ファイナンシャル・プランナー タナカ


独立系のFP会社あせっとびるだーずで資産運用の講座と相談を行っています。

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㈱あせっとびるだーず 
 代表取締役 田仲幹生 です。
【保有資格】
 CFP
 1級FP技能士
 宅建士

生命保険会社に勤め、その後税理士事務所に勤務すると同時期に、投資信託や株式投資を始めたが、2年後リーマンショックという株価大暴落に巻き込まれ、総資産の半分近くを失いました。
しかし、その後もめげずに投資と勉強を続け、今では投資に魅了され、会社を設立して

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『普通の会社員でもできる日本版FIRE超入門(山崎 俊輔)』

実にファイナンシャルプランナーらしい本。本書の印象を一言でいえば、「いかにもファイナンシャルプランナーらしい本」。ファイナンシャルプランナーが書く本の傾向といえば、「もっともらしい知識はいろいろ披露されているけれど、本を書いているファイナンシャルプランナー自身が実際に行動してきたことではないためか、なんとなく現実感がない。」といった印象を持っています。本書を読んで感じるところは、まさにそんなところです。だから、この本はファイナンシャルプランナーが書いた本らしい本という印象になっているのかもしれない。日本版FIREなんて言うのなら、日本で本当にFIREを達成したファイナンシャルプランナーや、実際にFIRE達成者を何人も支援してきたファイナンシャルプランナーが書いた本のほうが、よほど現実感があるのではと思ってしまいます。(あればの話ですが)本書を読もうと思った上で気になっていたのは、社会保険とFIREをどう組み合わせるのだろうということでした。日本版というところの大きな部分は、やはり日本の公的福祉制度とどう絡めるのかというところなのではと思ったわけです。FIREを目指さなくても、FIREを考えることは、ファイナンシャル・プランニングの総合問題になる?はっきり言って、「本気でFIREを目指す」ということが前提の場合には、本書が果たす役割はあまりないのかもしれないと感じています。しかし、読み方を変えれば良い教材にもなるのかもしれない。別にFIREを目指さなくたって、生涯のファイナンシャル・プランニングについて考えるときに、FIREすることを考えてみるというのは、一つのいい題材となっている気がしました。FIREをするためには、一生涯で必要になるお金について考えることになる。これから手にする可能性のある収入について考える。お金の賢い使い分け、支出の用途、節約や生活の仕方、人生設計。住宅や教育など、とくに人生の中で大きな割合を占めるコストをどう考えるか。生命保険などの、万が一にかかるコストの考え方。年金や医療、社会保障のこと。まさに、ファイナンシャルプランナーが勉強していることが、網羅されている内容です。さらに言えば、その網羅された内容を、別々に考えるのではなく、一人の人生に置き換えて考える。まさに、ファイナンシャルプランナーにとっての総合問題そのものです。そうやってこの本を読むと、FIRE抜きにして面白いと思えるところが出てくるかもしれません。FIRE達成には、しょせん運がものをいうと思う。一般的な人が、一般的な生活をしながら、平均的な運用でFIREを達成しようとしたって、本書の内容が限界。(それでも結構キツイ印象でした。)はっきり言って、FIREは現実的なものとはならない。個人的に思うFIRE達成の条件。一つは本書にもあるように、収入を増やし、生活コストを抑え、とにかく沢山の貯金をすること。これには、住んでいる地域、生活環境、仕事、家庭、いろんな問題があるものです。選択できるものもあるけれど、運によって変わるところも大きい。もう一つが、とにかく高利回りで運用すること。可能なら年利回り10%以上を目指すべき。ただしその場合には、当然のことですが、平均値を超える運用を求めることになり、かなり高リスクな投資になる(失敗してFIREどころではなくなることもある。)。はっきり言えば、そうそう達成できるものではないということ。それこそ『運』がものを言います。FIREというのは、最終的に『運』を手にしたものしか手に入れることのできないもの、なのかもしれない。考えてみれば、平均的な生活環境の人が、だれでもFIREを手にすることができるような世の中なのであれば、みんな無理に働かなくなってしまうかもしれない。仕事をしない人が増えれば、社会全体の所得が増えることはない。経済や社会にとって、決していいことではない。日本国憲法第二十七条一項、「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」。いわゆる『勤労の義務』。働くことが社会にとって必要なものなのであれば、働かなくていいことが当然のようになるということのほうが考えづらい。つまり、働かなくていいというFIREを手にできる人というのは、結果を見れば一握りの人ということになる。「普通と呼ばれる人よりも、『運』の良かった人」がFIREを手にする。「そういうリスクをとってでも、FIREを目指しますか?」という意志がなければ、目指すべきものではないのかもしれないと思っています。FIREについて本当の話を語るには、誰にでも通用するようにアドバイスを行っている多くのファイナンシャルプランナーには、ちょっと荷が重いことなのかもしれません。

