「おすすめの投資先ってありますか?」
と聞いたときによく出てくるのが、ETFです。
でもその仕組みは意外と知られていないものです。
ETFの仕組み?
ETFは、投資信託が株式市場に上場していると説明するのが、もっともイメージしやすいかと思います。
しかし、本当に投資信託が上場しているのかというとちょっと違う。
投資信託は、投資家が投資信託を購入すると、その投資したお金は信託銀行に預けられ、投資信託の運用している人が、そのお金の運用指示をしています。
対して、ETFの場合は、ETFを買った人が払ったお金は、投資信託のように信託銀行に行くのではなく、そのETFを売った人のところに行くことになります。
つまり、取引の流れとしては、投資信託を買うというよりも、投資信託と同じ値動きをする株式を売買しているといった感じになっています。
「じゃあ、そのETFが投資信託と同じ値動きをするのは何で?」と思うところですが、そこがETFの仕組みのポイントでもあります。
実は、ETFを市場で売買する中で、原資産であるETFの資産価格と、ETFの取引価格が乖離することがあります。
もし、売る人がいなくて、買う人しかいなかったら、実態価値を超えて高くなるなんてことが起こるのはちょっと考えればわかることです。
ただ、ETFには、そのような乖離が発生した時に、調整する役目を持っている人が存在していて、その人たちによって、ETFの価格が、ETFが投資している資産価値から外れないようにしているというわけです。
なかなか複雑な仕組みなのですが、結果的には、ETFは原資産価値と同等の価格になるようになっているので、仕組みの話は置いておいて、ざっくりと、投資信託を株式市場で売買しているようなものと説明しているわけですね。
ETFに詳しくなれる?
本書は、そんなETFの仕組みからわかりやすく説明してくれている本です。
「ETFは良い投資先だという話をよく聞くけれど、一体何者なんだ」と一抹の不安を抱えている人もいるかもしれませんが、そんな人にこそ、ETFの理解を深めるのに良い本だと思いました。
ETFは、コストが安く、時価で売買できるという投資信託にはないメリットがあります。
しかも、最近では最低取引価格も小さくなってきて、投資信託の一番のメリットだった小口での投資も、ETFでできるようになってきました。
ETFを知ることは、間違いなく運用にプラスに働くことになると思っています。
投資のプロ中のプロ、ヘッジファンドの世界でもETFを活用しているケースを見かけます。
運用資産世界最大級とも言われるヘッジファンドのブリッジウォーターも、運用資産の大部分をETFに投資をしていると言われていました。
ETFを知ることで、運用の仕方を学ぶことにつながるところもあるのかもしれません。
実は、ETFにも様々なものが登場しています。
株式に投資するETFが基本にあり、他にも債券や不動産に投資をするETFもある。
スマートベータと呼ばれる、ちょっとかわった株価指数に連動するETFもあれば、為替ヘッジという機能を付けたETFもある。
債券も、長期の債券、短期の債券、ハイイールドなどによって特性がかわる。
それらを学ぶだけでも、運用に詳しくなれることは間違いないことでしょう。
株価指数というある意味シンプル化したものを対象としているだけに、投資の原則を学ぶのに近いのかもしれません。
本書では、投資のノウハウはあまり語られていないように感じました。
しかし、ETFのことについてはもちろんですが、ETFを通じて投資の基本や基礎知識と言えることがたくさんありました。
まさにタイトル通りに『教科書』といえるような本だと思いました。
すでに教科書レベルを超えている人には、物足りない内容かもしれませんが、基本を見直してみたいなと思った時には読んでみると良いかもしれません。
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