資産運用をするなら、『長期、分散投資が基本』と言われています。
しかし、何も知らない長期投資は、ただ危険なだけなのかもしれません。
長期投資は危険な投資法?
「長期投資ならば安全」と言われていることが多いです。
長期投資をすれば、『複利で運用できる』、『長期で見れば、株価が変動する波はそれほど怖くない』、『長期で投資することで、世界経済が成長する恩恵を受けられるため、成功しやすい』なんていわれていたりします。
確かに、様々な研究結果においても、長期投資でリスクが少なくなるという結論がでています。
でも、実践の中で考えると、研究のデータようにはいかないことも多々あるものです。
私たちには感情があり、損した得したと一喜一憂する癖があり、そのせいでデータのようにはいかなくなるときがある。
また、沢山のデータをまとめた統計から見れば、いい結果なのかもしれないけれど。
その中の一部には悪い結果の人も当然いる。そして、その悪い結果にあたってしまった人にとっては、その悪い結果が全てだという視点が抜けている。
そして、その悪い結果の人には決してならないとは言い切れない。
長期投資は、安全なようで、実は慎重に取り組むべき投資の仕方であると感じています。
30年間かけて積立投資して、仮に投資元本が倍になったとしても、金融危機などの経済的なショックで資産が半分以下になってしまう(元本毀損になる)ことだって十分にあり得る話です。
もしその時に、リタイヤ期を迎え、積立ではなく取り崩しの時期に差し掛かっていたらどうするのでしょうか?
このように、ある意味一回の失敗が取り返しのつかないことになるリスクが、長期投資にはあるのです。
特に勘違いしがちなのは、長期投資と長期保有を同じように考えている場合です。
長期投資と長期保有は違うもの?
複数の銘柄を長期間保有するのが、長期投資だと考えている人もいるようです。
長く保有するメリットを、バフェットの話でよく出てくる、『永久保有』という言葉を使って説明している人も見かけます。
確かに、『永久保有』できるような銘柄があれば、理想だとは思います。
でも、そのような『永久保有銘柄』に出会えるかどうかは、また別の話です。
バフェットであっても、本当に『永久保有』をしている銘柄は、案外少ない。
それなりに、保有数を増減させたり、銘柄を入れ替えたりして運用しています。
はっきいって、市場のリスクをコントロールするためには、それなりに売買を行う必要があると思っています。
バブル崩壊のような大暴落を避けつつ、良いタイミングで仕込む。
これを意識せずに、長期投資はないのではないでしょうか?
つまり、長期投資と長期保有は、同じ意味ではないという事です。
分散投資をしていると、その中には本来の投資目的に合わないものが、必ず出てくる。
それは、確率的にいっても当然の話です。
そんな時、長期保有が良いからと言って、そういう銘柄を持ち続けるのか?
運用の上手い投資家たちは、きっと、そのような銘柄はほどよいところで見切りをつけて、他の銘柄に乗り換えていることでしょう。
つまり、長期投資をしているからって、なんでもかんでも長期保有しているわけではないってことです。
長期保有は、売るタイミングを知っているからできる?
長期投資家は売らないと思われているかもしれません。
しかし、実際には、それなりに売るべきタイミングを知っていたりするものです。
「市場の大暴落巻き込まれないように」、「十分すぎる利が乗ったから」、「損切りしなければ、含み損が増える」。
それなりに、売るべき時をわかっている。
だから長期保有が出来る。
今が売るべき時なのかどうかを考えて、保有をしていたら、長期保有になっていた。
というほうが正しいのかもしれません。
よく「長期投資をしましょう」という説明を聞きますが、ただ長期投資をしましょうというのと、売るべきタイミングを知っていての長期投資は、まったくの別物であると考えます。
これがわからないと、本当に金融機関のカモにされかねません。
投資というのは、リスクがある。
そして、リスクがあるものに対しては、リスクへの対処法を知っていることが、何よりもリスクヘッジになる。
さらに、投資のリスクへの対処法は、何と言っても市場から撤退する方法を知っていることです。
つまり、『売り方』というわけです。
『売り方』を知らずしてリスクは取るべきではないのかもしれない。
今、長期投資を人に勧めている者の多くは、この『売り方』というところを無視しているように感じます。
よく考えてみればそれも当然のことで、長期投資を勧める者の多くは、『投資商品を買ってもらうことで利益を得ている』わけだから、『売り方』というのは、そもそもあまり考えていないのでしょう。
しかも、この『売り方』というのは、『買い方』よりもずっと難しい。
もしかしたら、そもそも『売る』ということが、わかっていない可能性だってあります。
長期投資をするのであっても、売ったり買ったりという、言ってみてば『短期売買』のノウハウだって決して無視できるものではないのではないでしょうか?
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