『幸せとお金の経済学(ロバート・H・フランク)』

幸せはお金では買えない?本書は、幸せになるためのお金の使い方というノウハウ的な話ではなく、幸せとお金の関係について考えた『経済学』の本です。『収入が増えない時代のコスパ最強の金銭感覚』という帯タイトルが、なんとなく賢いお金の使い方について書いているような気がしてしまいますが、読むとそうではありません。幸せとお金についてを学問として考えた経済学の内容です。本書を読むと、「幸せはお金で買える」という話も耳にするものですが、どうやらそういうことではないということが一つの科学として、わかってくるような感じを受けます。私達は、今の自分を幸せだと感じているとは限りません。むしろ幸せだと思っていない人も少なくありません。特に、中流階級以下の人に幸せだと思っていない人が多くなる傾向がある。そのため、「お金がない」「収入が少ない」ということが、幸せだと思えない原因になっていると考えているように見えます。「給料が増えない」。今の時代、そういう話はよく耳にする。給料が増えないから、幸せになれない。年収が増えている高所得者が羨ましい。しかし、よくよく考えれば、今の私達は本当に幸せではないのだろうか?今から50年ぐらい前まで遡れば、今の私達の生活は幸せと言ってもおかしくない生活をしているのではないだろうか?家は、空調システムが効いていて、過ごしやすい温度で生活することができる。車だってエアコン、パワーウィンドウ、当たり前のようについている。道路や交通システムも整っていて、移動も楽。当時の人にとっては、とっても贅沢なものをたくさん手に入れている。生活レベルでいえば、当時の人よりも遥かに幸せな生活を送っている。それなのに、自分のことを幸せだと思っていない。その理由が、幸せとお金の経済学の一番のポイント『コンテクスト』。言ってみれば、他者との比較から来ているのだと言うのが本書の主張になっています。考えてみれは、今は情報がとても安く、しかも大量に手に入りやすい。その結果、他者との比較が容易になり、自分よりも豊かな生活をしている人の話も目にしやすくなった。SNSなどもその最たる例なのかもしれない。その結果、より自分より収入が高い人の生活を意識することで、幸せを感じにくくなってしまっているのかもしれない。格差が生み出す、経済的な問題。誰もが、なんとなくだけど『格差社会は良くない』と思っている。でも、「格差社会がなぜ問題なのか説明しなさい」と言われても、うまく答えられる人はほとんどいないと思われます。本書は、まさにその答えの一つを論理的かつ直感的に説明してくれています。直感的に理解ができる話なので、わかりやすくて、結果的にこの本はとても読みやすくなっている。著者いわく、高所得者が高額な商品を買うと、その支出に合わせるように中間所得層が支出を増やし、さらにその下の階層でも同じことが起こるようになる。その結果、所得に占める支出の割合が高所得者よりも、中間所得層以下の支出のほうが大きくなるようになってしまっている。しかも、今の時代は、中間所得層以下の所得が増えにくくなっているが、高所得者層はどんどん所得が増え、支出も増やしている。収入が増えないのに、高所得者に合わせるように支出が増えているから、中間所得層以下にとっては、生活がギスギスすることになり、幸せを感じにくくなってしまっている。格差が広がれば広がるほど、その傾向は増していき、より幸せを感じにくい社会になっていくというわけです。言われてみれば、なるほどなと思うような話です。しかし、言われてみるまで気づかなかった。そもそも『今の経済学』というものが、人が他者との比較で世界を見ているということを前提に考えてはいないようで、その『経済学』を元に社会が、政治や経済が動いているわけだから、幸せを感じる人が少なくなっていくことも仕方がないことなのかもしれません。結局、私達は、私達が幸せを感じにくい社会になっていくことに対して、どう対応したら良いのかということは、私達個人レベルでできることはないのかもしれません。無駄な情報を遮断し、みんな同じような所得で生活しているところに移り住むことが、一番の方法なのかもしれない。理想を言えば、その場所でちょっと頭一つ抜きに出るぐらいになると、もっとも幸せを感じることができるのかもしれない。本書では、税制の見直しなどで、より幸せを感じる社会にするための提案などが書かれていましたが、それもどこまで効果があるかは、やってみないとわからないところでしょう。結局、経済とは、私達の心なのかもしれない。人の心である以上、とても不安定で不確実で、結果の読めないものであるような気がします。本書を読んだ感想としては、とてもおもしろい内容だったと感じています。「どうするか」は、はっきりしないにしても、知識として面白い着眼点を与えてくれたと感じています。結論から言えば、読んでよかったと思いました。

