったら、高騰していく金利を横目に、超低金利の金融商品に何百万、へたをすると何千万という金額を預けたままにしてしまう恐れがあるということです。

低金利になれてしまった日本で、金利の高騰というのはイメージできないところもありますが、今の低金利がずっと続いていることの方が異常だといえるのかもしれません。本来、金利の上昇と金利の低下はサイクル的に循環しているものです。

金融商品選択の基本でもありますが、投資する側は、高金利時に長期の投資先へ、低金利時は短期の投資先へという選択をします。逆に借入をするときには、低金利の時は長期の借入、高金利の時は短期の借入という選択になります。

終身保険は、一生涯という超長期です。つまり、金融商品選択の基本から言えば高金利時に選択すべき金融商品で、低金利時には避けた方がいい金融商品だということができます。


生命保険の本来の役割は保障だという基本

生命保険で蓄財というのは、金利の高かった時代には、確かに有効だったのだろうと思われます。その高かった金利が災いし、低金利の時代になって運用が悪化し(逆ザヤ)、多くの保険会社が外資に買収されたり破たんしたりしました。つまり、当時の保険契約者は保険会社を破たんに追い込むほどの利回りを享受していたとも言えます。

しかし、低金利時代となった今は、はたして生命保険で蓄財するというのは合理的なものなのかという疑問がわきます。

生命保険の本来の役割は、保障です。ならば生命保険に蓄財を求めず、保障の機能だけを求め蓄財はほかの方法でと考えるのが自然なのかもしれません。

そして保障だけに絞った生命保険が、掛捨て型の定期保険です。ただ、長期間の定期保険は将来の保険料を前払しているケースもあるので、その前払分は長期間低金利で運用されることにはなりますが。


定期保険に加入したら、保険料がもったいない気がする?

定期保険はほとんどのケースで掛捨てとなるので、何もなければ、戻ってくるものは何もありません。しかし、終身保険と言えど、定期保険と同様に保障に係る部分の保険料は掛け捨てになっています。

定期保険を選ぶケースと終身保険を選ぶケースの違いは、自分で積み立てをするのか、保険会社に積み立てをするのかの違いです。保険会社に預けても効率的に運用できないのであれば、自分で積み立てた方がいいと考えられる場合もあります。

実際に計算してみると、自分で年1.2%以上の運用ができると、掛捨ての定期保険に加入しながら自分で積み立てをしたほうのが、終身保険で積み立てるよりも、最終的な手取りは多くなりました。(契約年齢30歳、60歳払い済みで計算してみました)

もし、拠出時に節税効果がある確定拠出年金などで積み立てをすることを選べば、節税になる分も考慮すると十二分にこの利回りを超える可能性があります。


そもそも、一生涯の保障は必要なのか?

お金持ちは保険嫌いが多いという話があります。

よく考えると、生命保険に加入する必要があるのは、財産のない人が、自分に万が一のことがあったときに家族に経済面での苦労をさせたくないという場合です。つまり、財産があれば、保険に加入する必要はなくなると言い換えることもできます。

もし、掛捨ての保険で一定期間だけ保険に加入し、その後は、それまでに積み立てたものである程度の財産が作れていたら、保険は必要なくなるということなります。

終身保険に入らず、定期保険と自分で積み立てという話の結論はそこにあります。保障が効いている間に自分で蓄財し、その後保険に頼らずに済むところまで行ければそれで十分ということです。仮に2,000万円の終身保険に入るくらいなら、財産が2,000万円になるまでの間だけ2,000万円の定期保険で補えればいいわけです。


それでも終身保険に加入する必要はあるのか?

自分ではどうしても蓄財ができないという場合

確かに、自分で貯蓄ができないのであれば、保険会社に預けて貯蓄したほうがいいのかもしれません。ただ、確定拠出年金を使うことで、その問題は解決できるかもしれません。

相続税の節税につかう

生命保険の保険金には非課税枠があるため、確かに効果的です。しかし、人はいつ死ぬかわからないところがあります。相続税対策のために終身保険に加入したのはいいけれど、それから10年間長生きしたりしてしまったら、保険に預けず運用し続けた方のが、相続税の支払いを考慮しても最終的に残る資産額は上だったということになる可能性もあります。

保険金受取人の選定

相続で特定の人に現金で渡したいときです。これは終身保険を使うことが一番いいと思われます。

生命保険の保険金は、基本的には相続財産ではなく保険金受取人の財産になります。(相続税の計算上はみなし相続財産として相続税課税の対象です)つまり、法律的には遺産分割などに巻き込まれることなく、特定の人に現金として受け取らせることができることになります。





田仲幹生

投資会社、FP会社 ㈱あせっとびるだーず 代表取締役

投資、資産運用のスクールを運営。
資産運用、ファイナンシャルプランニングの相談などを行う独立系のファイナンシャルプランナー。

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