「テクニカル分析は、迷信」、「短期売買は失敗する」。
そういうのが、賢い投資家の正しい認識とされているように感じます。
でも、はたして本当にそうなのだろうか?
トレンドフォローは本物?
多くの投資及び資産運用のアドバイザーやファイナンシャルプランナーといった、投資や資産運用をアドバイスしている人たちの間では、テクニカル分析に基づいた短期売買は、投機でありギャンブル的なものなので、やってはいけないこととされています。
しかし、本当にそうなのだろうか?
また、短期売買はやってはいけない投資の仕方だと説明する人の多くは、長期間保有するバイ&ホールドでの運用方法は、投機ではなく投資であるため、むしろ推奨するといっていることが多いものです。
しかし、それもまた本当なのだろうか?
ある書籍の帯に、「サミュエルソンはなぜ投資先をバークシャーにしたのか」という文言がありました。
ポール・サミュエルソンといえば、『効率的市場仮説』を指示した経済学者として有名です。
つまり、この文言は、そのサミュエルソンが、『効率的市場仮説』とは異なる存在の代表ともいえる、バークシャー・ハサウェイに投資をしたのはなぜ?という皮肉です。
実はこの帯のついた書籍が、『ウォール街のモメンタムウォーカー』です。
この本では、金融市場にはモメンタムがあることを説明しています。
つまり、伸びるものは、伸び続ける傾向にあるという事です。
単純に、1年前の価格よりも高値にあるときに買い、それ以下になった時に売るという方法が意外にも上手くいってきたと説明しています。
そして、「適応性市場仮説」によって、そのモメンタムという現象が起こる根拠が示されました。
この「適応的市場仮説」は、投資をしている生の感覚にかなり近く。
正直、学者が唱える「効率的市場仮説が原則である」という考え方よりも、ずっと有効な考え方だと感じました。
そんなこともあり、モメンタムという市場の特性を生かした投資戦略である、『トレンドフォロー』にも興味がわいてきたわけです。
おそらく、トレンドフォローという投資方法は、決して幻想なんかではないと思っています。
一般的によく言われる「短期売買は良くない」というのは、はっきりいって、このことを見ていないのではないかと感じています。
なにしろ、トレンドフォローという投資戦略は、長年使ってきた人がいる、実績のある投資方法でもあるというのですから、幻想などといって切り捨ててしまうこともないのではないでしょうか?
トレンドフォロー戦略をポートフォリオに?
トレンドフォロー戦略が、理論的にどうなのか?
本書の第3部を読むと、意外にも理にかなっていることに気づきます。
そして、トレンドフォロー最大の魅力といえば、クライシスに強いという点です。
トレンドフォローという戦略は、短期売買という仕組み上、大きな損失を抑えられる傾向にあります。
また、買いだけでなく、売りから入ることも戦略として取り入れられるため、大きく相場が崩れる局面(クライシス)で有利になります。
バイ&ホールドの長期投資には大きな問題点があります。
長期投資を推奨している人に、見過ごされがちなことだと思っていますが。
クライシスが起こった時に、大きな損失を負うはめになるという問題です。
市場では十数年に一度ぐらいの感覚で、大きな金融市場の崩壊が起こってきています。
バイ&ホールドの作戦では、その金融市場の崩壊をまともに受けることになり、最悪の場合には、総資産の半分以上を失うはめになることもあります。
また、その損失を取り返すためには、数年単位の時間を要することもあります。
バイ&ホールドの長期投資推奨派は、このことを軽く見ているように感じています。
ですが、実際にそれを味わったものからすると、決して軽く見れるような問題ではないと思っています。
トレンドフォローのクライシス時に有利になる性質を利用して、バイ&ホールドの投資戦略に、トレンドフォローの投資戦略を組み合わせて、ポートフォリオを作ってみてはどうかというのが、この本の論点です。
正直、専門用語などを多用していることもあり、内容の把握はとても難しいというのが個人的な感想なのですが、ポイントを知るだけでも参考になる話だったと感じています。
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