「貯金はしたい。けれど思うようにできない?」ファイナンシャルプランナーが考える効率的なお金の貯め方とは。

お金を貯めるには、気持ちが必要!お金を貯めるためには、何と言っても「絶対貯めるぞ」という気持ちが重要。そして「自分なら絶対できる」という自信を持つことも必要です。『お金を貯める』と聞いて、どんなイメージを持ちますか?「節約生活で欲しいものも買えなくなる。」「我慢、我慢を続けなければいけない。」「人よりもわびしい生活を求められる。」こんなイメージが湧いてきたりはしませんか?どれも間違っているわけではないですが、貯金することに対してこんなイメージを持っているのだとしたら、その時点で上手に貯金ができるようになるとは思えません。確かに貯金は、我慢や忍耐を必要とされます。人は、お金を使わないことよりも、使うことの方が、楽しいやうれしいといったポジティブな反応を示すものです。そんなことは言われなくても当たり前。じゃあ貯金が得意な人は、貯金に対してどんなイメージを持っているのか。多くの貯金成功者は、「残高が増えていく通帳を見るのが楽しい」といったことを言います。そうなのです。貯金成功者というのは、貯金することを苦しいものだとは思っていません。むしろ、貯金することが楽しい。ゲームをしているような気持ちで貯金をしている。貯金に対してポジティブなイメージを持っているわけです。だからどんどん貯金が出来る。お金というのは、モノではなく心の問題であることの方が多い。心がけ次第で、お金への考え方、価値観というのは変化する。そしてその心に反応するように、貯金が出来たり、支出がコントロールできたり、収入を増やしたりすることが出来たりするものです。貯金のコツ、人の心理的な作用を活用することを考えよう。貯金のコツとしてよく使われている方法に、「収入が入ってきた時に、先に貯金分のお金を分けてしまって、そのまま貯金用口座に入金してしまう」という方法があります。この方法は、実際にとても効果的だと感じています。『収入から支出を引いて、残ったお金を貯金する。』これだと、「使わないように使わないように」と考えながらお金を使わないといけないので、どうしても我慢している感じがしてくるものです。対して、最初から全部使ってもいいお金として分けてしまえば、「その範囲までなら使い切ってしまってもいい。」と考えてお金を使うことができます。これなら、お金を使うことにマイナスな気持ちを持つことなく。安心してお金が使える気持ちになります。また、生活費口座とは別の口座に分けて入金しておくことで、自分の視界からはずしてしまう効果もあります。案外、視界にないお金は使おうとは思わないものです。不思議な事ですが、多く人がその効果を実感しています。さらに、このような方法をつかって貯金が出来るようになってくると、貯金することが楽しくなってくることがあります。これも、多くの人が感じていることです。こうなってくると、もう方法云々ではなく、呼吸をするように貯金が出来るようになったりもします。『お金持ちは、お金を引き寄せる』なんて言われたりしますが、これももしかするとその理由の一つなのかもしれません。最後はやっぱり心構えです。貯金のコツや方法というのは、突き詰めれば、そのほとんどが人の心理を利用したものです。言ってみれば、自分の心との対話が、貯金やお金につながってくるわけです。貯金の方法というのも、心がなければ上手く行かない。つまりは、「貯金をする」という意識がちゃんとしていなければ、いくら方法を考えたところで、貯金は上手く行かないわけです。せっかく貯金用口座を準備して、お金を分けるという方法を教わり実践したとしても。本人に貯金の意識がなければ、貯まった口座の残高を見て、「あれ、前から買いたかったんだよな」なんて考えて、使ってしまうことにもなりかねません。「はたして本当に前からそんなに買いたいものだったのだろうか?」と疑わしい気持ちもなくもありません。また、突然、必要となる多額の出費があった時に、貯金口座からお金を引き出してしまったことで、貯金する意識が途切れることもあるものです。「自分には、やっぱり貯金はむかないな」と考えてしまって、貯金をやめてしまう。貯金を成功させるためには、結局方法云々ではなく、自分の心次第ということです。自分が本気で貯金に向き合うのなら、きっと貯金はできるようになるだろうし。半信半疑でやっていれば、きっと貯金は思うように進まない。貯金をスタートするなら、「なんのため」、「どうしたい」、そういった自分の心との対話から始めてみるといいのではないでしょうか?

