『まぐれ』、『ブラック・スワン』で有名なタレブが書いた本。
相変わらず「おもしろい」と思いました。
身銭を切れ!
「米国のインデックスファンドは、資産形成に最適です。」という言葉をよく聞きます。
ただこの言葉、誰が言ったのかで印象が全然変わってくる。
金融機関の営業担当や権威のある学者の方が言うよりも、『実際に株式投資をして資産を築いている人』が言うことで、言葉の重みが全然違ってきます。
両者の違いは何かといえば、『身銭を切っているかどうか』です。
自らのお金をリスクにさらしてきて、そのリスクの中で生き残ってきた。
この事実が、その人の発する言葉や行動に価値を持たせているわけです。
でも、そんなことは百も承知。当たり前の話です。
でも、なぜそれが当たり前のことなのかと問われると、回答に困る。
そんな疑問に、見事にこたえてくれたのが、この本『身銭を切れ』です。
身銭を切ることが、合理的。
リスクのあることを繰り返す中で、生き残ってきた。
この事実が、その行動が合理的であることを物語っている。
学者の論文よりも、おばあちゃんの知恵袋。
そのことを、見事に実感させられました。
タレブは、ジャーナリストのような、ただ持論を言うだけでの人ではなく、万が一の確率を扱う研究者でもあり、何と言っても、オプション取引で『身銭を切って』、万が一の事象を扱っている投資家でありトレーダーです。
そんなタレブが、論理的に、身銭を切ることがなぜ価値があるのことなのかを説明しているところに、とても興味深く読めました。
世の中には、組織的となったことで、身銭を切らずに管理する側になった人たちがいる。
官僚や学者、ジャーナリストといった人達の中で、それに該当している方が多くなっている。
身銭を切らないものの意見を採用することで、自らリスクを取らなければいけない人たちは、判断を間違えてしまう。
お金の世界でいえば、投資信託を売るものと、投資信託を買うものの関係が、まさにそれです。
「リスクを取ることをするならば、自らリスクを取ってきたものの意見を採用したほうがいい。」
その大切さを、改めて思わされた次第です。
この話は、投資だけの話では決してありませんが。
少なくとも投資をするものにとって、この本の内容はとても貴重な話でしょう。
何を基に判断し、行動したらいいのか、そういった気付きを与えてくれるタレブの本は、いつものことながら読んだ方がいいと思える本でした。
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