『ファイナンシャル・フリーダム 経済的自由と人生の幸せを同時に手に入れる!(ボード・シェーファー)』

経済的自由を手に入れる。最近は、『FIRE』(「Financial Independence(経済的自立), Retire Early(早期退職)」)という言葉が流行っています。いつまでもお金のために働くのではなく、早く会社からリタイヤして、自由な時間をすごせるようになろう、といった意味で使われています。ただ、少し前までは、似たような話を「経済的自由」という言葉を使っていたように感じています。本書のタイトルは、「ファイナンシャル・フリーダム」。つまり「経済的自由」を目指す人のための本になります。ところで、経済的自由という話は、ただの理想なのか?それとも現実として叶うものなのか?本書は、そこそこ厚さもあって、他の本よりも値段も若干高めです。興味本位だけで手に取るのには、おそらく抵抗もあることでしょう。「そもそも経済的自由なんて不可能だ」と思っていれば、まず手に取ることはないと思います。そこで、大前提として、才能や生まれに特に恵まれたわけでもない凡人が、「経済的自由」という目標を叶えることはできるのかどうかという疑問に対しての個人的な感想です。自身の経験と感覚的には、『可能だ』と感じています。私自身、まだ完全に経済的自由を得ているというわけではないけれど、それなりに手ごたえは感じています。長く勤めた職場も決して給料などに恵まれた職ではありませんでした。大学卒業時の就職は思うような職につくことができず、フリーターとなった時期もありました。前の職場に勤めていたころ、不動産投資に挑戦しようと思い金融機関にローンを申請たところ、いくら借りれるかの金額どころか、審査さえ受けさせてもらえなかった。そんな感じのところからでも、「経済的自由は不可能ではないかも」という手ごたえを感じるところまでくることが出来た。つまり、経済的自由というのは、思っているほど難しいものではなく、「やって出来ないことではない。」と思っているわけです。「やる気があれば、誰でもできる。」今は、そんな風に感じています。経済的自由を手に入れるために必要な事?経済的自由を手に入れるためには、投資に挑戦しなければいけない。これは、当然のことです。経済的自由というのは、今あるお金を取り崩して生活するのではなく、今ある資産が生み出すキャッシュフロー(現金収入)を使って生活することです。そして現金を生み出す資産を手に入れる行為というのは、投資です。だから投資をしなければ経済的自由を手に入れることはできません。本書の中で「裕福」というものの基準をどう考えるかという話がありました。「裕福」とは、『資産が生み出す利子だけで生活できる状態』だと言っていました。裕福になるためには、投資が必要。これは誰もがわかっています。ただ、そう考えた結果、多くのケースで、いきなり投資の手法を勉強しようと考える傾向が見受けられます。実は、そこが大きな間違い。現にこの本は、投資の手法にはほとんど触れていません。それよりも前に、経済的自由を手に入れるという心構えの方を重視しています。なぜ、心構えが重要なのか?多くの人が収入の一部を貯蓄して投資をすれば、経済的自由に近づくことが出来ると知っています。しかし、その中で、本当に経済的自由を手に入れた人というのは、かなりの少数派です。なぜ、経済的自由を手に入れた人が少数派となっているのか?理由は単純です。「あきらめたから」という事になります。経済的自由を手に入れるのは、それなりの忍耐や犠牲も必要になります。浪費は基本してはいけない。欲しいものだって我慢することになることもある。そうやって、コツコツと努力することが経済的自由を手に入れるためには必要になってくる。その努力を続けるためには、「心構え」がキッチリと整っていなければ、到底できないというわけです。人は何かをしようと思うと、「これをすればいい」といった方法に気を取られがちです。ですが、実際には方法よりも、信念のような土台の方がずっと大切であることは多いものです。言われれば誰だって、「分かっている」と思うのですが、信念のようなものって、分かったと考えた次の時には、すでに忘れていることもあるものです。本書の目的は、間違いなくそこをカバーするためのものであると思いました。経済的自由を手に入れるための『方法』は、別のところでいろんな情報が出ている。本書ではメンターを見つけろと言っています。本書は、なんども反復して読むことで、心の中にしっかりと『経済的自由を手に入れるんだ』という目的意識と、なにより『やれるという自信』をつけるためにあるんだろうと思いました。

『ウォール街のモメンタムウォーカー (ゲイリー・アントナッチ)』

サミュエルソンは、なぜバークシャーに投資したのか?インデックスファンドの信奉者である、ポール・サミュエルソン。効率的市場仮説を強く信じ、その考え方からノーベル経済学賞を受賞するまでに至った、経済学の重鎮。効率的市場仮説といえば、株式市場の価格変動というのはランダムに動いてて、株価に影響するすべての情報は、情報が公開されるとともに瞬時に、株価に反映されることになっているという考え方です。この考え方を代表する有名な本といえば、『ウォール街のランダムウォーカー(バートン・マルキール)』があります。この本は、投資の世界では名著として扱われ、多くの方が読んでいる本でもあります。結局、市場が高度に効率的なのであれば、あれこれ考えて株式投資をすることの多くが、結果的には無駄になるということで、今はインデックスファンドが一番いいと言われてきているわけです。しかし、経済学者の中では株式市場は効率的であるという効率的市場仮説が重きを置かれていますが、株式市場を数学的または統計的に考えた数学者や統計学者から見ると、市場には非効率的なところがあるという考え方が増えています。つまり、数学者や統計学者から見れば、効率的市場仮説は正しくないということを考えているわけです。そんな矛盾点を付き、効率的市場仮説を信奉する投資界の名著とも言われる『ウォール街のランダムウォーカー』をもじって、本書には『ウォール街のモメンタムウォーカー』というタイトルがついているわけです。ところで、インデックスファンド信奉の巨匠サミュエルソンが実際に投資していたのは、著名投資家ウォーレン・バフェットが経営するバークシャー・ハサウェイだったそうです。そのウォーレン・バフェットの投資スタイルは、分散よりも集中、割安なもの買うバリュー投資、そして市場が弱気になっている時に大胆に買うというタイミング投資、インデックスファンドとは似ても似つかぬアクティブ投資のスタイルです。インデックスファンドを世に広めるきっかけにもなったサミュエルソンが、実際にはインデックスファンドではなく、アクティブ投資のバークシャーで資産を築いていたというのは、なんとも皮肉なものです。モメンタムに注目する。モメンタムウオーカー、つまり本書にあるのは市場のモメンタムに注目する投資スタイル。モメンタムとは、相場の勢い、つまりは価格が上昇しているものを買うというスタイルです。言ってみればトレンドフォローの考え方に近いです。インデックスファンドを強く信奉している人からすれば、「市場はランダムに動いているのだから、上がっているもはその後も上がるなんていう、モメンタムの考え方はありえない。」ということになることでしょう。しかし、実際そこにモメンタムはある。世界一のヘッジファンド、ジェームズ・シモンズのメダリオンもモメンタムに注目してトレードシステムを作っていた。

『My資産』が便利。SBI証券が証券口座として、ついに弱点がなくなった?

SBI証券の大きな弱点?SBI証券で始まった新しいサービス、『My資産』。この『My資産』によって、SBI証券の口座を開く上で一番の弱点がついになくなったのかもしれない。SBI証券と言えば、ネット証券業界でも口座数が一番多い、最も勢いのある証券会社です。手数料の安さ、サービスや取扱い商品の豊富さ、システムの安定感や信頼感、人気があるだけあって一番メリットの多い証券会社です。しかし、そのぶん画面の使いにくさが際立ってしまっていた。そして何より資産管理が、他のツールを使わないと把握できないというデメリットが大きかった。SBI証券と楽天証券やマネックス証券などの他のネット証券との大きな違いはそれでした。楽天証券やマネック証券では、以前から資産残高や評価額はもちろん、損益の状況、配当の受取総額、資産の推移といったものが、直感的に見やすい画面になっていて。今いくら投資をして、いくら利益があって、どのくらい増えてきたのかといったことがとても見やすくできていた。だから、手数料の安さや取扱い商品の豊富さなどでメリットがあっても、ネット証券をSBI証券だけにするのには問題があった。ある程度投資額が増えてくると、手数料の安さよりも、資産管理のしやすさの方が重要に思えたりするものです。My資産で、資産管理の問題点が解決⁉今回始まったSBI証券の新サービス『My資産』は、SBI証券口座内の資産管理ツールです。楽天証券やマネックス証券などで見るような、売買損益の状況や配当受取、資産の推移が見やすくまとまっています。楽天証券やマネックス証券などに優っているというほどではないけれど、資産管理ツールとして最低限欲しいところは網羅されている感じを受けます。

『渋沢栄一『論語と算盤』が教える人生繁栄の道(渡部 昇一)』

論語と算盤って何?2024年に1万円札になって登場する渋沢栄一。大河ドラマにもなって今話題の人です。そんな渋沢栄一といえば、『論語と算盤』。でも、『論語と算盤』って、いったいなんのこっちゃ?という人も少なくないかもしれない。正直今まで、『論語と算盤』と言われても、全然ピンと来ていなかった。でも、そんな難しく考えるタイトルというわけでもなく、言葉のまま『論語』と『算盤』の話なんですね。ただ『論語』という言葉に対して、なんとなく難しいものと思ってしまった、という事なのでしょう。『論語』といえば、孔子のことです。論語という言葉には慣れていなくても、孔子という名前を聞いたことがない人は、あまりいないのではないでしょうか?孔子の教えは、今から2500年よりずっと前のことであるのに、今でも多くの人にとって学ぶことが多い言葉です。有名なところでは、『温故知新』として4字熟語になって残っているものもあります。『子曰く、故きを温めて新しきを知る。以て師為る可し。』古くから学び、現代に応用することで、先生となれる。4字熟語の温故知新の意味としては、「以前学んだことや、昔の事柄を今また調べなおしたり考えなおしたりして、新たに新しい道理や知識を探り当てること。」(学研)ようは、論語には、身近に言えば倫理や哲学といった意味合いがあるものという事です。つまり、『論語と算盤』というタイトルには、そういった倫理や哲学というようなものと、経営や経済、お金との関係のことを指していてい、その論語と算盤には、深いつながりがあるものだと渋沢栄一は考えていたということのようです。経済や経営、お金を稼ぐというのは、身勝手なものではいけない。倫理観などがちゃんとなければいけない。言われてみれば、その通りとしか言えないものではあるのですが。実際にはそうなっていないものが今の世の中多すぎる。特にお金の世界はその感覚が欠如しているものが身の回りの至る所にあふれている。FPという業界から見てもそういう傾向は良く見られる。リスクや価値も伝えずに、保険や投資信託を売る金融業者。詐欺まがいの金融商品を、平気で売りつける仲介業者。さらに言えば、私たちの身近にある大手銀行や大手保険会社にだって、そう感じるものは見え隠れしている。そんな金融業界の「だまし、だまされ」を紹介した「投資家のヨットはどこにある?」。この本は、投資の神様バフェットが推奨するほどの本として紹介されている。金融の世界にこそ、渋沢栄一の哲学が必要なのではないだろうかと思う次第です。

『マンガでわかる バフェットの投資術』

世界一の投資家、ウォーレン・バフェット。投資の神様とも言われている、ウォーレン・バフェット。株式投資をしていて、その名前を聞いことがない人は、ほとんどいないことと思います。バフェットの投資スタイルは、多くの投資家にとってとても勉強になるところが多く、多くの個人投資家がバフェットの投資法を学ぼうとしています。しかし、バフェット自身が書いた本がないため、第三者が書いた本を通してバフェットの投資法を学ぶしかないというところが、なんとも悩ましいところです。本書は、そんなバフェットをマンガにしています。マンガになると、とても読みやすく、文字よりもずっと印象に残りやすい。やはり視覚的なイメージがしやすいというのが大きいのかもしれません。本書は、バフェットの入門書として、役に立ちそうだなと感じました。バフェットの投資法は、この本で学べるのか?バフェットに関する本を読みたいと思う理由の多くは、バフェットの投資法を学びたいというところではないでしょうか?しかし、残念ながらそういう目的だとすると、本書はたいして役に立たないのかもしれません。あくまでも、入門書という位置づけかなと感じました。たとえバフェットの話であったとしても、やはり投資の話は、投資家の視点から書かれたもののほうが役に立つのではないかと感じています。実際に身銭を切って投資をし、投資家として成功してる人が見たバフェット像と、全く投資をしていない人が見たバフェット像は、違って見えているのではないかと思うのです。バフェットの投資法として紹介されている話の多くは、不思議なことですが、そんなに難しいことは言っていません。ジェームズ・シモンズの投資の仕方(プログラムや統計、数学を利用している方法)のように、その方法を学んだところで、「私達個人が実践することは、不可能だ」と思わせるようなものとは違い。バフェットの言うことは、私達の直感でもわかるシンプルな話であることが多い。バフェットの名言として紹介されている話の多くは、聞いただけでなんとなく意味がわかるように思えることがある。だとしたら、なぜバフェットの投資法の本を呼んで、みんながお金持ちになっていないのか?意味がわかっているはずなのになんで?ということです。おそらくその理由は、バフェットの言葉の意味には、私達が想像している以上の意味が隠れているということなのかもしれない。その意味に気付けるのは、やはり身銭を切って投資をしている人なのかもしれないと思うのです。バフェットの投資法は、一般的なバフェット本に書いてあることをそのまま実行しても、なかなかうまく行かないと思っています。そもそも、バフェットの投資法を、私達個人が実行することはとてもむずかしい。「言っていることは簡単なはずなのに、なんで」と思う不思議なところです。私達が、ジェームズ・シモンズのような投資家のマネをすることは不可能だと感じさせるぐらい、バフェットと私達には大きな壁があるような気がしています。本書を読んで、バフェットのようになりたいというのには、ちょっと役不足だろうと思います。それでも、マンガという方法によって、バフェットという人を知るきっかけになることは間違いないでしょう。この本で、まずはバフェットという人物のことを知り、よりバフェットのことを知りたくなれば、他の様々なバフェット本を読んでみると良いように思います。

『裁量トレーダーの心得 初心者編(デーブ・ランドリー)』

トレードの心得?株式のトレーダーとして成功するためには、どうしたらいいのだろうか?チャートを見て、支持線やブレイクアウト、ヘッドアンドショルダーズといった必勝パターンを探して、買ったり売ったりする。でも、なぜそのポイントで買ったり売ったりするのか、その基本的な考え方が『トレードの心得』なのでしょうね。「トレードをして利益を上げようなんてのは迷信だ」と言われたりします。投資の世界で常識とも言われている効率的市場仮説を信条としている人達から考えると、トレーダーというのは敗者のゲームだと考えられています。テクニカル分析なんてものは迷信。株価の動きはランダムであり、予測できるものではない。ましてや、一定のパターンで勝てるトレードができるなんてことはあり得ない。というわけです。「テクニカル分析で投資をするなんて行為は、投資ではなく投機だ。」なんて言われていたりもします。以前の私だったら、きっとそう考えていた。でもそうとは言い切れないかもしれない。と最近思うようになってきた。マーケットというのは、案外非効率。そしてその非効率を生み出しているのは、相場で取引をする人の心。つまり私たち自身ということがわかってきた。トレーダーというのは、チャートに現れる勝ちパターンを探しているのではなく、チャートの中に見え隠れする、私たちの心の非合理性を探そうとしているのかもしれない。という事が最近わかってきました。そして、その人の心の非合理性が現れたチャートのパターンが、『トレンド』というものであるという事も最近わかってきた。ジョージ・ソロスの再帰性ではないが、上がったものはさらに上がりやすく、下がったものはさらに下がりやすい。長い期間上がり続けたものは、まだ上がると考え、ずっと下がったままのものは、今後も下がったままだと考える。これが『トレンド』としてチャートに表れてくる。トレンドフォローの考え方、やり方。本書の内容は、ずばり言えばトレンドフォローでの投資の仕方です。人の心が反映されたマーケットの非合理性の基本、トレンドを探し、そのトレンドに乗って取引をするための、考え方と行動の仕方。結果的には、チャートでパターン化してトレードの仕方を説明することになってはいるが、崩してはいけない原理原則は、とにかくトレンドを見つけること。そしてトレンドが出ている側につき、有利な立場で取引すること。このことは、本書の中で何度もでてきます。トレードの心得をまとめるなら、『トレンドに従う』ということにあるのだろうなと思いました。トレードについて解説している本には、様々なテクニカル分析やテクニカル指標をつかって、複雑に説明しているものが多い印象だけど。本書は、実にシンプルに、分かりやすく簡単に、トレードの説明をしていると感じた。著者が利用しているテクニカル分析も、日足チャートと移動平均線ぐらいというとてもシンプルなものです。本書を読んでいるとわかります。トレンドを把握するならそれだけで十分なんだなという事が。さまざまなテクニカル分析などをおこなって、トレンドの転換をピンポイントでとらえたいと思ってしまいがちですが、そういうことをしようとすればするほど深みにはまり抜け出せなくなる。明確にトレンドが確認できた時が、もっとも効果的なトレードが出来るときだという事がわかります。トレードをわかりやすく、シンプルに説明していて、タイトル通りの『初心者向け』の本としてとても貴重な本だと感じました。